4.旅する裏切り者
人間側でも魔王側でもない中間地が存在する。
そんな地の一つにビトレイアルはいた。
旅こんなに楽しいとは思わなかった。
ビトレイアルの旅は着いた地で三つの善行を積み、また旅立つというもの。
この地では開拓を手伝い、開店を手伝った。素晴らしい土地だと思うが、あと一つで旅立つ。
新しく開店した団子屋で串を口から引き抜くと、もにゅもにゅと口を動かす。
「誘拐よー!」
のんびりできそうにないな。
開拓を手伝った農夫の娘が攫われたらしい。
ちょっと林に入ると、そこには小鬼は三匹、真ん中に農夫の娘がいる。どうやら、娘を犯そうとして抵抗されているらしい。
さっさと助けよう。
手に持っていた串を投げ、羽交い絞めしようとしていた小鬼の眼を突き刺す。
痛がり、娘を離したところで叢から飛び出し、二匹の小鬼の上半身と下半身を分かち、残った小鬼を切り捨てる。
「お父さん!」
「無事だったか!?」
「コワかったよー」
「よしよし、そうだな、恐かったな」
農夫は娘の頭を撫で、安心させるように声を掛ける。
「君も有難う。助かっ……た……よ……?」
辺りを見渡すが、男がいない。
「あの男、ビトレイアルはどこ行ったんだ?」
かつての裏切者は旅立った。さて、どこへ行こうか。




