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現実系ショートショート

人生最高の時間

 その男はある日の飲み会の帰り道、酔った勢いで観て貰った占い師にこう言われた。


「これからの二年間、あなたの運勢は最高のものになりますね。なにか新しいチャレンジをするべきです。ただその後に体を壊すかもしれないので、あまり無理はしない方が良いかもしれません」


 独立のアイデアを持っていた男はその言葉に背中を押されたが、しかし先立つものがない。どうするべきかと考えながら家へと戻ると、一枚のチラシが目に付いた。

 それにはこう書かれていた。


「あなたの寿命を高値で買い取ります。太く短く生きてみませんか」


 なんとなく怪しい感じがしたが、男は次の休みにそのチラシの住所へと向かってみた。どこかいかがわしいような雰囲気を想像していたが、予想に反してその住所にあったのは清潔なビルだった。


 ビルの中で男は、寿命を買い取るとはどういうことなのか、いくらくらいで買い取れるのかなどの説明を受け、そして一年半ほどの寿命を売ることに決めた。


 そうして資金を得た男は会社を退職して独立した。


 それからの半年間で男の会社は、自分でも驚くほどの勢いで成長していった。

 占い師の言っていたことは本当だったのだと確信した男は、さらに勢いを増して働く。しかし、あるときから取引が全く、うまくいかなくなり、なんとか赤字を取り戻そうと無理をしたのがたたって体を壊してしまい、ついには会社をたたむしかなくなってしまった。


 退院した男は、占い師に文句を言いに行く。

 二年間は運勢が良いという話はどうなったのだ、と。


 すると話を聞き終えた占い師は、ニヤニヤと笑いながらこう答えた。


「だってあなた、自分で二年間のうちの一年半を売っちゃってるじゃないですか」

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― 新着の感想 ―
なるほど、寿命を売るにしても、「後ろから」とは限らないですよね。 占い師と寿命買取屋が裏で繋がってたりしそうですね。
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