詩: あなたはわたしをドキドキさせる
掲載日:2026/02/21
石器時代
血に染まった顔で
わたしに獲物を差し出すあなた
ドキドキしたわ
古墳時代
土の匂いのする手で
勾玉を差し出すあなた
ドキドキしたわ
平安時代
顔も知らない
あなたから届いた三十一文字
ドキドキしたわ
戦国時代
戦に向かう朝
「必ず戻る」とだけ言い残したあなた
ドキドキしたわ
江戸時代
下駄の鼻緒をすげ替え
わたしを見上げたあなた
ドキドキしたわ
明治時代
ガス燈の明かりの下
わたしの手を取って歩き出したあなた
ドキドキしたわ
大正時代
銀座のカフェの片隅で
あなたと飲んだ初めてのコーヒー
ドキドキしたわ
昭和の戦後
焼け跡の街で
配給のパンを半分わけてくれたあなた
ドキドキしたわ
そして今
あなたは
どんな顔で 何をして
わたしをドキドキさせるのかしら




