表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
クラスのクール美少女が、俺の弁当以外は食べないと宣言した件について  作者: もかの


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

24/26

第24話 クール美少女を膝枕

 俺の足を枕に寝転がる綾乃。横に並んでいたまま倒れてきたので、反対を向いているその表情は伺えない。


 今は結んでいない黒髪が広がり、甘い香りが鼻をかすめる。幸せの重さを感じる太ももは嫌な気分ではない。


「すまん! 痛くないか!?」


 しかし想像もしていなかった事故なので、綾乃が大丈夫なのか心配だ……


「痛くない、ですけど……」

「けど、なんだ? もし何かあったらすぐに──」

「これ、すごく気持ちいいです」


 俺の焦りも気にしないで、綾乃は頭をごそごそと動かしてベストポジションを探し出した。

 膝の上で振り返り、俺のお腹が見える体勢になると、右手で太ももを緩く撫でるように添えた。


 気持ちよさそうに細める瞳。

 安堵の息を細く吐く唇。

 先ほどまでの熱が冷え切らない、上気した頬。


 甘えてくるいじらしい姿が全て眼下に広がる。

 それをただ眺めているだけ……なんて、そんな理性を残す余裕はなかった。


 ぷにっ。


「んぇ?」

「ごめん」


 綾乃の頬に左手を添える。

 健康的な白さで触り心地の良さそうな頬を撫でるようになぞる。


「すべすべぷにぷに、赤ちゃんみたい」

「それは褒めてるんですか」

「それはもう最大級に」

「なら許しましょう。お風呂上がりで軽く保湿とかもしてきましたし、普段よりぷにぷにです」

「最高じゃん」


 軽く押してぐりぐりしてみれば、唇をとがらせて表情を変える。

 ゆるくつまんで引っ張ってみれば、気持ちよさそうに目を細めた。


 猫を撫でるように手を動かしたり、つついてみたり……俺が手を動かすとかすれるような「ん……」という声が漏れる。

 されるがままに受け入れてくれる綾乃が、同級生ながらも愛おしくてしょうがない。


 今日の昼休みのこともあってか、普段以上にクールの一面が剥がれていた。

 甘えるように体を動かし、体を動かして人肌を求めてくる。


 それどころか綾乃は、空いていた俺の右手を掴んで自分の頭の上に乗せた。


「ふふ……こうすると、桐原さんに包まれてるみたいです」

「いやそれよりもさ、俺シャワー浴びたくらいだけど髪の毛触っていいの?」

「全然いいですし、そもそも桐原さんはちゃんと洗って化粧水とかクリームとかもしてるでしょう?」

「なんで知ってるんだ」

「桐原さんの匂いと一緒にミルクの香りがほんのりしますもん」


 女の子は細かな変化にも敏感だと聞くけれど、匂いにまで気づくものなのか。

 ……いや、これだけ密着しているからか。俺も綾乃の甘い匂いと微かに柑橘系の香りが分かるし。


「俺の匂いって……臭くないことを祈るけど、綾乃に移るだろ」

「臭くないのは当然だし、そもそも匂いも強いわけじゃないですよ? ただ、安心しちゃう匂いなんです」

「物好き」

「そうかもしれませんけど、それでもいいですね。私だけが独占しちゃいます」

「独占しすぎて綾乃の香り上書きされたら嫌だからダメ」


 というより、どうやって独占するのかの方法が怖いのでやめておく。

 これ以上のスキンシップは全部あぶない。


「なら私のは桐原さんに押しつけないと」

「……ちなみにどうやって?」

「それは…………そ、れは……」


 小悪魔モードに入っていたので、流れに飲まれないように聞き返しておく。

 そして、何を想像したのか顔を赤くして伏せてしまった。


 伏せても俺の膝の上なんだけど。


「…………桐原さんがしてほしい方法で?」


 するとまた俺のお腹を見るように体を動かして仰向けになると、俺の目を見ながら聞いてきた。

 自分が言わなくていいよううまく聞いてきたつもりなのだろうが、それが一番心臓に悪い。


「俺が悪かったです」

「えぇ……」


 反応からして本当に聞いていたのかもしれないが、ほっぺたを指でぐりぐりすると静かになった。


 今度は自分で綾乃の頭に右手を乗せて、艷やかな黒髪を撫でる。

 丁寧に手入れされていて気持ちいいが、ケアを損なわないか怖いので触れる程度に留めておく。


「ん……、ねむ……たくないですよ?」

「なんで強がるんだよ」

「ま、まだ帰りたくないです」

「そうは言っても。ってか、今日ずっと眠いだろ」

「な、なんでバレてるんですか……?」

「寝ぼけてるみたいな甘え方だったもん」

「う……」

「体育祭があったもんなぁ。寝る?」

「…………このまま寝ても?」

「俺がお嬢様の枕となりましょう」


 その後、髪やほっぺたを触りながら少し話をしていると、綾乃は寝息をたてはじめた。


 神様が描いたような顔とは綾乃のことだろうな。

 小さく吐く息。綺麗に整えられた顔に垂れる深い黒の艶髪。

 誰もが認める『美少女』が俺の膝枕で寝ているというのは……なんとも言えない気分だ。


 顔をかかった髪をどかしてあげると、「んぅ……ん」とか細い声を出して口元が緩む。


「もうちょっと……意識してもらわないとなぁ」


 綾乃の頭を撫でながら、ソファの足を背もたれに俺も目を閉じた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ