11.頑固親父と狂刃少女
パチッと篝火にくべられた木が弾かれる。
ダイハードは読んでいた書物から目を離し、溜息を吐く。椅子の背に凭れ、目を閉じてもう一つ溜息。
その後ろには一つの影。ダイハードは気付いてない。
篝火の火を反射する刃を掲げる。
トスッ。
いっそ、柔らかい土に刃物を突き立てるような音がした。
ダイハードは目を飛び出さんばかりに見開く。
刺されたのはダイハードの腿だ。
すでにやられることが日常と化しているため、犯人は見ずとも分かる。
「おい、ラサレイド」
「は~い♪ な~に~?」
屈託のない純粋無垢な笑顔だった。
「早く抜け! そして治せ!」
「うん♪ 分かった♪」
あまり知られていないことだが、実はこのラサレイド、回復を使える。ただし、舐めて使う。
手際よく下を脱がせると、ダイハードの腿の傷を目視する。
「痛そう……( ;∀;)」
「お前がやったんだぞ!」
「責任取って治さなきゃね((´∀`))」
少しウザさがある気がするが、触れないでおく。
ラサレイドは傷口を口に含むと、ちうちうと吸い始めた。
「……いつも疑問に抱いていたんだが、どうしてこの行動で治すんだ」
ダイハードが疑問を口にすると、ラサレイドは上目遣いをしてくる。
「そういう種だから?」
「ん? お前って人間種じゃないの?」
「吸★血★種」
ダイハードは初めてラサレイドの牙を見た。
こいつ、血を吸っていたのかよ。
楽しそうに血を吸う姿を見て、嬉しそうに明日も刃を刺してくるのだろう。
ダイハードはまた一つ溜息を吐いた。




