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【大河視点】俺とお前 後編

男の友情を書くつもりが、直しているうちにBL寄りに…。

そして大河の性格がどんどん歪んでいく〜。

サークルに入ってしばらくすると、お前は親父さんが代表を務める有名企業に就職が決まった。

縁故採用ではなく、実力でエリート採用枠の内定を勝ち取ったらしい。

……やっぱ、お前はすげーよ。

ちなみに俺もお前と同じところに応募したが、あの会社は日本だけでなく世界でも活躍する、歴史の長い有名企業だ。

倍率がとにかく高いことで就活生の間でも有名なところで、記念応募と称して毎年たくさんのエントリーシートが届くらしく、面接に漕ぎ着けるだけでちょっとした英雄扱いされる会社だ。

…俺も漏れなくエントリーシートの段階で門前払いを食らったため、別の企業に就職することになった。


別々の道を歩む俺とお前だったが、サークルとコーチという繋がりがあった。

しかし、サークルではお前目当てで寄ってくる女が度々いた。

俺はそいつらを見つけ出しては巧みに排除した。


……俺とお前の大事な空間に入る害虫は潰さないとね。


こー見えても俺はそれなりにモテる。

最初はお前目当てだった女も、俺が距離を詰めて甘い言葉で誘えばこちらに鞍替えした。

……そんな女の末路は決まっている。とっととサークルを辞めさせて、キリのいいところでポイ捨てだ。


そんなある日、新しいメンバーがやってきた。

……月野夢姫って女だ。

お前目当てで加入してきた害虫か?それとも真面目な加入者か?

俺はその真偽を確かめるべく、女の行動を観察することにした。

これと言って特徴のない地味女だったが、女よりもお前の態度にまず驚いた。

サークル中、お前はその女にやたらベタベタ触ろうとしたり、かと思えば変に紳士ぶってみたり、まるで初恋相手の気を引こうと必死になる童貞みたいな行動を取っていた。

驚愕したのはそれだけではない。

たまたま翌日ジュニアサッカーに駆り出されてみれば、お前はあの女連れで来ていやがった。

しかも、ご丁寧にあの女の首にはキスマーク付き。

ストイックなお前は、決してグラウンドに女連れで来ることはなかった。

……それなのに、あの女!

俺とお前の間を土足で踏み荒らして来やがって!!

お前は絶対にあの女に騙されてる!!!

俺はあの女を排除することに決めた。

だから、お前に言っておいた。

「もし、俺がゆめちゃん(という名の害虫)にアプローチして、ゲット(駆除)しちゃっても恨みっこなしね♡

(お前のためだ、早く目を覚ませ!)って言いたかったのさ。」


あの女は警戒心が強かったため、女と仲良さそうにしていたユウユウも交えて飲み会をする事にした。

ユウユウは代表の恋人だ。もしあの女がサークル内で揉め事を起こすような事があれば、それはすぐ代表に伝わる。そのため、ユウユウは都合がよかったのだ。


飲み会では、ユウユウを使って俺とお前の仲を女にアピールしてみたが、この女は鈍いのかバカなのか、全く効いていない様子だ。

そうしているうちにあの女は手洗いのために離席するといいだした。


……チャンスだ。


俺は「道案内を兼ねて」と嘘をつき、一緒に席を外すことにした。

この居酒屋はちょうど壁で死角になる場所がある。

そのポイントに差し掛かったところで、俺は足を止めた。

この女にははっきり聞いた方が早い。

お前のことどう思っているのか俺はストレートに尋ねた。

「え、えええ!!?いきなり何ですか!!会って間もないし、そんなこと分かりませんよ!!」

あの女は顔を真っ赤にして答えた。

男の家に泊まっておいて、その男が好きかどうか分からないだと?こいつ、相当なビッチか?それにしてはなんだかウブな反応だ。

俺は予想外の反応に混乱したが、ビッチな女ならちょっと距離を詰めて迫れば誘いに乗って来るはず……。

そう思い、一気に距離を詰めてみた。

だが、やはり女の反応がおかしい。……こいつ、もしかして処女なのか?


女の反応を確かめていると、急に手を掴まれ捻りあげられた。

「……いててっ!!」

タイミング悪く、お前に見つかってしまった。

お前は何かを勘違いした様子でひどく激怒しており、俺は慌てて弁明した。

「俺はゆめちゃん(という名の害虫)にミステリアス(どんな毒を持った虫なのか)興味あるよ♡ってアピールしただけじゃんか。」

その後、俺は害虫の毒を暴くべく、攻撃の手を緩めなかった。

「ユウユウいないなら、俺とゆめちゃん(と言う名の害虫)の(駆除の下準備のために)戻りが遅くなったって別に良くない?ゆめちゃんだってさー、こんな無愛想なやつより俺の方がいいだろ?

(さぁ、早くビッチの尾を出せよ!この害虫め!)

俺、こー見えて女の子楽しませるの得意だし、俺と一緒なら毎日がハッピーになるよ♡

(俺に靡いた後は、徹底的に叩き潰して二度と近付けないようにしてやるからな、この害虫!)」


「大河、お前は喋らせれば適当なことばかり言いやがって……!」


「何だよ、神風。邪魔すんの?ゆめちゃんの事何とも思ってねーならやめてくれる?

(お前のためなんだ!駆除作業の邪魔をしないでくれ!)」


これだけお前に害虫駆除のアピールしてもお前は引かなかった。

だから、俺は思い付いた。


「ふーん。じゃあさ、神風、次のサークルの練習試合中にどちらが多く点入れられるか勝負しねぇ?そうだなぁ。ペナルティは、勝ったやつの邪魔をしねぇ……ってのはどうだ?」


これなら俺が勝てば堂々と害虫駆除が出来るし、たとえ負けても秘密裏に駆除をすればいい。

そのための連絡先交換は済んでいる。


「いいだろう、受けて立つ。」


あぁ、早くお前と試合がしたいよ。

……お前もそう思うだろう?神風。



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