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クラスのクール美少女が、俺の弁当以外は食べないと宣言した件について  作者: もかの


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第29話 勉強会

「頼む……っ!」

「勉強教えてっ!」


 体育祭が終わって一週間後の金曜日。

 帰宅の準備をしていた俺と綾乃に、二人はそう言って頭を下げてきた。


「テスト二週間前。予想通りすぎて笑えるな」

「ふふ、ですね」

「へ? 予想通り?」


 胡桃は頭を上げて「どういうこと?」と首をかしげる。


「お前らのことだから頼んでくるだろうなって、前に話してたんだよ」

「桐原さん、お二人のことをずっと気にかけていましたから」

「そ、蒼汰……」

「蒼汰くん……」

「いや気にかけてたつもりはないけど……」

「おいっ! そこは嘘でも頷いておけよっ!」

「お前、それでいいのかよ」


 ったく……、と悪態をつきながら、スマホを開いてスケジュールを確認する。


「日曜なら一応空いてるか」

「え、それってもしかして蒼汰んち……?」

「いや図書館とか自習室でいいけど……」

「蒼汰くんちなら……もしかして、食事付き?」

「あー、まぁ、昼か夜かその時間までいるな──」

「蒼汰んちで頼む!!」

「蒼汰くんちでしようっ!」

「お、おう……?」


 先ほどまでの必死に頼み込む姿勢から、急に机をダンッ!と叩かれて顔を近づけてきた。あまりの勢いにとりあえず頷いてしまう。


 それを見てあはは、と苦笑いを浮かべる綾乃に視線を向けると、


「桐原さん、人気者ですね」

「そういうもの……なのか?」


 能天気に言って、今度は楽しそうに小さく笑った。



 ◇ ◆ ◇



 土曜日の昼前。


「「おっじゃまっしま〜すっ!」」

「相変わらず元気だし仲良しだなおい。どうぞ」


 この日もまた一緒に来た柊と胡桃は、元気に俺の家に上がっていった。まるで小学生を迎え入れている気分だ。


「ようこそ……と私が言うのは少し変ですかね?」

「おっ! すーちゃんもいるなんてっ!」

「綾乃さんもこんちはー! すっかり同棲しているこ……いてっ!」

「お前はいい加減言葉を選ぶということを覚えろ」

「蒼汰はもう少し暴力に手加減というものをだな……?」


 入ってそうそうとんでもないことを言い出した柊の脳天に手刀を入れる。まったく、家から追い出していないだけ俺を褒めて欲しいものだ。


「あはは、桐原さんから『どうせ胡桃が欲しいって言ってくるから』と言われましたので」

「蒼汰くん、よくやったね! 褒めて(つか)わそう!」

「ははー。んじゃ、勉強頑張れよ」

「やーだやーだ! まだ蒼汰シェフによるお昼ご飯がまだだもん!」

「そうだぞ蒼汰。オレたちはお前の飯を食いに来たと言っても過言ではない」

「お前ら……ったく」


 しかしそれだけ俺の料理を欲してくれているというのは嬉しい。これは悪態というよりも、照れ隠しに近かったかもしれない。バレてないといいが。


 今日はトマトパスタにした。

 トマト缶を使ってるとはいえ、まぁ夏っぽいだろということで選んだ。まだ六月だけど。


「パスタ茹でましょうか?」

「お願いしていい?」

「もちろんです」

「オレらもなんか手伝おっかー?」

「座っとけ」

「ざ、雑〜……胡桃、何する?」

「ゲーム! 蒼汰くん借りるねっ」

「お前ら勉強…………って、聞いてねぇな……」


 静止の声も聞かずに俺のゲーム機を取った二人はソファに並んで座った。もう二人の世界に入り込んでいる様子だった。


「あの二人、ほんとに仲が良いのですね」

「ん? あぁ……中学からあんな感じらしいからな。とはいえ、仲良すぎるとも思うよなぁ……」


 付き合ってなくてあんだけ距離が近いのはどうなんだ、とも思う。

 学校でも、今みたいに俺の家でも、肩をぴったりと寄せて仲睦まじく話しているんだから。


「幼馴染だからなのかなぁ……」

「でも、ですよ?」

「ん?」


 綾乃は鍋に水を入れて火をかけ、俺は玉ねぎをみじん切りにする。


「はたから見た私たちって、もしかしてアレより距離が近いのでは、なくて?」

「…………まじ?」


 切る手を止めて綾乃を見る。

 ついで、彼女が見つめる先に視線を移すと、俺ので勝手にゲームを始めた胡桃とそれを覗く柊の姿があった。


 それで、普段の俺たちは…………。


「…………たしかに」

「あの、人のこと言えないのでは?」

「……料理、しよっか」

「はい」


 お互い、語らずともこれまでの行動を思い出しただけで居心地が悪くなってしまった。

 これから二人のことは何も言えないのかもしれない……。




「ねえ柊くん?」


 胡桃は小声でオレに話しかけてきた。

 たぶんキッチンにいる二人には聞こえていないだろう。


「どした?」

「すーちゃんたちってさ、ドコまでいったんだろうね?」

「……その話しちゃう?」

「……やっぱ、柊くんも気になってた?」


 胡桃が持つゲーム機の画面を覗くマネをしながらチラリと二人を見てみると、幸せそうに談笑していた。

 蒼汰の綾乃さんを見る目は優しいし、綾乃さんのあんなに楽しそうな笑顔は見たことがない。


「付き合ってる、って言われたほうが安心できるけど」

「まぁ、してないよねぇ……」

「どうせどっちも好きなんだろうけどな」

「初々しくてかわいいから何も言わないけどね!」

「だな!」


 二人のペースで、ぜひとも付き合ってほしいな。

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