3話 神でも王となる
今回、短め
我は娘の心理から離れた。
やはり弱き神の考えていることなど、我にはわからぬ。
「ニンゲンよ、入ってくるが良い。用は済んだ」
我は後ろの戸に向かって言い放ち、娘に目をやる。
「あぁ! 最高神様! どうです……私の娘は!」
慌てながら、部屋に飛び込む"ニンゲン"は実に滑稽である。
「我を誰だと思っておる。失敗するとでも思っておるのか」
「い、いえ……滅相もございません」
「そんなに気になるなら、自分で見てみるがよかろう」
ハッとした顔でニンゲンは娘に目を向ける。
「アイシャ……あぁ、アイシャ! 本当に、本当に治ったのか!?」
「お父さん……? どうして泣いているの? 村長なのだから、しっかりしてください?」
「そうだな……そうだよな。そうするよ」
ニンゲンとは実に弱き生物だ。
自らの手では娘1人も救うこともできぬ。
力もない……なんと非力なのだろうか。
「最高神様。なんとお礼をすればいいか……」
「では、1つ。人形を作るがよい。今すぐにだ」
「ええ……でも、どうして」
「今すぐにだ」
我はニンゲンに人形を作らせることにした。
同族も守れない者に、少し力を分けてやることにしたのだ。
この集落からは多くのことを学んだ。
まぁ、我が逃げるために有益なことだけであるが……それはさておき、礼はしなくてはな。
「最高神様。人形を作り終えました」
不格好なワラ人形と言った所か……使えなくはないな。
「社か……祠でもよい。これを祀りあげろ。今後1000年、ここら一帯の厄災は被らぬ」
我は人形に"守護神"を宿らせ、属神として"氏神"を創った。
人形を核とした神は、全能神ですら殺せぬ……核を壊せば、どのような羽虫でも殺せるがな。
「あなたが……この村の王となれば、この村はいずれ……中心都市となれる!! 王となってくだされ!」
我に王となれという……僧侶であろうか。白い法衣を纏った老人だ。
"村長"と娘に呼ばれていたニンゲンよりも欲深く、愚か。
「貴様らの王……か悪くはない。」
「では、では! 王に!」
「だが、貴様に従うのは違う。我は最高神……立場を弁えろ。」
我は老人を1000年閉じ込めてやることにした。
〈付喪神:番神〉として、人形が朽ちるまでは出れぬように。
付喪神は属神の属神、低級である。
「なぜ、なぜですか……最高神……様」
「我に意見する愚かさ……存分に悔いると良い。」
「神となれるのだ、光栄であろう?」
老人を神に創り変え終わった時、"村長"が我に話しかけた。
「あの、最高神様? 今、何を?」
「心配するでない。殺してはないのでな」
我は村長へと歩み寄り、戦神の属神である
〈付喪神:兵神〉を創りながら言い放つ。
「我はここを統べることにした」
1話に1無双いれようと無理をした。