中身スカスカで骨粗鬆症になった自称「骨太の方針」
「骨太の方針」とは政権の重要課題や翌年度予算編成の方向性を示す方針のことを指します。
『「骨太の方針」原案まとまる 賃上げ定着など経済財政基本方針』というNHKの6月11日の記事を元に僕が個人的な評価をしましたのでご覧ください。
〇 から先に書いてあるのが「NHKの記事本文」
⇒ から先に書いてあるのが「僕の考察」ですのでどうぞ参考になさってください。
◇全体概要
〇11日の政府の経済財政諮問会議で示された原案では、日本経済は「デフレから完全に脱却する千載一遇のチャンスを迎えている」とした上で、33年ぶりの高い水準となっている賃上げの動きを定着させ、成長型の新たなステージに移行させていくとしています。
⇒そもそも今はどちらかと言うと物価が上がって賃金が上がらない「スタグフレーション」の状況に近いでしょう。
原材料高のコストプッシュインフレと景気が好調なインフレを混同している段階で問題外の分析と言えます。
コストプッシュインフレでは国民は苦しくなるばかりであるし、
それへの対策は逆進性のある消費税と社会保障の支払いの削減の2つのみです。
〇中長期的には、人口減少が本格化する2030年代以降も経済・財政・社会保障の持続可能性を確保するため、実質の経済成長率が安定的に1%を上回る必要があると指摘しています。
そして、成長力を高めることで、2040年ごろに名目のGDP=国内総生産が1000兆円程度となることが視野に入るとしています。
⇒ GDPのが直近マイナス1.8%、6割弱の内需個人消費が1年以上連続でマイナスなのにかなり楽観的な目標と言えます。
こんなに楽観的なのはこの20年外国人を入れることを促進するためか? と疑義が生じます。
◇労働分野
【最低賃金引き上げ】
〇賃上げに向けては、企業が労働者に最低限、支払わなければならない最低賃金を、2030年代半ばまでに全国加重平均で時給1500円とする目標をより早く達成することを目指すと明記されました。
⇒ 全員を非正規雇用にして時給1500円にするのが本当の狙いに見えます。
【介護施設などの賃上げ】
〇また、物価高を上回る賃上げを定着させるとして、公定価格で運営する医療機関や介護施設、グループホームなどの障害福祉サービスの賃上げを着実に進めるとしています。
⇒ なお、介護報酬はサッパリ上げない模様。10万円単位で上げないと激務に就こうと思わないでしょう。
【リスキリング推進】
〇性別や年齢に関わらず意欲のある人が活躍できる社会を実現するため、全世代のリスキリング=学び直しを推進するとしています。
具体的には、
▽教育訓練の給付率を最大で現在の70%から80%に引き上げることや、
▽教育訓練のために休暇を取得した人の生活支援のために新たな給付金を創設するとしています。
⇒ ここには書いていないが、ジョブ型雇用にすることでより解雇、景気の調整弁に労働者をしやすくする作戦が裏には存在するのではないかと思われます。
【労働移動の円滑化】
〇また、雇用政策の方向性を、雇用の維持から成長分野への労働移動の円滑化へシフトしていくと明記した上で、労働市場の改革を進めるための国民会議の開催を検討するとしています。
⇒ なのに外国人を入れる矛盾。外国人を入れると人気のない業種のいわゆる「ゾンビ企業」は延命するでしょう。
【カスハラ対策】
〇客から迷惑行為を受けるなどの「カスタマーハラスメント」から働く人を守るために、職場でのパワハラの防止措置を定めた法令の改正も含めて対策を強化することも盛り込まれました。
⇒ 悪くはなさそうに見えますが、法案の中身がまだ分からないので何とも言えないです。
◇物価上昇上回る賃上げの達成・定着への対策
【男女の賃金格差解消へ 行動計画を年内に策定】
〇持続的な賃上げの実現には、男女の賃金格差の解消が不可欠だとして、格差が大きい業界に対して、解消に向けた行動計画を年内に策定し、できるだけ早期に公表するよう求めることが盛り込まれました。
具体的には、賃金格差が比較的大きい業界として、金融・保険業、食品製造業、小売業、電機・精密業、航空運輸業の5つを挙げ、仕事と育児が両立しやすい働き方の実現や人事改革など、格差解消に向けた具体策を盛り込んだ行動計画の策定を求めます。
⇒ それら5つの産業は比較的「営業活動能力」に比例して給料が決定するために時給単価を男女同一にしても、体力差によって必然的に賃金差が産まれてしまうというのが欧州の研究で分かっています。
これらの産業の「結果の賃金格差」を是正するためには「男性を女性並みに働かせない」ぐらいしか存在せず、さらに労働力不足が増長される“完全に狂った”施策と言えます。
【人手不足への対応 AIやロボットなど省力化を支援】
〇地域経済をけん引し、雇用を支える中堅・中小企業の稼ぐ力を強化するため、人手不足への対応にも取り組むとしています。
〇AIやロボットの導入など省力化につながる投資に対し、国があらかじめ補助の対象となる設備や製品をまとめたカタログを用意して支援を行うとともに、導入が容易なロボットの開発も促進していくとしています。
⇒ 内容は悪くなさそうに見えるから中身次第です。AIに投資する金額は米中よりはるかに少ないのが実情です。
【物流業界の「2024年問題」への取り組みを強化】
〇物流業界で人手不足の深刻化が懸念される、いわゆる「2024年問題」に対する取り組みを強化することも盛り込まれました。
具体的には、長距離トラックのドライバー不足に対応するため、高速道路などに無人のカートで荷物を運べる「自動物流道路」を整備し、10年後をめどに実現を目指すとしています。
東京ー大阪間を念頭に、具体的な想定ルートも含めた基本的な枠組みを夏頃にとりまとめる方針です。
また、自動運転のトラックや自動配送ロボットなどの実用化を進め、自動の運航船も2030年ごろの実現を目指すとしています。
さらに、荷主とトラック事業者などとの取り引きを適正化し、ドライバーの賃金の引き上げなど処遇改善を進めるとしています。
⇒ あの……法規制の転換による“行政側が起こした問題”なのに、まだできていないっておかしくないですか? 24年に出来ていて下さいよ……。
【ライドシェアを全国で利用可能に】
〇移動手段の不足を解消する道筋をつけるため、一般のドライバーが有料で人を運ぶライドシェアについて安全を前提に「全国で広く利用可能にする」としています。
このため、地域の自治体やNPOなどが運用している自家用車の活用事業や、ことし4月にスタートしたタクシー会社が運営主体となるいわゆる「日本版ライドシェア」について効果の検証を行い、並行してタクシー以外の事業者の参入を認めるかどうか新たな法整備を含めて議論を進める方針です。
⇒ 実施するなら、安さの代わりに安全性がトレードオフだという事、海外のUBERタクシーの問題なども大きく知らしめてから国民に是非を問うべきです。
メリットばかり強調するのは「卑怯」と言えます。
【再生可能エネルギー拡大へ 革新的技術を支援】
〇脱炭素やエネルギー安全保障をめぐっては、再生可能エネルギーの導入拡大をはかるため、薄くて軽く、折り曲げられる「ペロブスカイト太陽電池」や風車を海に浮かべる「浮体式」と呼ばれるタイプの洋上風力発電などの、革新的な技術の開発や実用化への支援を検討するとしています。
このほか、電力の安定供給に向けて、全国の送電網の整備や、蓄電池の導入に取り組むことも盛り込みました。
⇒ 廃棄する際のCO2、自然界への影響などももっと強調してもらいたい。
なお、再生エネルギー発電量が増えれば増えるほど再エネ賦課金がここに被さっていることを伝えていない模様。
◇社会保障について
【「全世代型社会保障」の構築】
〇社会保障制度をめぐっては、少子高齢化が進む中、能力に応じて全世代が支え合う「全世代型社会保障」の構築を目指し、改革を進めていく方針が盛り込まれました。
具体的には、
▽去年取りまとめられた歳出改革の工程表に基づき、高齢者の医療費や介護費の自己負担について、3割負担とする対象範囲の見直しや、
▽保険料を自治体などが算定する際の金融所得の反映のあり方などが検討される見通しです。
⇒ 年金支給額が減って医療費負担が増えれば高齢者の方々は生活に困窮しその後には“安楽死社会になる”と予想しています。
【年金制度 年末までに改正の道筋つける】
夏に公表される財政検証の結果も踏まえ、年末までに制度改正についての道筋をつけるとしています。
この中では、
▽企業の規模によらず、パートなどの短時間労働者が厚生年金に加入できるようにすることや、
▽5人以上の従業員がいる飲食業や、理容・美容業などの個人事業所も厚生年金の適用対象とすることについて、結論を得るとしています。
さらに、
▽いわゆる「年収の壁」にとらわれない働き方ができるよう制度の見直しに取り組むことも盛り込んでいます。
⇒ 厚生年金は労使折半分も含めるとかなり元を取るのが難しいので実質増税です。
「年収の壁」に関しては壁を100万円台から2倍などに引き上げるという発想が無いのがあまりにも問題外です。
◇財政について
【「経済・財政新生計画」基礎的財政収支 2025年度の黒字化目指す】
〇「GDP=国内総生産に対する債務残高の比率を安定的に引き下げることを目指す」とした目標を6年間維持するとしました。
⇒ 国民が6年間放棄されることがほとんど確定した瞬間です。
〇計画では「金利のある世界」に移行することで国債の利払い費が増える懸念があるとして、財政に対する市場の信認を確保する必要性を指摘する一方、財政健全化の目標によって政策の選択肢を狭めることはあってはならず、「経済あっての財政だ」という姿勢も強調しています。
⇒ なお、消費減税や社会保障費徴収削減はそもそも選択肢に絶対に入らない模様。
〇一方、基礎的財政収支の黒字化については、「その取り組みの進捗・成果を後戻りさせない」
来年度から3年間を経済や財政の改革を集中的に講じる期間と位置づけ、予算編成では、社会保障費の伸びを高齢化による増加分に抑えるなどとするこれまでの歳出改革の努力を継続。
⇒ 3年ぶりにいわゆる「PB黒字化」を明記。
こうして日本国民の富は国に吸い上げられる。国債の半分以上は日銀所有で借り換え可能。
国民が持っている10%未満と外国の15%弱は必ず返済する必要があるが、それ以外の返済の必要のないものを過度に煽るいつものスタンス。
◇総括
⇒ 全体として見た場合「国民に対して分かりにくく」していき、
国民のためと言うより“他の何か”(利益者集団や外国)のために政策を決定していることが見え隠れします。
そのことが骨が見た目上では太かろうと「骨粗鬆症化」を振興させているように思えます。
(点数にして100点満点で5点ぐらい)
現在の日本の状況はリーマンショックを超える実質賃金の下落であり「岸田禍」とも言えると思います。
しかし、これを追求することなく迎合しているマスコミにも問題があります。
僕は今後もこのように追及していこうと思いますのでどうぞご覧ください。