六話 刺身を要求してきました
六話 刺身を要求してきました
「やあ姉御」
「何の用だい?」
相手は二人体制だ。
こちらもスピーカーにして臨む。
「今日の起こしかたは何? 最悪の目覚めだったわ」
「そんな事より聞いてよ姉御」
「今日の昼、オムライスだったんだ」
「それが何よ」
クレームをそんな事呼ばわりされて、エスパーダはご立腹だ。
「おかずがなかったんだ」
「姉御が弁当にオムライスを頼んだせいだ」
半分言いがかりだが、お粥にオムライスとなるとおかずが欲しくなるのも分からないでもない。エスパーダもそうだったし。
「食べられただけでもありがたいとおもいなさいよ」
その事はなかった事にしたようだ。
「悔しかった。おかずがないなんて」
「僕等はそんな食べ物は望んじゃいなかった」
二人の不満は文句を言おうとしたエスパーダを怯ませていた。
「今度は要さんが作ってくれないと働かない」
「ベビーシッターお断り!」
これはもう要が約束しないと収拾がつかなそうだ。
「分かった。何が良い?」
「さすが要さん」
「話が分かる」
「やっぱり刺身だよね。この前うまかったし」
「いやいや、牛肉も捨てがたい。人間価格はお安いらしいし」
二人は悩んだ。かなり悩んだ。そして決めた。
「刺身だ。僕等のためだけの刺身だ」
「この前より良いやつを頼むよ」
「ご飯に乗っけて鉄火丼とか出来るけど」
「ご飯はいらない」
「その分刺身が食べられなくなるからね」
要は了承した。スミス姉妹は不満を解消され、喋る事をなくしていた。
「私はまだ許してないからね」
エスパーダはまだ納得してないようだ。
「姉御、僕等は忙しいんだ」
「銃を作っているんだからね」
「なんでそんな事してんの? 黒星が新調したいって言ったの?」
「これはサイズのやつさ」
「いろいろあってサイズに武器を作る事になったんだ」
「へぇー、いろいろって?」
「まず要さんと姉御が出て行ってからだね」
「僕等はお粥を食べてまったりとしていたんだ」
二人は話し始めた。