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戦場立志伝  作者: 居眠り
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空戦

第四十七話です。

 有志連合軍空戦隊六百機のうち百機は要塞所属の空戦隊である。

要塞空戦隊のパイロットはほぼ全員が初陣だった。

なぜなら彼らの母なる要塞は一度も敵と砲火を交えなかった存在だったのだ。

もちろん転属で最前線から異動してきた歴戦のパイロットもいるが十人に満たない。

そして軍事同盟軍の空戦隊や上層部はそのことを知っていた。

機数で劣る軍事同盟軍はまず要塞空戦隊の排除にかかったのだ。

「全機に告ぐ。敵要塞空戦隊を優先して狙え。それと要塞砲グングニルに取り付くのも忘れるな。グングニルを撃たせてはならん!」

ゼッフェルン中将が吠え、それに応えるかのように軍事同盟軍の通信回線は怒号で満たされた。

「各機散開!要塞空戦隊はグングニルを守れ!艦隊空戦隊は要塞に近づく敵機を墜とせ!行くぞ!!」

アンハルトが彼らしくない話し方で味方を鼓舞し、友軍機もそれに応えた。

普段こういう激励はいつもアルベルトがやっていた。

彼がいないせいかいつもより若干士気が低いが殺らなければこちらが殺られる。

皆必死になって操縦桿を握って、アクセルを踏んだ。


戦闘開始から僅か一分。

「総隊長!後ろは任せてください!」

そう言った若い曹長はたちまち敵機に後ろを取られて被弾した。

相手もベテランパイロットが大勢いる。

一瞬の油断が命取りだ。

アンハルトは若い曹長に帰還命令を出し、自身は選りすぐりの空戦隊と戦場を駆け回った。

友軍機が背後から敵機に襲われているのを瞬時に叩き落とし、破られた防衛線には新しい空戦隊を向かわせた。

総隊長としての指示も出しつつ一人のパイロットとして戦っているのである。

要塞からウィリバルトや管制官が作戦指揮に努めてはいるがやはり現場にいるアンハルトがやったほうがいい。

当然のことながらかなりの集中力、判断力、情報統制力がいる。

アルベルトは百機程度の全体指揮なら出来るが数百機は不可能だ。

しかしアンハルトはウィリバルトの次席副官を務めているだけあって指揮能力や自身に送られてくる情報を処理する能力に長けている。

一会戦ぐらいはなんとかなるのである。

次の敵軍のアクションにどう対応するか対抗策を練っていたアンハルトのレーダーに三時方向から急速に近づく敵機を確認した。

「総隊長、敵機です!三時方向!」

そう部下が言った時にはアンハルトのパトリオットは機首を上げ、突っ込んできた機体を軽く避けた。

敵の機体のフォルムと発砲された際の光を見たアンハルトはすぐに敵機の種類を判別し、部下に知らせた。

「総員警戒!あれはエアハルトM二-Teだ!」

エアハルトM二-Tとは通常のエアハルトの派生型で今年生産が開始された新型機である。

開発者はゾラ連合の空戦技術の第一人者トイフェル博士だ。

M二-T型はパトリオットより強力な三十二ミリ機関砲と七.七ミリ機関銃を二基ずつ、さらにミサイル十四本装備しており、(パトリオットは三十ミリ機関砲×二基とミサイル二十本。エアハルトは二十ミリ機関砲×二基とミサイル二十四本)パトリオットに引けをとらない性能なのだ。

すると敵機のパイロットが通信を呼びかけてきた。

通信を繋ぐとコックピットの片隅にあるモニターから今にも倒れそうな老人が出てきた。

「お前さん、今のを避けるのか。見たところ隊長機であろう?指揮もこなしつつでその腕は若いのに素晴らしい!」

「ありがとうございます。恐縮ですがそちらは?」

カッカッカと笑った老パイロットは恥ずかしそうに答えた。

「すまんのぉ、名乗るのを忘れとったわい!わしはティモ・アムルガルト大佐じゃ。お前さんは?」

「私はアンハルト・フォン・ホーエンツォレルン大佐です」

落ち着いた声で返答する。

アンハルトの機体から少し離れたところで回遊するエアハルトM二-Tは大胆にも背中を見せたりしながら話しかけてくる。

アンハルトが撃たないと信じ切っているのだろう。

アンハルトは撃とうとは思わなかった。

パイロットには職人気質が多く、正々堂々と名乗ってくるパイロットには敬意を払う者がほとんどだ。

「それにしても若いのにもう大佐か…。お前さん、ガンダー帝国との戦争をどう思う?」

唐突に帝国の名を出したアムルガルト大佐にアンハルトは迷いなく答えた。

「無益ですね。最前線では常に中堅が不足しています。少数のベテランに対して新兵が多すぎます。パイロットはそもそも選りすぐった精鋭ですから特にその点、意識することは少ないですが…。しかし艦艇に乗る兵士は違います。彼らの多くは徴兵された市民です。生き残る為に必死なんです。それなのに軍上層部…防衛大臣をはじめとする高級士官は老人ばかり!後衛で指示のみをし、最前線は若者、もとい子供ばかり!戦死者の数を数字上でしか知らない!その死んだ兵士達は!まだまだ明るい未来があったかもしれないというのに!!!」

「総隊長…!」

後ろで控えていた十五〜八歳のパイロット達が自分達に対して思っていることを吐露したアンハルトに唇を震わせた。

「私だって若い!まだたったの二十一だ!しかし部下や上官を見渡せば半分以上が未成年だ!まともに学校を卒業させてもらえず、軍に入らさせられる子だっている!こんな状態で、戦争継続?馬鹿らしい!私たちは一体、何の為にこの命を懸けて戦はねばならないんだ!!!」

一分の内に早口で普段の丁寧な言葉遣いを放り投げて激昂したアンハルトは怒る相手を間違えたことに気づき、慌てて謝罪しようとした。

だがそれを察したアムルガルト大佐は手で止めるように促した。

「お前さんみたいな者が政界に居ればな…。今現在は実質的な独裁となったが、穏健派といえばホラント大統領、フィンケ副大統領の二人きりじゃった。他はなぁなぁで議員や大臣をしとる。わしも戦争は嫌いじゃ。己が戦闘機に乗り、戦うことは嫌いではないが自分の息子と同じくらいの歳で死んでいくのを見るとな…。ホーエンツォレルン大佐、貴官と話せて良かった。だがこれ以上話すのは貴官らの空戦隊の足止めにもなる。それはならん」

アムルガルト大佐の目がなにかを帯びたように見えたアンハルトは叫んだ。

「待って下さいアムルガルト大佐!我々の思いは同じ!空戦隊を引いて下さい!」

だがアムルガルト大佐は首を振った。

「貴官の思う事は正しい。だが強敵を倒す力はまだないと見える。わしを倒して、連合の最強のパイロットとなり、この無駄な内戦を終わらせ!二百年以上続く忌まわしき大戦争を終結させてくれ!わしにはもう寿命がない。さぁ来い若人よ!己の言葉を叶える為にわしを、いや。エアハルトM二-Tを墜としてみせよ!!!」

そう言って急速接近して来たエアハルトM二-Tを避けたアンハルトは戦闘宙域の全部下たちに命じた。

「総員に告ぐ!敵を各個撃破し各々の戦線を維持せよ!現場指揮は各隊長機に委任する!以上!」

そしてパトリオットのエンジンが青く輝く。

「アムルガルト大佐!その試練、受けて立ちます!」

「そうこなくてはな!それっ!行くぞ!」

戦闘開始から五分。両軍のネームド機同士が激突した。

いやぁ最近兄が就職で家を出たので念願の一人部屋を確保した居眠りです( ^ω^ )

そんなことは置いておいて、さてガチ空戦が始まろうとしてますがこの居眠り、兵器類に関してはほぼ素人なので多少「こんなん技術的にありえねー!」となっても居眠りワールドはokということで温かく見守って頂けると幸いです

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