おばあちゃん
おばあちゃん
ユキのおばあちゃんは、お金持ちだ。
何故だかわからないが、毎月たくさんのお金が
おばあちゃんに入ってくるらしい。
だけど、おばあちゃんは無駄遣いをしない。
ユキもそれを知っていたので、お菓子やおもちゃを
ねだった事は一度もなかった。
おばあちゃんは、よくご馳走を作ってくれる。
一緒に市場へ買い物にいくのがユキは大好きだ。
「活きのいいタコが入ってるよ。」
魚屋さんがおばあちゃんに声をかけてくる。
「ユキ、触ってごらん。指に食らい付いてくるよ。」
おばあちゃんに言われて手を伸ばすと、タコの吸盤が次から次へと指にくっついて、指から腕に絡みついてきた。
「きゃー。おばあちゃん助けてー!」
今にも泣き出しそうなユキがタコを振りほどくと
タコは地面に落ちて泥だらけになってしまった。
おばあちゃんは上品に笑いながら、泥だらけになったタコを持ち上げ、魚屋さんに返して
「ユキ、行くよ。じゃ、また来ます。」と、
何のためらいもなく八百屋に向かう。
ユキは心の中で、
「買わなくちゃ魚屋さん困るよー。
魚屋さんごめんなさい!」と叫び、
軽く頭を下げ、おばあちゃんを追いかけた。
ビックリドッキリする事もたくさんあるけど
どんな時でも、凛としてカッコいいおばあちゃんが
ユキは大好きだ。




