四話 歯磨きと洗顔をしました
四話 歯磨きと洗顔をしました
サイズが歯磨きと洗顔を終えるとエスパーダが入ってくる。
「師匠に何頼んでたの?」
「お弁当。急だから怒られた」
「まあ、そうだろうね」
食材の準備をしていないために困っている事だろう。冷蔵庫の内容を知らせておかねば。
「あのね、エスパーダ、要がね」
サイズがニヤニヤしている。嫉妬している事をバラされては今後の二人の関係に影響を与えてしまう。
「さ、行こうかサイズ」
要はサイズを圧で黙らせて、連れて行った。危ないところだったと安堵する。
部屋に戻ってくると黒星がしかめっ面をしていた。
「弁当頼んだらしいですね」
「ああ、困ったもんだ。言えば出来ると思ってる。準備が必要なのにな」
「冷蔵庫にある材料を教えますので何とかしましょう」
「甘いな。俺も要も」
「そうですね」
「よし、サイズ。二人の分もよそってやれ。他人に気を遣う練習だ」
「何で私が……」
「他人は自分と食べられる量が違う。その適正量を渡してやる。そのためには人を見る目と判断力がいる。あいつ等で練習だ」
「そんな事言われても……」
「お前は要に預けられても逃げなかった。要を良い人だと見抜き、世話になろうと判断したという事だ。今度はそこのわがままな二人に応用するだけだ。お前なら出来る」
「わかった。やってみる」
「頼むぞ。要、弁当のメニューを考えよう」
要は黒星を連れて、冷蔵庫の前に立った。
サイズはライトハンドやレフトハンドに教えてもらいながら、お粥をよそってあげている。器は小人族の物でピクシー族には大きすぎる。自分の一杯では多い。結構悩んでいるようだ。
冷蔵庫にはウサギ肉と卵がある。
「唐揚げと炒飯の弁当が妥当か」
「オムライスなんてどうでしょう?」
「俺は中国料理しか作れない。それを作るには要に監督してもらわねばならない」
「そうですね。時間が許す限り、やりましょう」
「やるか。人に挑戦を強要して自分がやらないわけにはいくまい」
二人でオムライス作り始めた。