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戦場立志伝  作者: 居眠り
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白髯公と盲目の忠犬

帝国軍二個艦隊とアビスが熾烈な激戦を繰り広げている時、連合はいたって平和だった。

もっとも事後処理に追われる高級士官たちは多忙な日々を送っていたが…

移住暦四百二十七年七月二十六日、

その高級士官たちの中から一部の強硬派が帝国に対する軍事行動を求めた議案を採択する連合議員十五名は事後処理を行う方々よりも疲労がたまっていた。

エクムント国防大臣とローデリヒ外務大臣が強硬派の作戦を支持し四個艦隊を持って帝国領に侵攻すべしと言っているのである。

エクムント国防大臣の主張は帝国を滅ぼす布石にする、というものであり対してローデリヒ外務大臣は帝国に侵攻はするがある程度で中止し帝国との間で講和条約を結び、この長き戦争を中断するべきだと熱く語った。

それを阻止しようとしたのが議長であり連合大統領であるアダム・フォン・ホラントと、同副大統領のハウザー・フォン・フィンケだった。

七十歳の老大統領の大きな特徴は顎あたりから伸びる白髯だ。

彼を見た者はみな彼を優しい政治家と思うだろう。事実、彼は連合国内でも穏健派のトップなのだ。

反対に副大統領のフィンケは五十歳の壮年だが老大統領に比べて第一印象がかなり悪くなる。

少なくとも見た目だけで彼も穏健派なのだが。

彼は生まれつき目が見えない。それが若い頃のコンプレックスで鬱病や少食による栄養失調などを起こし続けていた。

そのせいで現在も血色の悪い肌を持ってしまっている。

しかし彼には目を失って生まれた代わりに政治の才能があったようだ。

彼の主な仕事は国内の情勢や治安を維持することである。つまりは帝国のエドワード皇子の行なっていることとなんら変わりないのである。

そんな穏健派の二人は強硬派の二人と舌戦の最中だった。

「国防大臣、我らから帝国に対して攻撃を仕掛ける必要はないのではないか?」

「そうです。そんな無駄な戦争をするせいで多数の遺族が出来てしまうのですよ」

ホラントとフィンケの反対の連投に賛同の声が二、三上がる。

だが強硬派を応援するわけではないが遠征に賛成する議員が続出した。

「国防大臣のお考えは過激すぎる。外務大臣のお考えの方が適当だ。」

賛成側の議員が妥協案を提示した。

「しかしどれだけの程度であろうが少なからず死者や遺族が生まれてしまいます」

あくまで反対の立場を崩さないフィンケが素早く人道性を説く。

「では投票してはいかがでしょう。それで明らかになります。話が平行線のままでは意味がない。」

それで投票となった。

結果は賛成七、反対六、棄権二となりここに帝国に対する軍事行動が決定された。

ただホラント大統領とフィンケ副大統領は粘りに粘って、なんとかローデリヒ外務大臣の折衷案が採用された。

第七航宙艦隊を含む四個艦隊が遠征に参加することとなった。


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