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社会人サークル「リーガル」へようこそ 1


文章内に汚い表現があります。

お食事中の方、閲覧注意。





「よっしゃ、今日は気合い入れていくぞー!」


 夢姫は一人鏡の前で張り切って支度をしていた。

 離婚後すぐに加入を決めた「社会人サークル リーガル」

 今日はその初日である。

 この社会人サークルはフットサルを中心とした活動をしてる団体である。

 それなりに体を動かすため圧倒的に男性比率が高かったが、老若男女問わず和気あいあいとした雰囲気があった。

 巷に溢れる飲みサーとは違い、しっかり体を動せそうなところに魅力を感じた夢姫は加入を決意したのだ。


 元々の夢姫は体育会系ではなく、バリバリの文化系だ。

 小学生までは体調に問題なく運動も普通にしていたが、初潮を迎えた辺りから極度の貧血に悩まされる様になった。体育が苦手科目になり、特に有酸素運動がダメだった。そのため、長距離走ではブッチギリの最下位で、走り切る前に貧血を起こして倒れることも度々あった。


(クラッと儚げに倒れるなんて、まずないからねぇ)


 貧血を起こすと強い吐き気に見舞われる夢姫は、意識を失う前に戻してしまう事が多かった。

 吐瀉物にダイブするかのように倒れ込む夢姫を男子生徒が揶揄って、「ゲロ()」なんてあだ名を付けられたこともあった。

 そのため、中学・高校時代は運動とは程遠い漫画研究部に所属し、ファッション紙よりBL本を買い漁る、典型的な腐女子であった。

 そんな黒歴史を持つ夢姫だったが、就職する際に体力のない自分に危機感を覚え、体質改善をしようと一大決心。

 病院に定期的に通院して服薬による本格的な治療を始め、時間がないからと抜いていた朝食を食べるようにするなど、生活習慣を見直した。

 その成果が実り、次第に貧血の数値が良くなった。

 数値が上がるにつれ、以前より格段に体が楽になり、貧血を起こして倒れることもなくなっていった。


 調子に乗った夢姫は、スポーツジムに加入し、本格的にトレーニングをして体を鍛えることにした。

 そこで夢姫の専属トレーナーとなったのが元夫である。


「月野さんですね! 初めまして伊志原(いしはら)と申します。スポーツジムは初めてなんですね。最初は慣れないことも多いと思いますが、一緒に頑張りましょう!」


 伊志原の爽やかな笑顔と挨拶に好感を持った。


(今思えば、あの笑顔に騙されたのよね……。)


 トレーニング初日は体がまともに動かず、翌日は激しい筋肉痛で寝込んだが、回数を重ねる毎に体も動くようになり、筋肉痛にも慣れていった。

 体を動かすことの楽しさを知った夢姫は、その後もジムへ通い続けた。

 元々持っている運動神経は良くならなかったものの、人並みにスポーツが出来る体へ変化していった。

 離婚の際にスポーツジムも辞めてしまっていたが、トレーニングで作り上げた体をそのままにするのは勿体ないと思い、運動出来る場として社会人サークルに目をつけたのだ。


(なんだか無駄に過去を思い出してしまった。はっ! いかんいかん、準備をしなければ!)


 正直なところフットサルのルールはあまり知らない夢姫だったが、単純に体を動かせて面白そうなところに惹かれた。


「さて……と。着替えに、タオルに、飲み物。よし、荷物もOK! ……って、あーマズいな、そろそろ出ないと!」


 時計を見ると予定時間を少しオーバーしていた。

 夢姫は慌てて家を飛び出した。


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