4話 格が違う
感想書いてあった。嬉しい。
我は神だ。最高神であった。
我はニンゲンの統治に興味を持ち、暇つぶしも兼ねて"王"になることにした。
「ニンゲン全体を統べるにはどうすればよい?」
我は比較的優しく村長とやらに発言権を与えた。
「あの……お言葉ですが、姿を見せるだけで民はみなひれ伏すのでは?」
我ほどの神となると本能に直接干渉し、平伏させるなど容易い……ある部族以外はな。
「ほう、中々どうして良い眼をしておるな! 見どころがあるぞ、加護を与えてやろうか」
「おお、ありがたい!!」
「自惚れるな下郎。加護などやるわけなかろうが、戯れじゃ」
村長とやらは肩を落としたが、我は気にせず言葉を続けてやる
「頬から肩にかけて蛇の様な紋様を持つニンゲン供を知っておるな?」
「ええ、あの恐ろしき者達は"大蛇族"と忌み呼んでおります……」
やはりこの世界にもいるか……全能神が創った"ジンルイ"が
「そやつらが問題なのだ。あやつらは我に平伏はしない」
「まつろわぬ生物なのだ」
「でも、最高神様なら何とかできますよね!?」
輝いた目で無礼にも我に意見してくる。
討伐など造作もないが、少し厄介なことになるのだ。
「カスどもに臆する我ではない。だが、あやつらは神を召喚する……我も力を使うこととなってしまうのだよ」
「力を使うと、何が行けないのでしょう……?」
「馬鹿が、我の居場所がバレるであろうが」
私情である。
だが、我は最高神だし良いだろう。
ーバゴォンっ! 街の入口で耳障りな騒音が響いた。
「何事じゃ? この我の国であるぞ」
「もう自分の国の気分なんですね……。盗賊が攻めてきたようです」
「一端の小悪党ではないだろう。あれは……」
あの騒音……我と同種の波紋が感じられた。〈 平伏の警鐘 〉と呼ばれるモノだ。
入口に行くと多くのニンゲンが転がっていた。
戦意を削がれた者、虫の息の者……戦える者はいない。
「私の名を上げるためです。少々我慢を……〈寿命強制簒奪〉」
転がるニンゲンに話しかけているニンゲンがいる。
いや、あれは "神" だ。
「我の国で好き勝手してくれるではないか、略奪神」
我は "略奪神" へと語りかける。
「おっと、あなたが最高神ですかね? 知らされた容姿とはまるで違いますね」
「先の愚者とは違って能があるようじゃな。名はあるか?」
先のゴミとは比べ物にならないほど上位の神らしい。我は名を問うてみた。
「ラヴァプ……略奪神ラヴァプです。」
我に勝った気でいる略奪神は、どうだ! と言わんばかりの表情で我の方を向く。
「神を相手に名を明かす意味を知っておるか?小童。奪能の決闘は始まったぞ」
奪能の決闘とは、神同士での決闘である。
相互に名を名乗ることで能力回路を結び、どちらかが朽ち果てるまで戦う。
我と全能神で考案した、弱き神を切り捨てる遊戯だ。
「はぁ? 何を仰っているのかわからない」
「奪能の決闘は互いが名乗ることから始まる。貴方は名乗っていない」
「名乗りなどいらぬ。我に少しでも及ぶと勘違いするでないわ。格が違うのだ〈審判〉」
「私は全能神様から力も、名も授かったのです。負けるはずがないでしょう。〈強制取引〉」
我の力を奪おうと能力を使った略奪神は我の能力を奪えずに混乱している。
「なぜ奪えない……? 簒奪に耐性があるのか〈模倣〉」
模倣すらできるはずなかろう。
神として格が違う。
「三下……いや底辺よ。我に許可なく発言した罪じゃ。〈有罪〉」
我に絶望の顔を向けながら、略奪神は虚無へと還った。
我は略奪神の能力全てを我が物とし、
新たな能力を創造。能力を統合して強化。
配下として"簒奪神"を創造してやった。
今回の成果
能力獲得∶〈 模倣 〉 〈 寿命強制簒奪 〉
〈 強化上位模倣 〉 〈 完全簒奪 〉
獲得配下∶"簒奪神"
消滅した神∶"略奪神"