6:始まりの終わり…
隔離されたこの島で、自分達のように目覚め始める子供たちに”神秘”について教えていくのに充実感を得ていた少年。
子供達からは”時”の能力ゆえに時の神から【ダイダロス】の異名で呼ばれていた。何だか力強くてカッコイイ、と少年は喜んだ。
しかし、少年は”神秘”を子供たちに教える教師役だけでなく、同胞である少女にも黙っていたあることがあった。
そして、少年が20歳を迎える日に、ある絶望を知った。
その絶望は少年の心に【闇】を芽吹かせた。
【闇】は少しづつ少年の心を蝕み、そして――
少年は、己が誕生の日に忽然と島から姿を消した。
少年の突然の失踪に、少女と子供たちは困惑しすぐさま政府に連絡し捜索に当たった。
そして直ぐに少年の居場所と状況を知った。
それは――
”少年が己が”神秘”の力を使い政府に対して武力的な行いを行っている”と言うものだった。
当然少女は何かの間違いだと思った。しかし、ここ暫く、少年が何かに悩み苦しんでいたのを、その悩みを自分では癒せなかった事実に、今の少年の現状に何か関係しているのではと思い至った。
少女は直ぐに少年の下に飛んだ。
そして少女は目を見張る現状を目の当たりにした。
それはおそらくは何かの研究施設か何かだった場所。
その場所は、紅蓮の劫火で包まれ、建物は半壊していた。人も倒れており、まず命の無いものであると少女には分かった。
そしてそれを行った、今まで見た事もない、黒色のオーラに包まれ怒りで我を捨てた、愛しい同胞の少年の姿であった。
少女は直ぐに、少年と対話を試みようとした。
しかし我を忘れ暴走している少年は、同胞たる少女の言葉に耳を傾けることはなかった。
なんとかその場は少年が姿を隠したことで終わった。
だが、少年の【闇】に魅かれ、【悪】に目覚めた”神秘”使いが同調し、各世界で破壊行為が行われていった。
少女は【悪】に落ちた者を粛清しつつ、少年を探し、幾度となく出会い戦った。
今の彼は理性のない暴走した状態。言葉では彼を正気には戻せない。
だから力づくでも、彼を傷付け倒す事になってもと少女は決めた。
そして1年。
幾度と少女は、少年と対峙し戦った。
その戦いを見た者はまさに神話の再現だと言った。
少女は、暴走し破壊を行う少年を諌め止める為に少年と対峙した。
少女は、愛しく優しかったかつての少年に戻ってほしいと戦いの中で叫び続けた。
何度も、何度も。
しかし……世界に絶望し負の感情のまま”闇”に憑り付かれた少年には、大切な少女の声ですら届かなかった。
諦めず叫ぶ少女。
破壊を叫ぶ少年。
2人の戦いは、まるで神話の再現と言うレベルであった。
世界に絶大な被害と言う爪跡を残す結果にもなった。
そして【時の神】と【光の神】の戦いは、【時】の少年の突然の消失によって幕を閉じる事となった。
少女は消えた少年を必死に探し続けた。
だが、どうしても少年と遭いまみえる事が出来なかった。
今までは少年がどこにいても、彼の所在が少女には分かっていた。
しかし、少年がまるで今自分のいるこの次元とは別の次元に渡り、彼の存在が感知出来なくなった。
そして――少女が少年に再会することはなかった。
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『Data』
????:【時】の神秘使いであり、人類初の”神秘”覚醒者の少年。日の国(日本)出身。政府の者や後天的に覚醒した”神秘適格者“には【時の神:ダイダロス】と呼ばれる。20の時にある事で世界に絶望した。最愛の少女との戦いの後消息を絶つ。それ以降彼の姿を目撃した者はいない。
属性【基本属性:火・水・風・地】【特殊属性:氷】【固有属性:時・闇・獣・神】
????:【光】の神秘使いであり、人類初の”神秘”覚醒者の少女。日の国(日本)出身。政府の者や後天的に覚醒した”神秘適格者“には【光の神:ウィストレア】と呼ばれる。20の時に最愛の少年を止めようとしたが結果戦いとなる。戦いの後消息を絶った最愛の彼を探すも再会することはなかった。
属性【基本属性:火・水・風・地】【特殊属性:木】【固有属性:光・神】