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戦場立志伝  作者: 居眠り
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粉砕

第五十四話です。

 いきなり現れたハル平和連合軍第二防衛艦隊に対してウィリバルトは正直なところ戸惑った。

元々帝国との戦争を止めようとする任務はハル平和連合にはあった。

つまり外交工作だ。

だがほぼ飾り事で機能しておらず、ただただ宇宙海賊アビスの出没する宙域に艦隊やパトロール艦隊を派遣するだけ…といった感じだった。

本拠地も見つけられぬ無能とごく一部では囁かれていたもののハル平和連合が輸送船団の護衛や掃討を行うことで被害は八割近く抑えていた。

なので表立っては言われないものの、ハル平和連合に異動となった軍人は本土のゾラ星の一部軍人から嘲笑されることがあった。

「お荷物が異動だ。無能は無能の巣に行くか」

と。

もちろんほんの一部の軍人のみであり、他の者は感謝したことはなくとも馬鹿にするなどなかった。

しかしどうしても正規軍同士の会戦に比べるといまいち華がなかった。

だがその練度は大量の小型艦を相手にしたりするので情報処理能力が高い、頭の回転が速いといったように高かった。

ウィリバルトもこのこともハル平和連合が有志連合軍側ということも知っていた。ただ…


“お届け者”


この言葉が引っ掛かった。

一瞬”物”かと思ったが

「人ですよ」

と即答されたのでならば誰だと問おうとした途端通信が途切れ、終わった。

交戦距離に近づき、大量の電波にあちらとこちらの回線がダウンしたのだろう。

悶々としていたが戦場に舞い降りたこの大チャンスを逃すわけにはいかない。

ウィリバルトは全軍に総攻撃命令を連絡艇、通信、発光信号。あらゆる手段で指示した。

もっとも中央の混成艦隊と第五戦闘艦隊は敵第三戦闘艦隊、第十四機動艦隊と白熱した戦闘を繰り広げているので指示が見えているか、もしくは届くか怪しいところだが。

左翼の第九航宙艦隊はやや劣勢な為、防御に徹すると後方宙域に待機させておいた連絡艇同士の繋ぎ連絡ですぐに返答が来た。

つまり戦況をひっくり返せるのは第七航宙艦隊と第二防衛艦隊の二艦隊というわけだ。

ウィリバルトは武者震いを感じたが毅然と右翼全空戦隊と艦隊に総攻撃を命じた。

「全軍、突撃!!」


「旗艦ヘルダーより通達。全機突撃せよ!」

グレーデン少佐が興奮したように言い、ギルマン少佐が盛大に口笛を鳴らす。

普段は物静かなゲッツ少佐でさえワクワクしたような顔で十字を切っている。

元友軍同士の内戦とはいえ戦場に戻ってこれたのが嬉しいのだろう。

アルベルトももちろん嬉しい。だが戦闘を開始するにあたって一つ彼らに言っておかなければならないことがあった。

「いいか諸君。相手は敵といえども元戦友達だ。なるべく殺すな。いいな!」

そう。いくら内戦に勝ったところで人材がいなければ軍は弱り、国は滅ぶ。

それを起こしてしまっては何のための内戦かということになる。

絶対に、避けなければ。

「はっ!」

「まかせろ…いえ任せてください!」

「了解」

グレーデン、ギルマン、ゲッツの三少佐とも意味を理解したようだ。

「よし、Attacke‼︎!」

アルベルトの掛け声と共に先頭の四機は出力を上げ、まずは第十三機動艦隊に狙いを定めた。

敵左翼艦隊の最前列であるこの艦隊を潰すことで敵の勢いを殺ぐのだ。

「敵空戦隊より四機が突出して接近!新型機のようです!重戦闘機一、戦闘機三!」

「対空砲火を浴びせろ!それと直掩機、迎撃!」

第十三機動艦隊司令官ゲープハルト少将は落ち着いて指示を飛ばしたが内心焦りまくっていた。

「まずい…もうすぐほぼ全ての艦艇のシールドが削り切られる…相手も同じだとして…だがあの数の空戦隊は…」

口の中でボソボソと呟いていたが副官はおろか彼の幕僚達は対応に追われ、誰一人として聞いてはいなかった。


「いいか、三人は艦艇のエンジン、主砲を狙え!戦闘不能にするんだ!」

「中佐はどうなさるんです?」

ゲッツ少佐が問い掛けるとアルベルトは即答した。

「俺は空戦隊を落としにかかる!」

次の瞬間、迫り来る敵空戦隊にエンジン全開でティーガー・ワンは急速接近した。

最初に狙われたエアハルトのパイロットは正面から襲いかかってくる飛翔体に反応出来ず、片翼を切り落とされスピンする機体からかろうじて脱出した。

「なんだ、何が一体…?」

混乱するパイロットが見た光景は目を疑うものだった。

空戦隊十機以上を次々と屠り、また次の空戦隊へと襲い掛かる鷲の機体。

ミサイルを撃ちまくり、機関砲をばら撒くその機体は軍事同盟軍空戦隊を圧倒していた。

しかも確実に、パイロットが死なないように墜していっているのだ。

よく見ると自身と同じように機外へ脱出したパイロットが救難信号を出しながら宇宙で泳いでいる。

手加減されてあの実力。

アンハルト・フォン・ホーエンツォレルン大佐はパトリオットに乗っているから彼ではないことは明白だった。

同じくエースパイロットだがあまり目立たないシンヤ・ノダ少佐はエアハルトで戦っているはず。

軍事同盟軍のエースパイロット、ティモ・アムルガルト大佐は戦死したしそもそも有志連合軍ではない。

となるとトラファルガー会戦、ドーヴァー星域大会戦で活躍したゾラ連合軍のエースパイロットの一人。

アルベルト・フォン・バイエルン中佐を思い浮かべる。

「いや彼は…戦死したはず…じゃあ、あれは…誰だ!?」

鷲の機体に墜とされたパイロット達は手加減されたと憤る前にかの機体のパイロットの正体に夢中だった。

なんせ連合の中でも屈指の実力と若さのアルベルトかもしれないからだ。

生きていればこれほど嬉しいことはない。

宇宙に漂う彼らは自身の無様な姿よりも英雄が還ってきたかもしれないという妄想に狂喜乱舞した。


実際、鷲の機体のパイロットはアルベルトその人であった。

いやーアルベルト無双するのは書いてて楽ーっすわ(ゲス顔)

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