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歓迎会は、ドキドキの予感!? 1


社会人サークル「リーガル」御一行の行き付けである、小洒落た居酒屋に着いた。

剛力の指示のもと、メンバーは席に着いていく。どうやら席順は先程の練習試合のメンバー順になっている様だ。ちなみに新入りの夢姫は、ほぼ真ん中の席だ。


「みんな飲み物は届いたかな!?今日は新メンバーになった月野さんの歓迎会です!月野さんはまだメンバーの名前と顔が一致していないはずなので、まずは簡単に自己紹介タイムを設けたいと思いまーす!その後は自由に過ごしていいけど、メンバーで固まらずに、なるべく月野さんも混ぜてあげてくださいね!それじゃ前置きはこのくらいにして……月野さん、リーガルへようこそ!カンパーイ!!」


「「「カンパーイ!!!」」」


グラスの「カチンッ」と当たる音と共に、歓迎会がスタートした。一品目の料理が出てきたタイミングで剛力が皆に向かって話出した。


「じゃあ早速自己紹介タイムと行きましょうか。簡単に名前と今までのスポーツ経験を、時計回りで一人ずつ話してもらおうかな。じゃあ、まずは僕からね!皆さんご存知の剛力(ごうりき)(ゆずる)で〜す♡みんなっ!!僕のこと大好きだよなっ!……え、違う!?やぁだなぁ、もぅ。みんな恥ずかしがっちゃってぇ♡

……って、ジョーダンはさておき、ここリーガルの代表を務めています。スポーツ経験は、サッカーとフットサル。子供好きで、ジュニアサッカーチームの代表もしています。よろしくね!!」


(剛力さんてパッと見は強面風だけど、確かにこのノリと人懐こさは子供に好かれそうだなぁ……。)


「はい、じゃあ次!………君ね!」


順調に自己紹介は回っていく。


(段々私の番が近づいてきたぞ。ちょっと緊張してきたから、景気付けに軽く一杯飲んでおくか。)


夢姫は自己紹介の場で緊張しがちだった。そのため、飲み会の席では緊張を和らげるために軽く酒を煽るのがいつものパターンだった。隣でその光景を見ていた夕日が夢姫に話しかけた。


「月野さぁん、お酒強いんですかぁ?いい飲みっぷりですねぇぇ♡」


「えっ、飲めないわけじゃないですが……。決して強くはないですよ。」


「そうなんですかぁ?ここの女子ってなぜかみんなお酒強いんですよ〜♡だから月野さんもそうなのかなぁっと思ってぇ」


「あー、いや。きっとみなさんより弱いと思います。」


そうこうしているうちに夢姫の番になった。


「はい、じゃあ次!月野さんよろしく!」


(おおっと、ついに自分の番が来た!)


「あ、はい!……月野夢姫です。スポーツ経験はスポーツジムでトレーニングをしていた事はありますが、他はありません。えっと、体を動かすのは好きなので、フットサルも楽しみながら練習を重ねていきたいと思います。よろしくお願いします!」


「はい、みんな拍手ー!!じゃあ次!」


(はぁ、緊張した……。)


自己紹介タイムは和やかな雰囲気で終わり、フリータイムになった。向かいの席に座っていた大河が徐に神風に話しかけた。


「そーいや、さっきユウユウが俺の事を騎士様みたーい♡て言ってくれたのに、鬼ば……マーサさんが、敵に真っ先に斬り殺されそうって言っててさぁ。俺の扱い酷いと思わねぇ?」


「それは大河の日頃の行いが悪いんだろ。」


「神風まで釣れない事言うなよ〜。コーチ仲間じゃんかぁ〜。」


目の前で不毛なやり取りをしている大河と神風だったが、いつもの光景のようで周りはスルーしている。


「ゆめちゃんもさ、マーサさんの俺への扱いヒドイと思わねぇ?俺、泣いちゃうよ〜。」


2人のテンポ良いやり取りが漫才みたいで、夢姫は思わず笑ってしまった。


「あははっ、大河さんと神風さんって面白いですね。」


「おい大河。いきなり新入りの月野さんにあだ名呼びするなよ。チャラ過ぎだろ。」


「んだよ、神風。変に紳士ぶっちゃって。そーゆー奴ほどムッツリなんだよな〜。あーやだやだ。」


「はぁ、お前は……。」


「あ、私は気にしていませんよ。でも、「〜ちゃん」て呼ばれる程若くないですけどね、はは……」


夢姫の言葉に夕日が食いついた。


「えぇ〜?でもぉ、月野さんてメンバーの中じゃまだ若い方ですよねぇ?私達と同じ二十代だしぃ。」


(……ん?二十代!?しかも私達って??)


一瞬言葉が詰まった夢姫にさらに夕日が続けて話す。


「あ。私とぉ大河さんとぉ神風さんはぁ、みんな二十代なんですよぉ。私がぁ、二十四でぇ、大河さんとぉ神風さんは二十五。他にも二十代のメンバーはいるけどぉ、少ないかなぁ。だからぁ、二十代メンバーが増えて嬉しいなぁ♡と思ってぇ。」


夢姫は平凡顔だが童顔だったため、実年齢より若く見られがちだった。


「あ、えと……。すいません、私、実は三十路でして……。」


驚いた夕日が声を上げた。


「えぇー!?そうなんですかぁ!?……えーとぉ、ごめんなさいぃ。同い年くらいだと思い込んでましたぁ。」


「いやいや、気にしないでください。それより夕日さんが二十四歳なことにびっくりですよ。最初お会いした時は十代の学生さんかな?と思いました。」


「えぇ?!十代ぃ!?そんなわけ、ないないぃ〜!!

そしたらぁ、今お酒飲んでる時点で罪じゃないですかぁ。もぉ、やだなぁ〜、月野さんたらぁ♡あ、でもぉ、いつまでも月野さん呼びはよそよそしいですよねぇ。ここの女子メンバーは、みんなあだ名呼びしているんでぇ、月野さんの呼び方も考えましょー♡」


夕日の突発的な提案で夢姫のあだ名についての協議がが始まった。


「うーんとぉ。月野さんの下の名前ってユメキですよねぇ?……ユッキーは?♡アイドルのユッキーナみたいでかわいいしぃ♡」


「ゆ、ユッキー!?」


「えー?気に入らない?ぢゃあ、ユメユメ♡」


「ゆ、ユメユメ!?」


向かいの席にいた神風が話に入ってきた。


「おい、ユウユウ。月野さんが困ってるじゃないか。」


「はいはーい!俺はゆめちゃんがいい!」


「大河には聞いてねぇよ。」


「なにぃ?じゃあ、お前はなんかいい案があるのかよ、神風。」


「……えっ。」


「じゃあ、ゆめちゃん、でいいじゃん。」


「……ゆめきさん、が、いいんじゃないか?」


「つまんねーな、おい!なんのひねりもねーじゃんか!やっぱここはスタンダードにゆめちゃんでいいじゃん。」


「えぇー!??私のユメユメは〜?」


3人のやりとりを見兼ねた剛力が口を挟む。


「はいはいはーい!!三人とも、月野さんがかわいいからって取り合わないの!」


(か、かわいい…!?)


「なになに、月野さんのあだ名で揉めてんの??……んーそうだなぁ、僕もユウユウと同じ意見でユメユメかなぁ。」


「さすが、ユズく……剛力さん♡ユメユメに1票入りましたぁ♡」


「なんだよ、ユウユウ。こいび、いや、代表の1票は無効だろ!?」


「そうですよ、剛力さんが入ると余計に話が拗れます。」


なんだか収集が付かなくなってきた……。と思っていたところに、冷静なルリが話に割って入ってきた。



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