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戦場立志伝  作者: 居眠り
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意地

第四十三話です。

 第十二艦隊は降伏した。第十一艦隊は旗艦を含め十何隻か行方不明。戦闘続行が可能なのは第一親衛艦隊及び第十艦隊のみとなった。

第十艦隊司令官ドナルド・マギー中将は既に戦意を喪失していた。

戦況によってではない。

勿論それもあるにはあるが最大の要因は総司令官達にあった。

艦隊が半減したにもかかわらず依然突撃を指示し、攻勢を中止してほしいというマギー中将の通信も

「私は退かんぞ!!!」

の一言で切られてしまった。隣のオズワルド大将もただ頷くだけである。

キャボット中将は行方知れず、勇将マッケンジー少将は投降した。

「私がこの大会戦で戦う理由はなんだ…!」

マギー中将はそう呟き、傍らに控える副官にこう言った。

「我が第十艦隊は帝国軍に降伏する。全艦隊に通達しろ。」

「しかし閣下!閣下のマギー家は代々第一皇子に仕える家系なのでしょう?見捨ててよろしいのですか?」

「飼い主に死ねと言われたのにまだついて行く必要があるか?」

「ですが…」

「私のこと馬鹿にしたりするのはまだいい。だが行方不明のキャボット中将を心配されることもなく、使えん奴と仰った。マッケンジーも降伏したと言ったら大声で怒鳴り、詰った。マッケンジーは降伏したくてするような男ではない。あの二人を貶す奴は誰であろうと許さん」

「…分かりました。全艦隊に知らせます」

副官は頷き、第十艦隊は戦線を離脱し、帝国軍に降伏した。

これを知ったチャールズ皇子は激怒し、攻撃を命じたが巧みな艦隊運動と見事なタイミングで一隻の被害を出すことなく帝国軍の艦隊内に収容され武装を解除した。

この第十艦隊の降伏に対する対応を帝国軍首脳部は一時揉めたが

「マギー中将はそう簡単に降伏なさるお方ではありません。これが罠だとしても彼のプライドが許さないでしょう。敗者の私が言うのも僭越ですが恐らく罠ではありますまい」

罠かどうかを審議する場で召喚されたマッケンジー少将の言葉により急速に収容したのだ。

急速に収容した訳はこの内乱はもう終わると踏んだアーサーが

「この内乱が終わったら帝国を再建せねばならん。軍艦は一隻でも残った方がいい」

と言ったからである。


「どいつもこいつも私に楯突きおって!…えぇい、オズワルド大将!何か策はあるか!」

「ええと…私に言われましても…おい!ファラデー!何かないのか!」

宮廷警備武官のコンスタント・ファラデー少佐はいきなり振られた話にも動じず、静かに提案した。

「現在の状況で再度攻勢をかけるのは無意味です。ですがまだチャンスはあります。他貴族の援軍です。あと一日もすれば到着するでしょう。それを待つべきです」

宮廷警備武官にも分かるようなことを分からない二人はなるほどといった顔になり、素直に艦隊を後退させた。

だがこの時に三十隻のチャールズ軍艦艇が逃走。帝国軍に降伏した。

第二親衛艦隊は百三十二隻となってしまった。

しかし他貴族の私有警備艦隊は総数約百隻にのぼる。

合流すればまだ勝機はあった。


帝国暦三百十五年十月十八日午前三時。

チャールズ軍は貴族軍を視認し、合流しようとした。

が、突如貴族軍が発砲。第二次サウスエンド=オン=シー沖会戦が始まった。

チャールズ軍はやっと援軍と合流できると思っていた為激しく狼狽し、無様に撃沈され降伏していった。

「何故だ!何故私を裏切る!?」

そう貴族軍に問いかけたチャールズへの答えは単純明快を極めた。

「皇帝陛下の勅令により、反逆者チャールズ、クラレンドン公爵夫人、オズワルド大将を捕らえる。大人しく投降せよ」

貴族軍代表として答えた若い貴族はそう言って降伏を呼びかけた。

頑として受け付けなかったチャールズとオズワルド大将であったがファラデー少佐がそれを強く諫めた。

「今降伏すればまだお命は助かるかもしれません。しかし降伏しなければ確実に殺されます。それにもうこれ以上我が軍に継戦能力があるとは思えません」

すると腰のホルスターから拳銃を抜き取り、その銃口をファラデー少佐に向ける者があった。

オズワルド大将である。

「貴様…ただの宮廷警備武官のくせに殿下やこの私に具申する権利があると思うか!?」

「ですが閣下…!」

その言葉を最後までファラデー少佐は言えなかった。

乾いた破裂音が艦橋内に響き渡り、胸に一つ穴を開けた少佐は膝から崩れ落ちて前のめりに倒れた。

オズワルド大将の荒い息に我を取り戻したチャールズがへなへなと指揮席に座った。

人が殺されるのを初めて見たのである。

しかも信頼する大将が忠実な宮廷警備武官を撃ったのである。

確かにチャールズもファラデー少佐の言い分に従う気もなかったが、かといって殺す気もなかったのである。

そんなチャールズに気付かないオズワルド大将は

「主砲撃ち方用意!目標、第一親衛艦隊旗艦セント・ヴィンセントⅢ!!」

と叫んだ。

その時、

「まだ分からんのか、この低能め!!!」

かすれそうな、だが力強い声と共に発砲音がした。続けて二発。

オズワルド大将の煌びやかな軍服に三つの穴が開き、後ろを振り返ろうとしたが途中までしか体を支える力なく、変な体勢でオズワルド大将は倒れた。

心臓部分に穴が開いている。

ダニエル・オズワルド大将は死亡した。

撃ったのはファラデー少佐だ。

口から血を吐きながら怯えるチャールズに最後の忠告をした。

「殿下…私から言えることはただ一つ…降伏なさい…でなければ…貴方…は死にます…」

そう言ってファラデー少佐は絶命した。

「ひっ…」

死んだファラデーの顔を見てチャールズは喉から裏返った声を上げ、失神した。

それを見た将兵は既に戦意をなくしていたので帝国軍と貴族軍に降伏を宣言した。

帝国の内戦はやっとこさ終わりました…_(┐「ε:)_

しばらくしたら今度は連合の話になります( ̄∀ ̄)

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