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妄想★マテリアライゼーション!  作者: 0024
第一部 妄想癖と幻想具現化
24/48

ありがとう。こんな俺の、家族でいてくれて

「……落ち着いた?」

「……うん」


 俺は地下室で座り込んでいるマゴリアに縋り付くみたいな形で抱きついていた。

 ひとしきり涙を流し尽くした頃には、声も枯れ果てて目は泣き腫らし、酷い顔になっていた。


「ほら、もう、シャンとして!マリルに見られたら情けないパパだって幻滅されちゃうわよ!」

「……うん」


 グスグスと(はな)を啜り、俺はマゴリアの叱咤を受ける。

 ポン、と優しく背中を叩かれて、手を引かれて立ち上がる。


「さーて、じゃあ明日からの製造計画見直して、王宮には次の納品は未定になるって言わないとね。……アンタも変に気負わないで、自分のペースで妄想すれば良いから。オッケー?」

「……うん、ありがとう」


 マゴリアの気遣いが身に染みる。

 俺のそんな様子を見てマゴリアはよしっ、と笑顔になると、言った。


「じゃあ、夕食前にちょっと顔洗って来なさいよ。つーか、ついでにお風呂入ってきなさい。ちゃんと、マリルの前では良いパパでいなさいよ?ただでさえアンタ、エッチで頼りないって思われてんだから!」

「ぶっ……」


 俺はあからさまにお前の俺に対する普段からの暴言のせいだろ、という突っ込み待ちみたいな冗談を言うマゴリアに、思わず噴き出してしまう。


「は、あはは……はは、あはははは……!お、お前が、俺の事、そんな風にマリルの前で言うからだろ……!」


 俺はそんなマゴリアの俺を元気付けようとするヘッタクソな冗談に、別の意味で感激してしまって、せっかく落ち着いてた涙がまた少し滲み出すのを感じた。


「ふん。それだけ笑えればもう大丈夫よね。さ、上行きましょう」


 そう言って俺の手を引き、マゴリアは階段を登る。

 俺は小さくマゴリアの背中に呟く。


「……ホントに、ありがとな」


「…………どういたしまして」


 マゴリアは照れているのか、ぶっきらぼうにそれだけ言うと、振り返りもせずにそのまま自室に帰っていった。


 ◇


 俺はマゴリアの言う通りに風呂へ向かい、顔を洗って体を流して気持ちをリフレッシュさせようと思った。


「……よし、入ろう」


 その時多分俺はまだ気が動転していたのかも知れない。

 風呂に誰か入っているという事に、気付けずにいた。


 ガラリ。

 俺が風呂の扉を開くと、そこには。


「あ……」


「あ」


 現在入浴中の、マリルがいたのだった。

 マテリアルから産み出した時以来に見るマリルの生まれたままの姿に、俺は固まってしまう。


「ぱ……」


「あっ。いや、ごめ……!」


 俺はすぐに目を瞑り、ゴメン、うっかりしてた!!と言おうとしたが、時すでに遅し。


「パパの、エッチーーーーー!!!スケベ、変態、サイッテーーーーー!!」


 マリルの叫びは浴室全体に激しく響き渡り、風呂桶や石鹸を投げつけられ、出てってよバカー!!となじられる羽目になるのだった。


 ◇


「……事もあろうに、自分の娘の裸を見てしまうという失態を犯した事に対する釈明はありますか、パパ」


「申し開きもございません……本気で面目ない………………」


「……アンタねえ……それだけはしないって信じてたのに、バカなの?死ぬの?マジで引くわ……」


 マリルが風呂から上がり、俺はジトーっと睨まれて入れ違いに風呂でサッパリした後、緊急家族会議が開かれてしまい、俺はマリルとマゴリアの両名に吊し上げられていた。


 あくまでも事故であって故意ではないという事は(俺の精神状態を知っていたマゴリアがそれとなくフォローしてくれて)信じて貰えたが、そういう問題じゃなく不注意にも程があるでしょうが!とたっぷり怒られた。

 そりゃあ、そうである。


「もー、私パパと一緒に暮らすの怖い。いつかパパの赤ちゃん産んじゃう事になるんじゃないかなあ」


 ここまで来ると流石に冗談だと分かるがマリル、今のパパはマジでクソ雑魚ナメクジメンタルだからそれ以上責めないで……。

 俺がガチ凹みしている様子を流石に見かねたマゴリアが助け舟を出してくれた。


「オスオミ、この誓約書に名前書きなさい」

「へ?何これ」


 言いつつも俺は今はただ従うのが得策だと判断し、マゴリアの言いなりになり名前をサインする。

 すると誓約書はボウッ……と淡く赤い光を放ち、契約完了の印が浮かび上がった。


「魔法の誓約書。アンタが今後、マリルの入浴中に今回みたいなうっかりをやらかしたら……

 あんたは勃起不全に陥る呪いをかけられるわ」


「何その地味過ぎる上に嫌な呪い!?」


 冗談か本気かはさておき、俺がマジの鬼畜親父になるのを防ぐには確かに実効性のある呪いである。

 マリルは大袈裟に胸を撫で下ろし、


「あー良かった、これで私、これまで通りパパの事好きでいられる!大好きだよ、パパ!」

「信頼が微塵も感じられない!」


 などと戯けるものだから、俺の中で燻っていた不安や恐怖は、いつの間にか雲散霧消していた。

 偶然だろうけど……俺はこの茶番劇に、謝罪と、感謝の気持ちを込めて、言った。


「……ごめんな。マリル、マゴリア。…………ありがとう。こんな俺の、家族でいてくれて」

妄想★マテリアライゼーション!24話をお読みいただきありがとうございます。


第一部、完結!!……なのか?

湿っぽくなった雰囲気をぶっ飛ばすラッキースケベ展開!!

開かれる緊急家族会議!!

地味に嫌な呪い!!

ーーーそして、雄臣の、鎧わない気持ち。


なんか良い感じに纏まったしこれで一旦終わりでも良いかも知れない!

今後どうすっかは、また考えます。


正直こいつら書いててすげえ楽しいので、脳汁バンバン出てますね。

やりたい放題万歳、ひゃっほう!!



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