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戦場立志伝  作者: 居眠り
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迎撃体勢

移住暦四百二十七年、帝国暦三百十五年八月一日

「こちら第七航宙艦隊、出撃準備完了しました」

「こちら第十五機動艦隊、同じく」

「第十六機動艦隊、いつでも出れます」

各艦隊からの連絡を受けた副官のフロレンツ大尉が上官に報告する。

「閣下、我が第十一機動艦隊も発進準備整っております」

ビスマルク中将が指揮席から立ち上がり全艦に告げた。

「全艦隊発進せよ!」

ついに連合四個艦隊は主星を離れ、トラファルガー星域のさらに奥地へと侵攻しようとしていた。

同八月十八日、連合四個艦隊はトラファルガー星域に差し掛かった。

トラファルガー星域の奥にはドーヴァー星域が広がっておりその名は帝国軍にとって吉、

連合軍は凶を思い起こさせる。

なぜなら連合軍はこの星域で過去三回の会戦で敗北しているからだ。

三回の会戦が行われた日時は一回目から

十一年前、八年前、三年前というようになっており、連合軍の司令官はその都度戦死による交代や責任を取って退役したりしているのに関わらず、帝国軍の司令官は一度たりとも代わりはしなかった。

帝国軍の司令官は、かのマンチェスター大将であった。

彼の二つ名はここで流した敵の血の量によって付けられたものだった。

翻って連合軍の司令官は六十歳の

アーネスト・フォン・ビスマルク中将だ。

彼の戦略構想は特に目立ってはいないが堅実で安定した策を用いることが多い。

第十五機動艦隊司令官

ハルコルト・フォン・ブレーメン少将は二十六歳と若いが彼の戦果はいたって普通なのだ。

彼の記憶ファイルの中には大勝利の三文字は残念ながら無く、負けた時も平均的な被害で済んでいる。

もっとも、彼自身がそうしようとしてそうなっているわけではないが…

第十六機動艦隊司令官

コンラート・フォン・ハウクウィッツ少将はブレーメン少将より二つ歳上で、普通すぎる彼と違い、機敏な戦闘指揮が評価されその戦いぶりが猫のように俊敏なことから"猫提督"と呼ばれている。

本人は大の猫嫌いだったが世間はそれを知らなかった。

さて、今回の帝国軍の司令官は誰になるだろう?

「前方に帝国艦隊発見。このままだとあと四時間半で接触します。警戒されたし」

幾つかの哨戒艦の報告から帝国艦隊の数が確認された。

艦隊は六個艦隊ほど、つまりは六百隻は下回らない。連合軍の司令部は重苦しい雰囲気に包まれた。

最後の調整会議において、各司令官が総旗艦シュタルクに集合した。

会議の最初の発言者はビスマルク中将だった。

「敵軍が我らより数が多いなら戦術も自ずと決まる。わしは魚鱗の陣を敷いて敵軍の中央部を突破して近接戦に持ち込むべきだと思うが皆の意見はどうか?」

「親父殿のやり方で良いと思うがなぁ」

ハウクウィッツ少将がぶっきら棒に言い、ブレーメン少将も承知した。

「私としては被害が多くなる作戦だと思いますがこれしかありますまい」

ウィリバルトも同意で満場一致の作戦となった。

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