20.地獄で仏に会ったよう
「よし、キル、行くか」
「? 行くとは何処へ?」
「せっかく地獄まで来たんだ。閻魔相手に地獄の天下取りに行くぞ」
歩き出すシュドの後ろを嬉々として付いて行くキルだが、無言のまま歩き続けるのも、と思っていると。
「なぁ、キル? リムボウの奴がどうなったのか分かるか?」
「四天王のあのリムボウですか?」
「あぁ」
「トラウンスの話だと、敵に付いて行った、と聞きました。ですが、それ以降は知りません」
フッと短く息を吐くシュドの表情はどこか儚げだ。
「アイツは僕よりも先に僕の求める美しさを手に入れたんだ。一度忘れられて、それでも思い出される。その美しさを」
「それであればシュド様だって得られるのでは?」
「僕はね、世界を通じて暴れすぎた。轟いてしまっているんだよ、僕の名前は。史実に載ってしまっては、忘れてもらえないもの」
シュドは煙草を銜える。
「羨ましいなぁ」
キルにはシュドに話す言葉を持ち合わせていない。どうすることもできない。
目の前に獄卒が見えてきた。死出の山の祖にて両者は対立する。
火のついた煙草を左手で持ち、右側に捨てる。紫煙を吐きながら、空中を舞う煙草を右手で弾き、獄卒の左目を焼く。
「グォァ!」
「さて、初陣、行くぞ」
「はい!」




