枯れ木
第三十四話です。
エレベーターのワイヤーを降下し、エレベーターの天板を外し、もう一度ヘンダーソン大尉に扉を開け壊してもらい、ようやく地下通路に達することが出来た。
細長い通路を走っていくとしばらくして大きな部屋、というか空間が現れた。
厚そうな壁の一部に付いているガラス窓から見えたのはどう見ても宇宙船だった。
「くそ!ウォーベックの奴、私有宇宙船で逃げる気か!」
「面倒なことを…」
ウィルモット少佐が怒鳴り、ヘンダーソン大尉がため息を吐く。
「それよりもお出迎えだぞ!」
ネルソン大佐が連隊員達に警告し、残存テロリスト達が少しでも時間を稼ぐ為に捨て身の特攻をしてきた。
人数は五十人余りと一番多い数だったがアサルトライフルやマシンガンで効率よく狩っていった。
そうしている間に宇宙へのゲートが開放してしまった。そして徐々に真空の空へと進んでいく。
「逃げられます!如何なさいますか!?」
連隊員達が騒ぎ立てるが落ち着いて通信兵に駆け寄り、銃弾が飛び交う場所で物陰に隠れつつ、King Tigerは受話器から大声で叫んだ。
「監察大臣殿!ターゲットは私有宇宙船にて脱出する模様!”ジェームズ”に一番近い艦隊は!?」
「第十三艦隊のオブライエン少将が展開しています。兄と弟も待機しています。直ちに追撃させます」
「助かります。お前達!この野蛮人共を蹴散らすぞ!!」
ひとまず安心したネルソン大佐はマガジンが空になるほど乱射した後、銃を捨ててスペースソードを引き抜いた。それほど既に近距離に持ち込まれていたのだ。
「はあああぁぁああ!!!」
叫んで突貫して来たテロリストのスペースソードを盾で受け止め、無言で必殺の刺突を心臓にぶち込む。
「ぎゃあああぁぁぁ…」
心臓に的確な一撃をもらったテロリストはぐったりとして、死んだ。
ネルソン大佐が返り血を拭いながら周りを見ると、三つの死体を足元に転がらせながら二人のテロリストと闘うヘンダーソン大尉、練達の射撃でたちまち四人の顔面を撃ち抜いたウィルモット少佐、その他の連隊員がテロリスト達を打ちのめしていく。
「クリア!」
「クリア!」
「クリア!」
「オールクリア!」
最後の締めをウィルモット少佐が発し、血みどろの戦闘は終わった。
負傷者はほぼ常に近接戦闘を繰り広げていたヘンダーソン大尉が頬に殴られたのみでありその傷もやっと追いついた後続の武装憲兵隊や陸戦隊第七連隊の衛生兵に治療されておりこの一連の戦闘、後にブリスデン病院殲滅戦と呼ばれる戦いは帝国軍陸戦隊、武装憲兵隊合同部隊の圧勝に終わった。
その頃、ウォーベック子爵は私有宇宙船キャンベラの艦長席の隣の席で怒鳴り声を上げていた。
「早くワープしろ!いつになったらワープ出来る!?」
「エンジンを温めるのが軍用船と違い、輸送船なのであと五分ほど…」
「あと五分だな!?あと五分なんだ…な………?」
急に豊満な顔の血の気が消えていく子爵を輸送船艦長が不審に思い、問いただそうとした時、オペレーターが叫んだ。
「レーダーに感!艦数、識別番号、旗艦の種類により、…第十三艦隊です…!」
振り向いたその顔は顔面蒼白だった。
ウォーベック子爵が見つめていたのはこのレーダー探知機の画面だったのだ。
「通信が来ています!」
別のオペレーターが報告し、即座に艦長が答える。
「スクリーンに出せ」
その声も震えている。
直ぐスクリーンの電源がつき、顔色が蒼色の輸送船クルーと正反対なオブライエン少将の血色の良い顔が映る。
「ウォーベック子爵、通告致します。…直ちに停船せよ。それと輸送船クルーはウォーベック子爵を差し出せば大逆罪の罪は取り消しとし、公務執行妨害だけとする。と陛下を仰いました。決断せよ。今すぐに」
最初の敬語とその後に続く命令文の温度差は並の男なら卒倒するほどだった。
それほどにオブライエン少将は激怒していた。彼は裏切りが大嫌いなのだ。
当のウォーベック子爵はただ呆然としていた。
居眠りは期末考査を乗り切りましたε-(´∀`; )(唐突)
それでは良い御年を( ^_^)/




