とある事故
僕は土砂降りの雨が降る中外を歩いていた
横断歩道を渡ろうと思ったが赤い光がぼんやりと見えたので立ち止まった
だがそんな中一人の少女が走るトラックの明かりによって照らされた
赤信号の中少女は横断歩道を渡ろうとしていたのだ
恐らく雨のせいで視界が悪く何も見えなかったのだろう
気が付くと僕は走っていた
横断歩道を渡ろうとする少女を僕は突き飛ばして僕はトラックにはねられた
その瞬間トラックの白いライトが僕の体を包んだ
そして辺りに僕の体がはねられたせいであろう轟音が鳴り響いた
それはまるで雷のようだった
僕の体は十メートルほど飛んで行った
少女の声が聞こえるような気もしたが僕の意識は闇に落ちた
僕は気絶をしてそんな夢をみた
いや、夢じゃないか。これは現実だ
今やっと思い出した
僕は死んだんだ
だったら死んだはずの同僚や祖父が現れるのも納得だ
そこで僕は目を覚ました
そこには高校生ぐらいの女性が心配そうに僕を見ていた
「僕って死んでたんだね」
僕は目の前にいるその女子高生そう言った
すると女子高生、いや僕の助けた少女は涙を流した
「そんなに悲しまないでよ」
そう少女を慰めているものの僕も泣いていた
それからしばらくして少女は泣き止んだ
「あの、私はあなたに助けられたんです」
「でも、私は病気で死んでしまったんです」
「貴方の命を懸けてもらってまで助けてもらったのに・・・」
そう少女が言葉を紡いで再び泣く
「大丈夫だよ。僕は怒ってない。病気なら仕方ないね」
僕はそう少女に言葉をかけた
僕の言葉で落ち着いたのか知らないけど少女はすぐ泣き止んだ
「貴方に助けてもらってから十年が経ちました」
「貴方は意識を失うという重症を負いました」
少女は再びゆっくりと言葉を紡ぐ
「つまり、僕はまだ死んでないって事?」
僕は少女に尋ねた
「でも恐らく今貴方はほぼ死んでいる状態にあります」
「だって死んだはずの私と今話しているのですから」
と少女は言った
「そっか、もしかしたらこの電車は僕らをあの世へ運んでいるのかもね」
と僕は言った
「そうですね。ですが貴方はここに居るべきではありません」
少女はそう言って
僕に向かって拳を放つ
いや、というよりも僕の背後の窓ガラスに拳を放った
だがその窓ガラスは割れなかった
「割れませんね。」
そう言って少女は微笑んだ
そして次の瞬間アナウンスが電車の中に鳴り響いた
「ご乗車ありがとうございます。間もなく終点、終点でございます」
そう、そのアナウンスは終点、つまりあの世へ着くという合図だった
「ど、どうしましょう」
と少女は焦る
「いいよ。別に僕はもう自分の死を受け入れているからさ」
そう言うと少女は僕にビンタをする
「駄目です!あの時の恩返しがしたいんです!」
と少女は僕に言った
僕は少女の熱意を感じた
「分かったよ。じゃあ二人で同時に窓ガラスを叩いてみようか」
と僕は言った
その言葉に少女は強く頷いた
そして二人で同時に窓ガラスを殴ると簡単に窓ガラスは割れた
「じゃあ、これでお別れですね」
そう少女は言って僕を突き飛ばした
僕は電車から落ちた
電車から落ちると何もなかった
どうやら電車は何もない空を走っていたようだ
僕はしばらく落ち続けた
そして次の瞬間僕の体は光に包まれた・・・