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第一話 邂逅

こんにちは。今回も練習投稿ということで作者二人が時間がある時に更新していくのではっきり言って、誤字や変な表現あるかもしれません。駄文ですが読んでもらえるとすごく嬉しいです。

日没後。日本のとある場所。夕凪市の一角で白い影がまう。それはバスローブ姿の少女。長い黒髪をたなびかせながら必死に走っている。後ろからは黒服の男が二人。少女は息苦しさをこらえながら走り続けた…… 日没後。夕凪市の道路をゆっくりと歩く少年の姿があった。歳は16歳くらいだろうか。赤のパーカーに黒いズボンという出で立ちで、パーカーの帽子を深くかぶっているため顔は見えない。手に持っているのはスーパーの袋で、中身も卵、肉、野菜など夕飯の食材としか思えないものばかりである。

 少年は上機嫌らしく、鼻歌を歌いながら歩いていたが、角を曲がろうとしたところで、その角から飛び出してきた何かとぶつかった。

「きゃっ!」

「うわっ!」

 短い悲鳴が二つ響く。

「痛てて…大丈夫ですか…っ!?」

 少年は相手の安否を確認しようとして絶句した。

 目の前にいたのは少女だった。髪は長い黒髪で顔立ちが異常なほど整っている。歳は少年と同じくらいだろうが、可愛いというよりは綺麗と言われそうな少女だった。

 しかし、少年が絶句した理由はそこではない。少女はバスローブ一枚しか着ていなかったのだ。ぶつかった衝撃でそれがはだけたりしていないのは幸いだったが、太ももから下は丸見えというのは健全な青少年には些か刺激が強い。

 少年が絶句している間に少女は無言で立ち上がり、再び走ろうとしたが、その髪を後ろから掴まれた。

「くっ!」

 端正な少女の顔が痛みに歪む。少女の後ろから髪を掴んでいる人物が姿を見せてきた。

 いかにもドラマやアニメで金持ちや有名人がSPとして連れていそうな屈強な体型をした黒服の男だ。

 その後ろに同じ服装で小柄な男がもう一人いるが、そちらは携帯でどこかと連絡を取っている。

 少女の髪を掴んだ男が口を開いた。

「ずいぶん手間をかけさせてくれたな。すぐに護送車両が来る。無駄な抵抗はやめておけ」

 男の言葉に少女は全身から力を抜いて膝をついた。目には絶望の色が浮かんでいる。

 男は少女が無抵抗なのを確認して今度は尻餅をついたままの少年に声をかける。

「一般人か。悪いことは言わない。今見たことは口外するな。大人しく家に帰れ」

 しかし、声をかけられた少年は不敵な忍び笑いをしながらゆっくりと立ち上がり、口を開く。

「いや~、その子には少ない財産はたいて買った夕飯の食材のうち、熾烈なタイムサービスの中手に入れた88円の卵をお釈迦にされたからね。しっかり代金払ってもらうまでは帰れませんね~」

 おどけた声音で場の空気にそぐわないことを言う少年に男の眉がつり上がる。それを見て少年は飄々と言葉を続ける。

「あとな、夜道、しかも人通りの少ない着工中の工業団地で黒服の男二人がバスローブ姿の女の子一人追い回している光景見て、『見たもの忘れて大人しく帰れ』なんて言われて納得すると思う?」

 少年の質問に答えたのはさっきまで携帯で連絡を取っていた小柄な男だった。

「我々は軍部直轄の機関の者だ。この少女は重大な犯罪を犯したため捕まえただけだ」

 『軍』というワードが出た瞬間、少年の眉がわずかにつり上がったが、男の答えは型にはまりすぎていて、少年は失笑した。

「アニメとかの悪役の雑魚キャラのセリフそのまんまじゃんか!腹いてぇ…」

 爆笑している少年を見て小柄な方の男が怒りを露にする。

「ふざけるな。我々は重大な任務中だ。さっさと帰れ!」

 少年は飄々とした態度を崩さずに言い放つ。

「じゃあ、あんたらが正規の軍関係者だって証拠を見せろよ。今の状態じゃ人さらいにしか見えないぞ~?」

「このガキッ…!」

 小柄な男は怒りで肩を震わせている。少年はそんなことは眼中にないかのように言葉を続ける。

「さて、正規の軍関係者という証拠もないようですし、警察に連絡するとしますか」

 警察に連絡するためか携帯を取り出した少年だったが、その眼前に黒光りする金属質の固まりが突きつけられた。

 屈強そうな男が片手で少女の髪を掴んだまま、もう片方の手で少年に拳銃を突きつけていた。

「これ以上邪魔をするなら排除する」

 男の声音から本気だと悟ったらしく、少年は携帯をしまう。

 しかし、それでも少年の態度は変わらない。

 やれやれといった風に肩をすくませながら平然と

「軍関係者だとしても非正規確定だなー」

などと言い放つ。

 男は無言で拳銃を突き付けたままだ。

 しかし、眉のつり上がり具合からしてかなり怒っているようだ。

 それすらも無視して少年は決定的な一言を言い放つ。

 ただし、その声音には今までとは違って絶対零度の鋭利さが含まれていた。

「さて、ここまでの状況から判断して悪者は明らかにあんた達だ。悪いけどその娘助けさせてもらうよ」

 少年のもの言いに遂に男は引金を引いた。

 拳銃にはサプレッサーがつけられていたためほとんど音はしなかった。

 音速を超えた弾丸は少年の脳髄を飛び散らせる……はずだった。

 しかし、既に銃口の先に少年はいなかった。

 少年は一瞬で男の懐に潜り込むと

「昇龍拳~」

と気の抜けた声で屈強な男の少女を掴んでいる方の腕のファニーボーンを正確に殴った。

 そして、瞬間的にしびれた男の腕から少女を助けだし、後退した。

 一連の動作に躊躇いは一切なく、少年が戦い慣れしていることが察せられた。

 腕のしびれが治った男はつぶやく。

「やるな…しかし、後退したのは失策だったな。この距離で、しかも護衛対象がいる状態では銃弾は避けきれまい」

 男の指摘は的を射ていた。

 実際、5mしかない距離で拳銃を避けるのは難しい上に、少女も一緒に拳銃の射線にさらされている。

 さらに、屈強な男の後ろの小柄な男までが拳銃を構えている。

 屈強な男の方の銃弾を避ける為に横に跳べば、後ろの小柄な男の銃弾が襲ってくる。

 普通なら絶対絶命の状況で、少年はただ笑っていた。

「前おきはいいから撃ちなよ。どうせ今まで無関係な人でさえ何人も殺してきたんだろ?ただし、一つだけ断っておくけど……人を撃つからには撃たれる覚悟があるんだろうな?」

 少年の最後の言葉だけはふざけた感じではなく、明らかな怒りが込められていた。

 もちろんそんなことは意に介さず、屈強な男は引金を引いたが-

 同時に甲高い音が鳴り響いた。

 まるで金属と金属がぶつかり合ったような音だった。

 そして、少年と少女は変わらずに立ち続けていた。

 ただし少年の手には少年の身の丈程もある巨大な赤黒い大剣が握られていた。

「バカな!」

 屈強な男が驚愕する。

 確かに拳銃から銃弾は発射された。

 しかし、突如として少年の手の中に現れた大剣に弾かれてしまったのだった。

「さっきまでそんなものは持っていなかったはず……貴様まさか…ジェ―」

 男の言葉が最後まで続くことはなかった。

 大剣を両手で構えた少年はあり得ない速度で屈強な男に肉薄すると首を切り飛ばした。

 少年の動き、男の首を切り落とす力、共に人外としか思えなかった。

 もう一人の黒服、小柄な男は完全に恐慌し、奇声をあげながらも上司と思われる相手に連絡を取ろうとする。

 だが、少年はそれを許さなかった。

「さすがに駒として使われることに慣れた人間だな。命の危機にすら教えこまれた動作を優先するのか……」

 哀れみのこもった声でつぶやきながら、またしても瞬間移動の如く小柄な男の隣に移動し、携帯を持つ腕ごと男の体を両断した。

 少年が振り切った剣を引き戻しが少女の方を振り向くと同時に、大剣は鈍い光とともに消えた。

「なんで俺が戦っている間にさっさと逃げなかったんだ?」

少年は剣が消えたのを確認してから質問をした。

 捕まってから一言もしゃべらなかった少女が口を開く。

「卵の代金払ってないから……」

「ぶほっ!」

 それを聞いて少年は再び笑い出す。

「なんだそりゃ!ダメだ腹痛い……」

「あなたが言ったんじゃない」

 腹を抱えて笑い続ける少年に少女の冷たいツッコミが入る。

 少年はひとしきり笑うと息苦しそうに言った。

「いや、だってバスローブ姿の女の子が財布を持ってるわけないじゃんか。あれは相手を挑発する為の嘘だよ、嘘。それにしてもしゃべれたんだな。捕まってる間ずっと無言だったから言語障害でも持ってるのかと思ったよ」

「もう、諦めてたから……またあの部屋で色々されるのはイヤだけど……私が抵抗しなければあなたを巻き込まずに済むはずだったし…そもそもあなたこそ何で助けてくれたの?」

「そりゃ、可愛い女の子が官能的な姿で捕まってるとなれば…って冗談だって」

 緊張感のない言葉に少女が(元々無表情だったがさらに)無表情になったのを見て少年は慌てる。

「とりあえず積もる話は安全な場所に移動してからだな。君が捕まった時点で護送車両が呼ばれてたみたいだし。行く宛が特にないなら安全な場所を紹介するけど?」

「いや、いい」

 少年の提案をあっさり蹴って少女は再び走り出そうとする。

 しかし、少年がその手を掴んだ。

「軍はそんな簡単に逃げ切れる程甘くない。それに、君みたいな美人がその格好で夜道を歩いていたらさっきのやつら以外にも君を捕まえようとする奴らがいると思うよ」

 少年の真剣な声に少女は渋々納得したらしく、頷いた。

「よし、それじゃあ人通りが少ないとは言え、その格好で歩かせるのもアレだからとりあえずこれ着て」

 少年はパーカーを脱いで少女に渡す。

 今までパーカーを深くかぶって見えなかった顔が露になったが至って普通の少年の顔があっただけだった。

 少女はしばらく考えた末に渡されたパーカーを着た。

 それを見た少年は指で行き先を示しながら歩き出す。

 少女もそれに続いた。少年は歩きながら会話をしようとする。

「俺は相場霧人(あいばきりひと)。君は?」

「名前……ない。けどあなたの名前はいかにも卑猥ね」

「ないって……てかさりげなく俺の名前を貶してません!?」

二人は深刻なようで陽気な会話をしながら完全に日が沈んだ工業団地を歩いて行った。

ここまで読んでくださってありがとうございます。色々と謎を残してみました。次回あたりから少しずつ解説していく予定です。更新がいつになるかはわかりませんが、次の話も読んでくださると嬉しいです。では、さようなら。

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