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妄想★マテリアライゼーション!  作者: 0024
第一部 妄想癖と幻想具現化
1/48

妄想癖

1時間くらいで思いついたネタです。

殆ど行き当たりばったりに書いていきます。

ハーレム展開あるかも。よろしくお願いします。


挿絵(By みてみん)

 無職になってしまった。


 原因はハッキリしている。

 俺が仕事中にボーッとしていることが多いからだ。

 不況の煽りや世の中に蔓延するパンデミックの影響も大いにあるだろう。

 しかし、俺の悪癖に依る部分もまた、否定はしきれない。


「ああ〜……どうにかなんねえかなあ、この妄想癖」


 分かってはいるつもりだった。

 だが、この辛い事ばかりの世の中で、俺にとっての心の安らぎたる妄想は辞められなかった。

 とはいえ、仕事中に妄想を捗らせてミスしたり遅れたりするのは、やはり心証が悪く、何度も注意されては謝り治そうとしては繰り返した結果が、この有様である。


「ぐだぐだ言っててもしょうがないな。新しいバイト見つけないと……」


 俺はバイト情報を探そうとスマホを操作して調べ始める。

 とりあえず、付近のコンビニ店員辺りでも……と小一時間ほど情報を調べた所で、自分の思考が逸れていくのを感じる。


「はぁ〜……こんな時、空から甲斐甲斐しく世話焼いてくれる美少女が降ってきたり、大国のエージェントから唐突に連絡があってスパイアクションを演じたり、世界が崩壊して生き延びるために奔走したり、物語の主人公ならそういう運命に出会うんだろうなあ」


 益体もない考えがグルグルと頭を回り、疲れて俺は自宅のベッドに倒れる。

 独り暮らし、築30年のボロアパートで俺はぐったりしていた。


「……つまんねえ世の中だな、ホント。あーあ、俺にも運命の出会い、来ないかなー!」


 と、その時ふと頭をよぎる。


「あ、そういえば前のバイト先の先輩言ってたな。『さえずったー転職タグ』とかいうのがあるって」


『さえずったー転職タグ』とは。

 さえずったーという、140字以内の短い文章を投稿して人々がシェアするSNSにおいて一時期流行っていたもので、転職したい人がそのタグを自分の『つぶやき』に入れて投稿する事で、それを観た採用担当者がその人の経歴とか希望年収とかを判断して、マッチングするという、まあ一種のヘッドハンティング的なハッシュタグなのである。


「先輩はエンジニア職になるからって使ってたけど、俺にはそんな専門知識ないし無縁だよなぁ……」


 そうは言いつつも駄目で元々である。

 俺は例のハッシュタグと併せて自分の経歴と希望年収を書き込み、さえずったーに投稿した。


「あ、タグ間違えた」


 確か例の転職タグは


 #tenshokusitai


 だったはずだ。

 疲れていた俺は綴りを間違えて


 #tenseisitai


 と打ってしまった。


「あーあ、こんなタグ俺しか使ってねえよ、恥ずかし。まぁいっか。どーせこんなのでバイトを見つけてくれる奇特な人、いるわけないよな……」


 俺はそうぼやくと、眠りにつく。


 目が覚めて起きたら、何もかも変わってないかな。


 そんな淡い期待を込めつつ、まどろみに身を任せるのだった。


 ◇


 気付いた時には俺は自宅のベッドではなく、冷たい石畳の上にいた。


「ん……なんじゃこりゃ」


 夢の続きか?


 周りを見渡すとそこは石造りの天井、見たこともない、というかアニメとかで観るみたいな冗談みたいなファンタジーの魔法陣が描かれて、儀式をしている。


「よく出来た夢だな………」


 ここまでくると俺の妄想力にも一定の評価をしてくれる人がいてもいいんじゃないか?バイトの役には立たんかもしれんが……


 などと思いながらボーッとしていると、石造りの部屋の奥にあった階段からバタバタと走ってくる音が聞こえる。


「あん?なんだ?」


 俺が訝り、目を凝らすと、そこには魔法使いの格好、としか思えないとんがり帽子と、妙に露出の多い服を着た女がいた。

 ファンタジーあるある、無意味に露出多いローブ。

 俺の妄想力、良い夢見せてくれるじゃん。

 そんな風に思いながら無遠慮な視線を夢の中の女魔法使いに向けると、その女が俺を信じられないような目で見つめながら叫んだ。

 まずい、夢の中なのに変態不審者さん扱いされるのか?

 とにわかに緊張した俺だが、女は全く想像もしていなかったセリフを口にした。


「や……や………やったぁあああああああ!!!成功したわ、召喚術!!!異世界からの転生者!!!こ、これでこの国の危機は救われる………!!」


 召喚術。

 異世界転生者。

 国の危機。


 ははぁ、そういう設定の夢か。

 最近観たアニメにもそういうのあったよな、なるほどなるほど。


 俺は納得し、これが自分の生み出した妄想である事を確信する。


「夢ならちょっとくらい触っても良いよね」


 俺は現実では出来ないスケベ心をあらわにし、目の前にいる女魔法使いに近付く。

 そして、ゆっくりとその胸を揉みしだいた。


「やわらかっ」


 夢とは思えないリアルな触感に思わず声が出る。

 と、その光景を見ていた女魔法使いは……


「……きゃ、きゃああああああああ何すんのよこのスケベ!変態!」


 パァン、と乾いた音が鳴り響き、俺の意識を完全に覚醒させる。


「え……痛った……」


 何。

 マジなの?

 俺、マジモンの異世界に転移したの?

 死んだわけじゃないはずだから転生じゃなく転移だよな?


 混乱の中、俺は女魔法使いに往復ビンタを喰らいつつ……これから始まるであろう非日常のアドベンチャーに胸躍る自分の意識に、自覚的になっていくのだった。

妄想★マテリアライゼーション!1話をお読みいただきありがとうございます。

気楽に楽しんで貰えるような作品を書いていきたいと思います。


少しでも本作を応援したいと思っていただけたなら、

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