マッドサイエンティスト、助手を実験台にする。しかし発想が小学生
地下の実験室で、一人の男が柱に縛られていた。
「我が英知の結晶とも言える最高傑作が……ついに!」
白衣を着た女マッドサイエンティストが、怪しげなボトルに入った茶色の液体を掲げ、高らかに笑い声をあげている。
「おい! 今後は何をする気だ⁉」
「我が英知の礎になれる事を誇りに思うがいいぞ、助手クン?」
「おい! 中身はなんだそれ!」
笑いながら、女がボトルを振った。
「雑草と落ちてた木の実を潰して泥水に入れたやつ」
「どこが英知の結晶だ!! 小学生がやるやつだろ⁉ それも低学年が!」
「ちゃーんと、猫じゃらしも入ってるぞ?」
「だから低学年だってば!」
「セミの抜け殻も三つ入れてやった。完璧だな」
「完璧に小学生だよ!」
ボトルの蓋を開け、女が静かに匂いを嗅いだ。
「くっせ!! マジくっせ!! 終わってんな!!」
「だからリアクションが小学生だってば! それも中学年の!」
「やっべ!! 渋柿入れようぜ!」
「しれっと謎素材を追加するな!!」
ボトルを近くのテーブルに置くと、女はプラスチックの細い棒を取り出した。
「なんだそれは?」
「アサガオの鉢植えの支柱」
「小学生!! それも一年生の!!」
「必ず帰り道でチャンバラするよな」
「やったけどさ! けどさ……!!」
──と、時計の針が十二時を過ぎた。
「…………」
「うん? 諦めたか? ヘビの抜け殻も入ってるから安心しろ」
「……今日さ、誕生日だよな?」
「お? おお。そう言えばそうだな」
カレンダーを見て、女は嬉しそうに笑った。
「……プレゼントがあるんだ」
「ほうほう。助手クンにしては気がきいてるな」
「俺のバッグの中。袋が入ってるから開けてみ?」
柱の傍に置いてあったバッグから、可愛らしい猫が描かれたビニール袋を取り出した。
軽く、そして形的にもすぐにそれが本だと分かった。
「ふむ。何の本かな?」
ビニール袋を開ける。女は中身を取り出すと、言葉を失った。
「ウチにあった昔の漫画の四巻だ」
古ぼけた、中古ショップでも買い取ってくれなさそうな、名前の入った漫画が一冊。
「小学校でやったお楽しみ会のプレゼント交換か!!!!」
女が声を荒げた。
「三十五歳、誕生日……おめでとう。」
「ありがとう!!!!」
ボトルを掴み、女は強く本体を押した。




