円卓戦争
第三十七話です。
帝位継承会議。
宰相であるオズワルド公爵の進行のもと帝位継承権第一位のチャールズ皇子が帝位につく。
はずだった。
アーサー皇子が挙手し、オズワルド公爵の怪訝そうな視線を受けた後すぐに本題に入った。
「チャールズ皇子。貴方に帝位継承権放棄をお願いする」
「……は?」
チャールズ皇子がポカンとした表情で発した言葉を聞いたクラレンドン公爵夫人が貴婦人にあるまじき大声で怒鳴り始めた。
「ア、アーサー皇子!貴方はっ!何様のつもりで!誰にそんな不遜な物言いをなさっているのです!!ここにおわすのは次期皇帝陛下であらせられるチャールズ皇子ですのよ!?」
「それを辞めていただきたいとお願いしているのです。クラレンドン公爵夫人、貴女に聞いているのではない」
素っ気なく返事をするアーサー皇子の態度に更に怒りを増幅させたクラレンドン公爵夫人をオズワルド公爵が席を立って制止しようとした時にチャールズ皇子はやっと質問を口に出した。
「なにゆえ誉あるガンダー帝国の第一皇子、このチャールズが帝位継承権を放棄せねばならんのだ!」
「誉ある身ならば何故御自身を鍛錬し、国政に関する知識を蓄えようとしない!貴殿が今までやって来たのは贅沢三昧と、買収だけだろう!!」
そう言って怒鳴り返したアーサー皇子の隣に着席していたウィリアム皇子がタイミングよく斜め右方向に座るチャールズ皇子に向かって書類を投げ飛ばした。
慌ててそれを手に取り、中身を席を飛び上がって駆けつけたクラレンドン公爵夫人とオズワルド公爵と共に覗き込む。
そこにはなんとチャールズ皇子がしてきた贅沢三昧の証拠とそれの出費。
まだこれは良かった。
だが問題は先帝ジェームズ九世の暗殺者がチャールズ皇子に買収され、実行したという証拠の写真だった。
その写真には暗殺者の所持品に紫薔薇のサインがついた暗殺依頼書が写っていた。
皇室男子の者にはそれぞれ成人(帝国も連合も十八歳で成人)すると固有の薔薇の色が与えられる。
チャールズは紫薔薇。アーサーは赤薔薇。エドワードは緑薔薇。ウィリアムは青薔薇。ウェールズは黒薔薇。
このように各々異なる色と形の薔薇が与えられる。これをアーサーはトリックに使ったのだ。
本当のことを言えば暗殺者は潜伏していたウォーベック子爵の手先。
持ち物にもそれを示す証拠は幾つかあったが暗殺現場に居合わせたエドワードにアーサーが指示を飛ばし、信頼するエドワードの側近が回収し、新たな証拠として紫薔薇のサインを完全にコピーしたものをそれらしく書いた偽暗殺依頼書に書いてでっち上げたのだ。
アーサーがエドワードに指示していたのはこれだったのだ。
帝位継承権第一位の余裕から一転、窮地に立たされたチャールズ皇子の顔は蒼白だった。
クラレンドン公爵夫人は驚きのあまり冷静さを更に失い発狂した。
オズワルド公爵の制止を振り払い、一直線にエジンバラ公爵夫人に詰め寄って怒鳴り散らした。
「あんたのせいよ!あんたのせいよ!!あんたがあんな息子を産んだからこんなことに!!!」
という筋が通っていない意味不明な発言をした次の瞬間。
バチッ!という張り手の音が会議室中に響き渡った。
叩いたのはエジンバラ公爵夫人。叩かれたのはもちろんクラレンドン公爵夫人。
「巫山戯ないで下さい。親を暗殺する子を育てるなんてっ!貴女は人として、親として失格です!!!」
涙を振りまきながらそう言い放った直後、ウィリアムがクラレンドン公爵夫人を。今まで会議の成り行きを見守っていたマンチェスター侯爵がチャールズ皇子を押さえつけ、地に這わせた。
大声で騒ぐ二名をエドワードが呼んだ衛兵が捕縛し、地下牢へと連行していった。
あまりの急展開に驚きを禁じ得ないウェールズ公爵の前にアーサー、エドワード、ウィリアムの三人が拝跪し、帝位継承権放棄を宣言。
新帝ウェールズ五世としての即位を求めた。
ストック足りん(°▽°)




