お母様が暴れ出したとき、遅れてやってきたお母様の友人が実は帝国の皇帝陛下だと判明しました
「アンちゃん!」
お母様が取り乱して悲鳴をあげた。
お母様が悲鳴を上げるなんて、お父様の時以来だ。
「おのれ、帝国の奴らめ、絶対に許さない!」
お母様が、怒りの視線で、レオさんを睨み付けた。
手からはバチバチ火花が散っているし、これは本当に不味いやつだ。
「いや、ちょっと待て、クリス! 俺はアンハームに攻め込むなんて、一言も聞いていないぞ! そんなこと知っていたら止めさせていたから! だから、待て、早まるな!」
レオさんが、必死に手を振る。
どうやら、レオさんは帝国の軍部の偉いさんみたいだ。
「じゃあ、直ぐに止めさせなさいよ!」
「言われんでもやるわ」
お母様の一言にレオさんは頷いていた。
「先生、ちょっと、行ってまいりますわ。その間、アミとこの坊やを宜しくお願いします」
お母様が言い出してくれたんだけど、
「いや、待って、お母様! 私も行くわ。生まれ故郷の危機をほってなんておけないわ」
「俺も行きますよ。自分の国の一大事なのに安全なところで黙って見ているだけなんて無理です!」
私とリックがそう宣言すると、
「足手まといになるんじゃないわよ!」
お母様は私とリックを一瞥すると、
「リックはレオに連れてきてもらいなさい」
「いや、俺はアミと」
レオさんがそう言う前で、お母様は私の手を掴むと、さっさと転移してくれた。
地面がぐらりとして、周りが真っ白になる。
下に落ちそうな感じがして、胸が少しムカムカした。
何回やっても中々なれない感覚だ。
でも、あっという間に、先程まで画面で見えていた風景に変わった。
転移完了だ。
砦の屋上だ。
「ギャッ!」
お母様はアンハーム子爵の上に馬乗りになって、今まさに首を切ろうとしていた男を蹴り飛ばしていた。
男が周りの兵士達を巻き添えにして下に落ちていく。
「く、クリスティーネ様!」
今にも死にそうになりながら、希望の光を見たような声をアンハーム子爵は上げていた。
「しっかりしなさい! 私が来た限り、もう負けることはないわ」
お母様がそう周りに宣言した。
「何を偉そうな、糞婆は引っ込んでろ!」
私は唖然とした。
お母様に、糞婆って言った。
この界隈の冥王のお母様に!
こんな、命知らずと言うか、世間知らずの自殺願望者は初めて見た。
と言うか、ランフォースのやつらもも話してはいけない言葉を教えておけよ!
と、私は叫びたかった。
「何ですって!」
瞬間湯沸かし器になったお母様が男めがけて、火炎魔術をぶっぱなしてくれたんだけど、でか過ぎるって!
「ギャー」
男は瞬時に蒸発した。
でも、敵味方関係なしに放たれたそれは、
「ギャー、クリスティーネ様、それはないですよ」
「俺たちは味方です!」
炎に包まれたノルトハイム王国の連中が叫びつつ、火を消そうと必死に地面に転がっているんだけど、
「ちょっと、やり過ぎたわね」
お母様は味方に水をぶっかけてくれた。
「ギャーーーー」
今度は男達が大量に出現した水に流されるんだけど……
もうめちゃくちゃだ。
「私の前から退きなさい!」
お母様が容赦なしに叫んでいた。
そして、手を前に突き出した。
「いや、クリスティーネ様」
「ちょっと、待ってくださいよ」
味方の男達は必死の形相でその前から退こうとした。
「さっさと、退きなさい!」
血走った目のお母様が叫ぶ。
「山姥クリスティーネ、覚悟!」
男達がお母様に向かって剣を抜き放って駆けてきた。
完全な自殺行為だ。
こいつらも馬鹿だ。
「地獄に帰りなさい」
お母様の手から爆裂魔術が射出された。
「「「ギャーーーー!」」」
瞬時に駆けてきた男達は蒸発していた。
「おーーーー、いきなり、派手にやっているな!」
レオさんが遅れてやってきた。
「遅いわよレオ!」
お母様が文句を言うんだけど、
「帝国本国に問い合わせしていたんだ。宰相を問いただしても『ノルトハイム王国には絶対に手出しはするな』とくどいほど命じたと弁明していたぞ」
レオさんが言ってくれた。宰相に弁明させたってレオさん宰相よりも偉いの?
私が不思議に思ったときだ。
「貴様等か! 我が帝国に仇なす輩は」
偉そうな男が馬を駆ってこちらに走ってくるんだけど……
「レオ、あれ、あなたの国の人間なんでしょ。燃やしても良い?」
「俺の姿を見てまだほざくようだったら燃やしても良いぞ」
レオさんまで言っているんだけど、それで良いのか?
「化け物! 覚悟!」
と男がお母様を見て叫んでいた。
本当に帝国人は礼儀知らずというか怖い物知らずというか、馬鹿だ。
これでこの男も死ぬのが決まった。
私がご愁傷様と十字を切って神に祈ってやろうとした時だ。
でも、その男はお母様の隣のレオさんを見て固まっていた。
「こ、皇帝陛下!」
叫ぶのと馬から落ちるのが同じだった。
いや、落ちたように飛んで来てレオさんの前に跪いたのだ。
その声を聞いて周りの騎士達はぎょっとして、慌てて男とレオさんを見比べた。
「ペーテルス、いつから我が騎士団は俺に対して剣を向けるようになったんだ」
「も、申し訳ございません。決してそのような事は」
ペーテルスと呼ばれた男はレオさんに平伏して謝っていた。
ええええ!
こ、皇帝陛下って、レオさんが皇帝陛下だったの?
私は大きく口を開けて呆然とそれを見ていたのだ。
ここまで読んで頂いて有り難うございました。
レオさんは帝国の皇帝でした。
ここからクライマックスまで一気に書いていきます。
お楽しみに。
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