ひっさしぶりに成功したわね!!
翌日。
ネカフェで得た情報をベースに、中級武器の精製に挑む俺たち。
事前の打ち合わせでレベル感、生成する武器のイメージを摺り合わせ、俺は妄想を高めていく。
中ボスクラスの敵を倒せる武器、その部下なら楽勝で薙ぎ払える武器……!!
マゴリアは薄緑色のマテリアルに魔力を注ぎ始め、やがてキーワードを発した。
『創造』
途端、烈風と共にマテリアルが魔力による外装を纏い始め……そこには顕現した。
「で……」
「できたぁああああああ!!!ひっさしぶりに成功したわね!!」
およそ1ヶ月ぶりくらいだろうか?
あまり価値がないものは精製成功してきたが、ここまでの成果は久しぶりなのだ。
ハムスター以来の大喜びを見せるマゴリアに、俺は顔を綻ばせた。
汗を拭い、俺は剣を手に取る。
「うっ、重」
中々の重量を誇るらしい中級ないし中の上級レベルの魔法の剣。
果たしてどれほどの威力を秘めているのだろうか。
「ちょっと待ってね。今魔力計測するわ……」
と、何やら魔道具を持ち出して剣に秘められた力を測定するマゴリア。
みるみるうちにマゴリアの表情が驚愕と歓喜に満ちていくのが分かる。
「や……やったわ。これ、準……いえ、伝説級の魔法具かも」
「マジで」
大成功じゃないか。
中の上程度のクラスなら上出来だろうと思って精製した剣ではあったが、マゴリアの魔力計測の結果としては、もうこのまま王宮に献上して良いんじゃないかしら!と言うくらいのシロモノらしい。
「でも、一応試し斬りくらいした方が良くないか?」
「それはそうね。魔力内包量だけのナマクラじゃあ、剣としては不完全だものね」
俺の意見に素直に納得し、マゴリアは剣を携えて外に出た。
「軽ーく振り回してみるわ」
「おう」
俺が持った時はあんな軽々しく持てなかったんだが、身体強化系の魔法をかけてるんだろうか。それとも、単に魔力を持つマゴリアだから軽く持てるんだろうか……などと考えていると、
「はっ」
軽い掛け声と共にマゴリアは剣を振る。
ビュゴゥ!!!
耳をつんざく音と共に、竜巻のようなものが発生するのを見た。
それは目の前にあった大木に向かっていくと、あっという間に大木をスライサーにかけた肉のように切り刻んでいき、ゴトンゴトンと輪切りにされた木が地面に転がっていった。
「すっ……げ」
マゴリアは軽ーく振り回したらしいが、それでこの威力か。
俺は驚嘆した。
「か、完璧じゃない……!これなら、絶対に行けるわ!」
マゴリアはいよいよ喜び、俺に向かって駆け出してくる。
「ありがとうオスオミ!アンタのお陰だわ!!」
「いや、そんな……でも良かったよ、これでマゴリアの任は……」
と俺が言いかけた所で、マゴリアは
「この調子でドンドン作りましょう!伝説の魔剣クラスは無理でも、これ量産して王宮の選りすぐりの兵士に持たせられたら、魔王軍なんて一網打尽よ!この国も安泰だわ!」
と言い出した。
「あ、そっか……1本作って上納しておしまいじゃないよな……」
そりゃそうか。見込みが甘かった。
「でも希望が出てきたわ!マテリアルはこの成果を見せれば王宮から幾らか支給してもらえると思うし、3日に1つくらい作って上納していきましょう」
「なんか錬金術系ゲームにそういうクエストあったな……」
俺はこの世界はドラゴンをクエストする系かファイナルなファンタジータイプかとなんとなく思ってたけど、マゴリアの任務ってそういえば、王宮からの命令だったんだよな。
魔王を討伐するんじゃなく、国を防衛する事。
終わりはそうそう、すぐに来ないんだ。
そう思うと俺は、マゴリアとの生活がまだまだ続くのだ、という喜びが生まれるのを感じた。
妄想★マテリアライゼーション!19話をお読みいただきありがとうございます。
中級クラスか上級クラスの烈風の剣、製造成功の巻。
この話の構造はアトリエ系だったのか……?書いてる本人にもよく分かりません、だって行き当たりばったりなんだもん!!
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