歓迎会の、その後6
夢姫と別れた後、大河は神風に話しかけた。
「おい、神風。どーゆー風の吹き回しだよ。」
「……何が?」
「何が?じゃねーよ。お前、ゆめちゃんにやたら執着してるじゃん。今まで女はシカトか遊びかの二択しかなかったくせに、急にどーしちゃったわけ?」
「お前には関係ないだろ。」
「つれないねぇ〜。お前のお気に入りのゆめちゃん、俺も気になるわ〜。」
「……お前、黙って聞いていれば好き勝手言いやがって。いい加減にしろよ。」
「お〜こわっ!睨むなよ!でも、気になるのは本当だぜ?」
「……何が言いたい。」
「もし、俺がゆめちゃんにアプローチしてゲットしちゃっても恨みっこなしね♡って言いたかったのさ。」
「…はぁ?ふざけるな!」
「まぁまぁ、そう怒んなって。じゃ、荷物まとめたし、俺先行くわ〜。」
そう言い残して、大河は颯爽とグラウンドから去っていった。残された神風は考え込むような様子を見せたが、しばらくして夢姫の元へ向かって歩き出した。
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「すいません、お待たせしました。いい加減、ゆめちゃんを送らないといけませんね。長いこと拘束してしまい、申し訳ない。」
「あ、いえ、そんな。私は練習試合の見学までさせてもらって楽しませてもらいましたが、神風さんの邪魔をしてしまった様で……。ご迷惑をお掛けしました。」
「全然迷惑ではないですよ。でも、大河が余計な事を……。」
「あー、あはは……。まぁ、私は気にしていないので大丈夫です。」
「そうですか。……ここで立ち話も何ですから、ひとまず駐車場へ行きましょう。」
そう言うと、神風は夢姫と共にグラウンドの駐車場まで歩き出した。
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「お待たせしました、どうぞ。」
駐車場から車を出した神風は、夢姫を助手席へエスコートした。
「ありがとうございます。」
パタンと車の扉がしまり、運転席へ神風が乗り込んできた。
「自宅近くになったら道案内だけお願い出来ますか?」
「あ、はい、わかりました。」
二人を乗せた車は再び走り出した。
「「……………。」」
グラウンドから自宅までは自転車でも行ける距離のため、車に乗っている時間も短い。しかし、無言のままなのもなんとなく気まずいと感じた夢姫はふっと神風の名前のことを思い出して、話題にしてみた。
「神風さんて、下のお名前ミツキって言うんですね。」
「はい、そうです。」
「実は従兄弟にもミから始まる名前の子がいるんですが、その子は小さい頃、よく周りからみっちゃんと呼ばれていました。神風さんは周りから何て呼ばれていましたか?」
「学生時代は神風かミツキ君と呼ばれていました。……あとは、幼少期に『ミツ君』と呼ばれていたこともあります。」
(………ミツ君?昔遊んだ男の子と同じ名前…?そーいえば、なんとなく目元が似ているような?いや、ミツ君なんてあだ名の人、他にもたくさんいるし、きっと思い違いよね。)
「……ゆめちゃん、どうかしましたか?」
「あ、いえ……ちょっと昔の事を思い出してしまって。すいません、なんでもないです。」
「……それは、もしかして、昔公園で「あ!この信号を右に曲がってください。その先を真っ直ぐ行けばすぐ自宅に着きます。あ、すいません、話を切ってしまいました。なんですか?」
「……なんでもありません。右ですね、了解しました。」
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「神風さん、自宅まで送ってもらい、ありがとうございました。」
「いえ、こちらこそ寄り道に付き合ってくれてありがとうございます。……では、またサークルで会いましょう。」
「はい!では、また。」
神風は車に乗り込んだ。手を振りながら見送る夢姫に、神風窓から軽く手を振り返し、そのまま車で走り去っていった。
「さぁーてと!まずは運動着とこの服を洗濯しなきゃ!!……そう言えば、神風さん、何を言おうとしていたのかな?ま、いいか。」
夢姫はガチャッとドアの鍵を開け、部屋に入っていった。
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