社会人サークル「リーガル」へようこそ 3
夢姫とルリが更衣室から出てしばらくすると、夕日とマーサも集合場所に集まってきた。
全員集まったことを確認した剛力が話し始めた。
「よし、みんな揃ったね。……はい、注目!!今日から新メンバーが加わりました!月野さんと言います。
フットサルは未経験なので、みんな色々教えてあげて下さい。じゃあ月野さん、簡単に挨拶だけいいかな?」
剛力の隣に招かれた夢姫はその場で簡単な挨拶をした。
「はじめまして、月野と申します。フットサル未経験なので分からない事が多くてご迷惑をおかけするかも知れません。なるべくみなさんの足を引っ張らないように一生懸命頑張りますので、よろしくお願いします!!」
隣にいた剛力が笑った。
「あはは!月野さん、うちのサークルはストレス発散のために体を動かす事が目的で加入しているメンバーがほとんどだから、そんなに畏まらなくても大丈夫だよ!……ってな訳で、みんな仲良くしてあげてくださいね!」
(そっか、社会人サークルだもんね。趣味で来ている人がほとんどだから、ここまで真面目に答えなくても大丈夫なのか……。)
つい真面目に返した夢姫は、思わず顔を赤らめた。
剛力はそのまま話を続ける。
「じゃあ、さっそく初級と中級にメンバー分けします。……うーん、男性陣はほとんど経験者だし、初級の人数ってほとんどいないんだよね。月野さんが入ったばかりなのに初級の人数があまりに少ないのもちょっと淋しいしな……。」
「じゃあ、剛力さん。今日は僕が初級に入ります。」
「お!神風君、悪いねぇ。じゃあ頼んじゃっていいかな?」
「分かりました。」
「……うーん、でももう一人くらい欲しいかな。ちょうど良いや!大河君、お願い!!」
「ええ〜?俺?」
「今日だけだからさ。よろしく!!」
「へーへー、分かりましたよ〜。」
(神風さんはさっき道案内してくれた人よね。大河さんはいかにも元スポーツ少年って感じがするな)
大河は神風に比べて身長は低めだが、引き締まった体に日焼けした肌、サラサラの黒髪に、意志の強そうなパッチリ二重を持つイケメンだった。
「じゃあ、さっそくみんなコートに分かれて練習を始めましょう!今日は僕も初級チームに入ります。おい、小ノ道!中級の取りまとめヨロシクな!」
「はいはい、りょーかいしましたよ。」
小ノ道と呼ばれた中肉中背の優男は、中級チームのメンバーに声を掛け、隣のコートに移動した。
(あ、ルリさんとマーサさんは中級チームなんだ。)
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初級チームは剛力の指示のもと、早速練習に取り掛かることになった。
「じゃあ、まずは体慣らしに準備体操とストレッチとね。ペアを組みたいけど、今日は女子が一人余るからなぁ……。悪いんだけど、月野さん、今日は神風君とペア組んでくれる?次回からは自由に組んでいいからさ。」
「あ、はい、わかりました。神風さん、よろしくお願いします。」
「こちらこそ、よろしくお願いします。」
夢姫と神風がペアになったのを確認し、剛力が話を続けた。
「じゃあ、いつも通り準備体操とストレッチから始めまーす!」
どこからともなくラジカセを持ってきた剛力が、徐に音楽を流し始めた。それに合わせて皆も体を動かし始める。
夢姫も見様見真似で周りの動きに合わせた。
しばらく体を動かしていると神風が夢姫に声をかけてきた。
「月野さん。ここからはペアでの動きだから、ちょっといいかな?」
「あっ!は、はい!」
次の動きが分からずモタモタしている夢姫をリードするように神風が夢姫の手を取った。
「……やっぱり……」
「どうしましたか?」
「……いえ、何でもありません。月野さんは指が長いなぁと思って。ボールを掴みやすそうでいいですね」
「ボール?確かにそうかも?あはは、神風さんて面白いこと言いますね」
雑談しながら和やかな雰囲気でペアストレッチをしていると、剛力が冷やかしてきた。
「おぃ〜、神風君。早速口説いてんのぉ?いいねぇ、若いモンは!」
「違いますよ、剛力さん。雑談してるだけじゃないですか……」
「いいって、いいって!!オジサンは、他人の恋愛事に飢えてんのよ。サークル内は恋愛自由だし、若者の恋愛は大歓迎だよ!」
「ダメだ、このおっさん。人の話聞いちゃいねぇ……」
ゲンナリした様子で答える神風と剛力の掛け合いが漫才のように見え、夢姫は思わずクスりと笑ってしまった。