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初デート2


スカイタワーには多数の飲食店が存在するが、夢姫と神風は31階のとあるレストランに来ていた。

このフロアのレストラン街には、高さ150mの眺望が売りの、デートや記念日向けの店が軒を連ねている。

元夫はトレーニングバカだったし、生まれてこの方リア充御用達の素敵なレストランとは無縁の生活を送っていた夢姫は、窓から見える景色に大興奮だった。

子供のように目をキラッキラさせて窓の外を眺める夢姫に、神風はまたしても口に手を当てて「……か、可愛過ぎる……。」と小さく呟いた。

出てきた食事を堪能しつつ会話を楽しむ二人。

夢姫は食事の最後に出されたデザートを幸せそうに頬張っていると、神風が話しかけてきた。


「実はここには水族館があるらしいよ。まだ時間もあるし、良かったら行ってみない?」


「え、そうなの!?行ってみたい!私、ペンギンとクラゲが好きなんだけど、いるといいなぁ。」


「両方ともいるみたいだよ。」


「本当!?わぁ、楽しみ!」


キャッキャッとはしゃぐ夢姫をニコニコ眺める神風。

その様子は、まるで子供とその保護者のようで、二人の間にはなんとも言えない生暖かい空気が流れていた。

デザートを食べ終えた二人はレストランを後にして、早速水族館へ行くことにした。



ーーーーーーーーーー



「わぁっ、魚がいっぱい!」


ここはスカイタワーに併設されたスカイ水族館の中。夢姫は初めて訪れるスカイ水族館に興奮気味だ。


「あっ、ミツ君、あれ見て!カラフルな色の魚がいるよ。……あ、こっちには凄い顔の魚がいる!」


普段の落ち着いた口調の夢姫は何処へやら。

完全に童心に返ってあちこちで魚を観察する夢姫に神風はふふっと笑みを浮かべた。

笑われた夢姫は少しむっとした顔をして神風に突っ掛かった。


「……ミツ君、今、笑ったでしょ。」


「ごめん、ごめん。可愛くて、つい。楽しんでくれて僕も嬉しいよ。でも、あまり離れると迷子になりそうだから、手を繋ごう?」


そう言うと、はい、と神風は手を差し出した。

夢姫は急に恥ずかしくなり少し戸惑ったが、素直にその手を取ることにした。

恥ずかしさを紛らわそうと、夢姫はわざと神風の手を少し強めにギュッと握ってみた。すると、神風もギュギュ〜ッと強めに握り返してきた。

予想外に強く手を握られたため、夢姫はびっくりして顔を上げると、意地悪そうな瞳をした神風と目が合った。


「もう、ミツ君!私そんなに強く握ってないよっ。」


「すぐに手を繋いでくれなかったから、ちょっと意地悪してみたくなった。」


「ええ〜?なにそれ。」


「今度からは、恥ずかしがらずに手を繋いでね。」


「そ、外だと、ちょっと恥ずかしくて……。」


「僕とゆめきちゃんは恋人同士なんだから、スキンシップを取るのは普通のことでしょう?慣れていこうよ。」


正論を述べられ、ぐぅの根も出ない夢姫は「……はい。」とだけ答えた。

そんな夢姫を他所に、神風はクラゲの展示コーナーを見付けた様で、夢姫の手を引きながら口を開いた。


「あちらにクラゲの展示があるみたいだよ。行きましょうか。」


「え、本当!?」


夢姫は神風に引かれて場所を移動した。

少し歩いたところにクラゲの展示コーナーがあり、大小無数クラゲがゆったり漂っていた。


「うわぁ〜!凄い数!」


この展示コーナーは水族館の見所の一つになっているようで、それなりのスペースが確保されていた。


「クラゲって、見ているだけで癒されるよねぇ〜。」


「クラゲを鑑賞することでストレスが解消される、いわゆる癒し効果があることが科学的には証明されているそうですよ。」


「へぇ、そうなんだ!知らなかった!じゃあ、今日はクラゲ達にたくさん癒してもらおうっと。」


「……僕には、ゆめきちゃんが癒しの存在だから、一生僕の側にいて欲しいな。」


いきなりプロポーズのような発言をする神風に、心の準備が出来ていない夢姫はブフッと吹き出した。


「んなっ!?ミツ君、いきなり何言ってんの!」


「僕の願望を言っただけだよ。」


サラリと爆弾発言をする神風に、夢姫は「心臓がいくつあっても足りない……。」と、呟いた。

あまり長くクラゲコーナーにいると、また神風から爆弾発言が飛び出して来そうだ、と思った夢姫は、泣く泣くクラゲ達から離れることにした。

その後、一頻り魚を鑑賞した二人は、ペンギンのいる水槽に辿り着いた。


「わぁ、ペンギンがたくさんいる!」


たくさんのペンギン達が巨大なプール水槽で仲良さそうに泳いでいる。

岩場の上で仲良さそうに固まっているペンギンが数羽いるのに気付いた夢姫はぼそりと呟いた。


「あれは親子かなぁ?」


夢姫の独り言を聞いていた神風が返事をした。


「今年ペンギンの赤ちゃんが孵化したそうなので、もしかしたら親子かも知れないね。」


「へぇ〜、赤ちゃんペンギンがいるんだ。」


「三羽孵化したそうですよ。」


「三羽も!!それは水槽が賑やかになるね。」


「そうだね。……僕達が結婚したら、三人くらい子供が欲しいな。」


またしても神風の爆弾発言に、夢姫はブフッと吹き出す。


「ミ、ミツ君っ!」


「僕の願望を言っただけだよ。」


(もうやだあぁぁ、このやり取り……っ!)


夢姫はバクバク早鐘を打つ心臓を押さえながら、あと何回神風から爆弾発言が飛び出すのか、とゲンナリした。


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