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残り香 〔改訂版〕

作者: 洋明

以前にも投稿したものですが、段落を分けて読みやすくさせていただき、改めて投稿をさせていただきました。

泣いた。これ以上にないくらい泣いた。


止めどなく溢れる涙を抑える程の気力は残っていなかった。


君がいない日を考えてしまうほどに溢れる涙。


泣くしかない。


あの日始まった物語にピリオドをうちたくなかった。薬指に輝く光を本物にするということ以外は。。。




CDショップでバイトをしている時に君は、制服姿で邦楽のコーナーに来ていたね。


友達と笑い合いながら、1〜2枚の流行りのアルバムを買っていってたね。素敵な笑顔をみせながら。。



俺は、比較的客の少ない日に君に思い切って声を掛けた。


「このアーティスト好きなんですか?」


たどたどしい言葉で君に話し掛けた。


もっとカッコいい言葉かけたかったな。


「なんかホッとするんですよね。」



優しく答えてくれたよね。



それからは、君は店に来る度に俺に声を掛けてくれたね。


やっぱり君を好きになったんだって気付いた五回目の時、俺は頭が真っ白な状態で、でも勇気をだして君にメールアドレスとケータイナンバーをメモ用紙に記して渡したね。



これだけでも恥ずかしいのに

「今度、デートしてくれませんか?」なんて言葉まで添えて。



君は、考える事なくメモを受け取ってくれたね。


「メール、絶対しますね。」って言って。



今考えると、君の初めてついた嘘だったね。


メールじゃなくて電話をくれたじゃないか。


すごく、嬉しかった。


「もしもし。。。」


君の声が受話器から聞こえる。



今だから言えるけど、すごく言葉を選んでたんだぞ。



夜景が見たいって、君が言ったから、初デートなのにいきなりとっておきのスポットに案内したね。



いつも一人で見ていた見慣れた景色だったけど、君となら違って見えた。



そっと僕の手を握ってきた瞬間、僕は君の体を抱き締めたね。


なんか二人照れくさい感じで笑顔になれたよね。


ただ、僕はその時に心を決めていたんだ。明るい物語を描いていこうって。



それからは、二人の時間を大切にしたね。


二人で食べた大きなパフェ。


三時間粘って釣った小さなアマゴ。


途中で泣き出したお化け屋敷。


全部、楽しい思い出だよ。



そして、君の誕生日にあの思い出の夜景を見ながら渡したラブリング。

安いやつだったけど、君は泣いて喜んでくれたね。


なんか心に温度を感じた瞬間だった。



二人、幸せを感じていた矢先だったのに。。。




君は病室のベッドの上でたくさんのチューブにつながれてしまったね。


心優しい君は迷子に声を掛けて、インフォメーションまで届けたそうだね。


泣いている迷子に優しく接していたんだってね。


それを聞いただけで僕はなんか複雑で切ない気分になる。あんな、ならず者が運転する車がいなければ・・・



はじめに聞いた時、犯人をとても恨んだけど、そんなことしても君は喜ばないよな。


それよりも君との思い出を大切にしようと思うよ。



眠ってるような君の顔は、とてもきれいだよ。



いつか、この涙もあまりある思い出も、朧になるかも知れないけど、これが僕にとっての最後で最高の恋なんだよ。



また、二人で夜景見ような。




ありがとう、香☆


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