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音のない世界で...8

私は...もうあの場所には戻れない...。

そう思うとみんなの顔が思い浮かんでは...涙を流していた...。

「零様...。こちらへ...。」

と黒服の男の人が神社の中に案内され私はただ付いていった..。

と...トト..ギシ....。

静かに木の板の上を歩く音しかならない...。

「こちらに、ご用意をしています...。お着換えください...。」

と言われ中に入れられ部屋の中に用意されてたのは巫女の服と、狐のお面だった...。

「.....。」

私は、それを見て少しだけ前世の記憶が混じった...。

(昔の....名前...)

そう、狐のお面を見て私は少しずつ思い出した。

(”稲荷紺”....)

前世の自分の名は...稲荷紺いなりこんと言うことを思い出した...。

鬼の子の名前にはこんな名前を付けるものも居たんだと私は思った。

前世の名前の由来は、稲荷様が関係していたようだ...。

稲荷様が憑いていたと噂をされていたのもあったことから、稲荷と言う名前がついた。

「稲荷...紺...か...」と私は呟いたまま、巫女服に袖を通した。

そして着替え終わり、お面をつけ外に出ると黒服の男にそのままつれられ部屋に連れてこられた....。

なぜか、不思議なことがここに来るまで起きていた...。

鼓膜は破壊されたはずなのに、駅のアナウンス、黒服の声もなぜか聞こえる...。

そのことを黒服の男に聞いてみた...。

「私の鼓膜、破壊されて聞こえなくなっているはずだったのですが....ここまで来るとき、電車の声とあなたの声が聞こえるようになっているのですが...なぜですか?」と問いかける。

すると黒服の男は「それは、回復はしていませんが...私たち共があなたに聞こえるようにしてるだけです。あなたは普通の人間の声は聞こえません。あの時間帯の駅のものは私が手配したものです。あなたの耳が聞こえないのも情報はきていたので...」

と説明された。

「ていうことは...私は普通の人間の声などは聞こえないけど、妖怪とかそういったものの声なら聞こえるってことになるのですか...?」と答える。

彼はコクリと頷き「そういうことでございます、零様。では、この中にお入りください...。」と言い部屋の襖を開けた。

中は少しホコリが舞っていた。

「コホッ...」と私は咳をする。

中に入り部屋の真ん中に座る場所があった。

「そちらにお座りください...。」と黒服の人は言う。

そしてそこに私は正座で座ると、黒服の人が説明をしてきた。

「零様、ここの神社の外...鳥居から出てはなりません。そして、ここでの生活をしてもらいます。私たち共に何かありましたらこのお札でお呼びください...。お札の唱える言葉は”稲荷神に恐み恐み白す、為す所の願いとして成就せずということなし”でございます...。我々は、零様以外見えません」と言うと

ブワッ...!!

「っ!?」といきなり桜がその男の周りを舞った。

すると目の前にいたのは....。

「えっ!?」と私はびっくりしてしまった。

それは、妖狐だった。

「お分かりいただけたでしょうか...?私どもは元々妖怪であります。もう長年、ここを見守ってきたか...。零様の前世の者、稲荷紺様のお傍にも我々はいました。」

と狐姿で言われ私は唖然としてしまった。

「え...てことはあなた達この山でずっと過ごしてきた...ってことよね...?もしかして、夢の中に出てきたのもあなたちなの...?」

と私は問う。

狐はコクリと頷き「さようでございます...。すべてはこの日のためにしてきたことでございます...。零様は元は鬼の子。それも今でも前世からその血は受け継がれております...。鳥居の外以外の山でしたら、移動は自由でございます。零様のことを待っている妖怪たちもいます。今日はゆっくり休まれてください。明日は神社を少し掃除していただきます...。では、ゆっくりお休みくださいませ。」

「あ、それと神社の中を出る場合はお面をちゃんとつけて出てきてください...。零様の身を守ってくれるはずです。では...」と言って妖狐は姿を消した。

私は言われたことを忘れずにして用意されていた布団を敷いて寝た。

その頃、優也のとこでは....。


「ん....んぁ?」と優也はムクリと起き上がった。

すると、何かがいつもと違うことに気付く。

(あれ...?)

そう、零がいなくなっていること...。

「っ!?零‼」といつも隣に寝てる零がいないことにも気づいた。

「ケータイも制服もある...けどいつもの私服がなくなってる...!?」

優也は慌てて、一階に降りた。

ドタタ....‼

「あら?優ちゃんどうしたのー?」と料理をしていたお母さんが声をかける。

「母さん!!零見なかった!俺のベットにいないんだよ!」

と答える。

「え!?零ちゃん居ないの!?」

「ケータイと制服しか置いて行ってるんだ...。」

「どうしましょぉぉ!!零ちゃんのおばさんに連絡入れなきゃ...!!」

「俺も学校の奴に声かけてみる!学校行ってくる!」

と言って、優也は学校に向かった。

そして、学校に向かって歩いてる生徒に声を一人ずつかけた。

「あの!特別クラスの笹原零見かけなかったか!?」

「え?笹原さんは、見てないなぁ...」

「私も見てない..」

「そうですか...ありがとう!」

と言い俺は走った。

(零...!!)

「あ、優也君おはよー...ってどしたの?」

とクラスメイトが俺を見て言ってきた。

「れ...零が...いないんだ...」

と息が苦しくなりながらクラスのみんなに伝える。

「「えっ!!!??」」とみんな一斉にびっくりした。

「みかけた...?」

「ううん...私も朝も昨日も笹原さん見てない...。」

と女子みんなが言い合いっこし始めた。

この様子じゃ誰も零を見てないことが分かった。

(くそっ...!!)

ガンッ!!と扉をたたいて優也は学校を出た。

「「優也君!?」」

とみんなは呼び止めようとしたが手遅れだった...。

(零...どこに行ったんだよ...!!)

と俺は不安でしかなかった。

零に何かあったらどうしよう、手紙もなしにいなくなったのはなんでだ...。

それしか頭に浮かばなかった。

そして自分の家に帰ると、零のおばさんがいた。

「おばさん...」と俺は申し訳ない顔になり、顔が合わせられなかった...。

「優也君...大丈夫、零ちゃんはきっと何か理由があったのよ...。あなたは悪くない。」

「でも...!!俺が...零の傍にいるって...約束...したのに...っ」

と悔しく思いながら言う。

「優ちゃん...これ...零ちゃんのケータイのメモに何か書いてあったの...。どういうことかしら...」と言われ俺はすぐそのケータイを取った。

その文章を俺は見た。

そこには....。

「優也君、優也君のお母さんたち、学校のみんな、おばさん、ごめんなさい...。きっといきなりいなくなってびっくりしてると思う...。別に黙って行こうとは思ってなかったのだけれど...言っても多分信じられないことだと思ったので、何も言わずここをこの街を出て行きます...。みんなにはいろいろ心配かけた、そして迷惑をかけた...。それは私にとって悪いと思ってしまっていました。ここにいるとみんなを巻き込む...。私と一緒にいるとみんな巻き込んでしまう...。ただそれだけ言い残します...。私のことはもう探さないでください..。みんなを...優也を巻き込みたくないから..。それじゃぁ...さよなら...。そして...ごめんない....。」

と書かれていた。

俺はその文章を全部読んで、唇をかみしめていた...。

(みんなを巻き込みたくない?心配や迷惑かけた?探さないでください?....ふざけるな...!!)

「....ふざけるな...!!」

と俺は外を出て行った。

「あ!優ちゃん!」とお母さんは引き留めようとしたけどそんな声さえ聞かなくなった...。

(こんな...こんな中途半端に...!!)

タッタッタッタ....!!!!

俺は走って走って....夜になるまで探し回った...。

「.......。」

俺は最後に公園に立ち寄った...。

零が好きだって言ってたこの公園にもいなかった...。

「.....零...。」

「零______!!!!」と俺は大きな声で零の名前を叫んだ...。

「っ!?」と零は誰かの声がしたのに起こされた...。


「今の...優也...?」

と私は呟いた...。

そして、気づくと朝になっていた...。

私は、妖狐に言われたことをしようと思い、お面をつけ外に出た。

すると、外に出ると妖狐が2匹いた。

私は「何か御用でも...?」と問いかけた。

「「おはようございます、零様」」

と2匹同時に言った。

ブワッ...‼

とまた桜が2匹の妖狐の周りを舞った。

「っ!!」と私は袖で顔を覆った。

ゆっくり目を開けると、そこには顔が似た男女がいた。

「えっと....あなたたちは...」

と私は問いかける。

すると、女の人が「申し遅れました、私は燐と申します。隣のこの子の姉です」

次に男の人が「僕は、鏡と申します。先ほど紹介した姉の弟です。」

「「よろしくお願いします」」と二人は息ぴったりに頭を下げて挨拶してきた。

「えっと...燐と鏡、顔似てるけど...双子...?」と妖狐の燐と鏡に問いかける。

二人はコクリと頷き「そうでございます、よく似てるので間違えられます。」と燐が答える。

「今日は零様のお手伝いをしに来ました。」と鏡が答える。

私は「え、掃除手伝ってくれるの..?」と問いかけると二人は笑顔でコクリと頷く。

「じゃぁ、お願いしてもいいかな..?」と言うと「「はい!!」」と元気よく言われ一緒に掃除を始めた。

そして、燐と鏡、私で掃除をし始め、私は神社の出口の落ち葉を掃き掃除していた。

「あれ....?」

フラ....

(あ.....倒れる...)

と目眩がして倒れかけた瞬間...。

フワッ...

と誰かが包むように抱きつかれた。

「やはり...鬼化が進んでるようですね...。」

と誰かの声が聞こえた。

(誰...?)と私は思いながらも、意識が薄れて行った...。

........。

「ん...」

と私は目を覚ますと部屋の布団に入っていた。

(あれ...私いつの間に...)と思っていると

「お目覚めになられましたか、零様」と男の人の声が聞こえた。

「あなたは...いっ....!」と私は問いかける途中で痛みが走った...。

「安静になさってください...。鬼化が進んでおります。」

と言われ私は「鬼...化...?」と問いかけた。

「はい、零様のお体に変化が出てきております。多分...不老不死の呪いが出てきているかと思います。知らない間に傷ができたりするかもしれませんが...それはすぐ治りますので...。」

と言われ私は少し理解ができた...。

(不老不死か...)

「不老不死って...死なないってことだよね...?」

と問いかけるとコクリと頷かれ「さようでございます...。」

すると、私を見て自己紹介を始めた「申し遅れました...。わたくしは、妖狐の結月です。」

「結月...さん...」

と私が言うと結月は私の目を見てこう言ってきた。

「零様、その左目は義眼でございますね...?少し失礼します...。」

と言って私の左目に手が触れた。

ぽわぁ.....

と何かをされていることが分かった。

「....ぇ...」と私は閉じていた左目を開けると視界が見えるようになっていた。

「なんで...何したの、見えるようになってる...」

とあまりの驚きにあんまり言葉が出ない....。

「左目の義眼を本物にしただけでございます...。眼球と同じものにしたと言えばわかりますか...?」

と言われ私はコクコクと頷いた。

「こんなことできるんだ...」

と言って私は結月に「結月、ありがとう」と笑顔でお礼を言った。

結月は「いえいえ...零様のお役に立てるのなら...」と言ってくれた。

そしてその日は過ぎて、一日が終わった...。

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