4:怪物を見る目
夏真っ盛りと言う言葉が合うと思う。
日差しがテカッとしておりちょっとずつ汗が出て来る。
今は夏休みという事もありいつも遊ぶメンバーで公園に集まっていた。
皆、私が熱で寝込んでいたのを聞いて心配してくれた。
良い友達を持った……と、この時は素直に嬉しく思っていた。
そして何して遊ぶ?と、今日の遊びを決める際だった。
私は皆に「実は面白い事が出来るんだよ私!」と皆の注目を集める。
皆、何をしてくれんだろ?と期待の籠った眼を向けてくる。
「それじゃあね、皆しっかり見ててね。驚くと思うから!――それっ!」
「「「―!?」」」
私は皆の前で、白い20cm位の“光”の球を作って見せた。
私には、不思議な力が宿っている。そう認識したのは夜中だった。熱も引いてきた後、目を覚ました私はベッド横にある物置に置いてある飲み物を口にしようと体を起こした。まだこの時は本調子でなくフラッとしながらではあるが体を起こす。ペットボトルに手を伸ばすと少しふらつきペットボトルを床に落としてしまう。夜中で暗い。部屋の蛍光を付けるには部屋の扉の近くにあるスイッチを押さないと駄目なのだ。
私は手探りするも暗くてわからない。
この時、「何か光る物があればな~」と頭に浮かんだ。
すると、手の平が若干熱を持ったように感じた。私は驚きながら右手の平を見詰める。
私は不思議とその熱がどういう物か分かった。
眼を閉じて頭に浮かべてみる。
「私の手には丸い光の球がある」と。
私は眼を開けると、私の右手に思い浮かべた通りの“光”の球が出来ていた。
私は叫喚した。これってまるで魔法みたい!と眼を輝かせていた。
私はよくファンタジーの、魔法とかが出てくる本を愛読していた。何時か私もそんな力に目覚めたらいいなあ、そんな空想に慕ったりもした。
だから、単純に嬉しかった。
私はこの力に気付いて興奮した。
凄い力を、魔法を使う事が出来た!と。
朝まで興奮して眠れ…ない事もなかったなぁ。
この後もぐっすりスヤスヤ眠っていたし。
朝になり、私はこの力を一番に両親に見せようと思った。
けど父は既に仕事に出ており、母も直ぐに仕事に行かなければならなかった。
私はこの力を誰かに披露して見たい!と言う欲求が湧いて仕方なかった。
唯自慢がしたかったんだと思う。
こんなにも凄い事が出来るだよ!と。
でも――まさか、この力を見せた事で、友達だと思っていた皆が、まるで”怪物”を見るかのような眼と表情を私に向けて来るなんて思ってもいなかった。
ふふん♪と自慢そうに笑みを浮かべつつ驚いているだろう皆に視線を向ける。
うん。驚いている。皆絶句していた。
ただ……
驚きの表情の中にあるものが1つあった。
それは、”嫌悪“の感情の籠った眼だった。
1人1人の眼を視て、皆同じ眼を、“嫌悪”を浮かべていた。
私は訳が分からず困惑した。
どうして?
どうして、そんな目をするの?
どうして私を、怪物を見る様に見るの?
私はただ、皆が驚いてくれるのを期待しただけなのに。
なぜ!?
私はその眼に耐え切れず、踵を返すと焦る様に走ってその場を立ち去った。
立ち去る際に友達だった子のこの一声が耳に届いた。
「…あいつ“普通”じゃなかったんだ――」




