なんで最初のノリに戻ってんのよ!?
「おおおおおお!出でよ、静謐なる水竜の剣!」
「…………………………」
冴えない男が恥ずかしい台詞を叫ぶ。
一見すればそれはただの厨二病患者のイタい妄想。
そしてその傍らで呪文を呟く女も、ただの魔女っ娘コスプレにしか見えないだろう。
しかしここは異世界!
そう、この2人、つーか俺とこの女・マゴリアは、マジで真剣に剣の精製に挑んでいるのである!
「そう!これこそがファンタズム・マテリアライゼーション!!己の抱いた幻想を具現化し、この世に生み出す奇跡の魔法!!」
「ちょっとオスオミ、さっきからうるさい!!なんで最初のノリに戻ってんのよ!?マテリアライゼーションに集中できないでしょうがこのバカ!!!」
ガンっ!とマゴリアが持っていた杖で俺の頭を殴る。
こ、こいつ。
物理的に殴ってくるのは出会った時以来じゃねえか?
まぁアレは俺がマゴリアの存在を夢だと思ってて、ついそのエッチなボディに欲情して胸を揉んだというクソみたいな理由があるんだが……。
「痛ってえな!俺の妄想癖が治まって前みたいな伝説武器作るの難しいけど、少しずつリハビリしましょって言ってくれたのお前だろ!」
「そのイタいノリまで初期に戻してリハビリしろって意味じゃないわよ!普通に難易度下げてきゃ良いでしょうが、このバカ!」
俺たちはギャーギャーと言い合う。
すると階上から金髪巨乳のエルフが、可愛らしいエプロンを着て俺たちのいる地下室に降りてくる。
「もう、パパもママも喧嘩しないで。上の階まで響いてたよ?」
「お、おう。ごめんなマリル」
「ごめんごめん、オスオミがあんまりバカな事言うもんだから」
俺とマゴリアをパパ、ママと呼ぶこの娘は、別に本当の俺たちの子供って訳じゃない。
そもそも俺もマゴリアも人間で、エルフじゃねーしな。
この娘こそ、ファンタズム・マテリアライゼーションの最初の成果と言うべき、俺とマゴリアの努力の結晶、魔法の産み出した人造生命なのだ。
俺が妄想で『異世界で定番の人型生命体と言えば金髪巨乳エルフだよね!』と思い描いてしまったがためにこんな形で固定化されたのだが、その固定化はマゴリアにも解く事ができず、結局なんやかんやあって俺とマゴリアで育てる事になったのだ。
肉体は最初からこうだが、精神の方はそれこそ赤ん坊よろしくバブバブ言ってる感じだったのに、すっかり親代わりの俺たちを窘める成長っぷり。
「マリル、成長したなあ……」
「パパが言うとエッチな意味に聴こえちゃう。これも成長なのかな」
「学習というべきかしらね」
誤解だ!俺は確かにスケベでどうしようもない性格だが、マリルに対して欲望を露わにするほど人として逸脱していない!!
「どうだか。父親代わりなんて言っても血は繋がってないし、ふとしたキッカケで襲ってもおかしくないとあたしは思ってるけどね」
母親代わりのマゴリアの辛辣な言葉が俺に突き刺さる。
「私もこの間パパがお風呂覗いた件でちょっと信頼揺らいじゃったかな……」
マリルまでそんな事を言い出す。あれは事故だったし、なんならその後にマゴリアの魔法の誓約書で『事故でも二度と同じ事やったら勃起不全になる呪い』をかけられているというのに。
「くそう、父親の威厳は何処へ……」
「元々ないでしょ、そんなもん」
はぁ、と溜息をついて肩を落とす俺。笑うマゴリアとマリル。
「ま、ともかく焦ってもしょうがないわ。今日はもうこの辺にしてご飯食べましょ」
「そうだね。パパ、早く上がってきて」
「……ああ」
なんだかんだと俺をけなしたり怒ったりしつつも優しいマゴリアとマリル。
だから俺はこうして、生きていられる。
幸せだな。
俺は妄想で疲れた精神を休めるべく、3人での夕食へ向かうのだった。
第一部・完!からわずか1日置いての連載再開ですが、皆様お元気でしょうか!
イエーイ!
つーわけで妄想★マテリアライゼーション、第二部の開始です!
幸せな日々はいつまで続くのか、雄臣の減退した妄想癖は取り戻せるのか、
別に取り戻さなくてもこのままのんべんだらりと疑似家族疑似ハーレムで良いんじゃね?
とか思ってると多分シェリルが横合いから刺しに来そう!とか
まぁ個人的にネタはいくらでもあるんで続けたいなぁと思ってるんすよね。
フォーマットが偶然だけどアトリエ系スローライフに近くなったので、
そういうノリも入れてくかも!
ではでは!




