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試験の打ち上げで油断して思わず余計な一言を叫んでいました。

 私はそれから試験まで一週間頑張って死にもの狂いで勉強した。

 数学と理科はリックに課題を与えられつつ、地理と歴史はエーレンにチョコレートを目の前につるされつつ、頑張って覚えたのだ。


 キンコンカーンコン キンコンカーンコン


「はい、それまで」

 グーゲル先生の合図で試験が終わった。


「やったー!」

「終わったぞ!」

「これで試験休みだ!」

「その後は夏休みよ!」

 皆歓声を上げた。


「答案用紙を後から前に送って下さい」

 グーゲル先生が指示する。

 私も答案用紙を前に送った。


 私はやりきった感満載だった。

 名前も書き忘れがないか最後に確認したし、赤点は一つも取らなかったはずだ。


「ようし、これで夏休みが迎えられるぞ!」

 ゲルトが大きな声で叫んでいた。

「ゲルト君、君の嬉しいのは理解できますが、赤点が一つでもあれば夏休みは補講を受けないといけませんよ」

 グーゲル先生が思わず注意していた。


「先生、何言っているんですか? 俺もやるときはやりますよ! 出来た自信はあります」

 何故かゲルトの歯が光ってくれたんだけど……まぶしい……


「ほお、凄い自信ですね」

「当然ですよ。赤点は一つもない自信があります」

「ゲルト、本当かよ!」

「当然だ。赤点一つでもあれば逆立ちして校庭を一周してやるぜ」

「おおおお、言ったな!」

「それだけやったからな」

 ゲルトはそう笑って豪語していた。


「終業式の日を楽しみにしていますよ」

 そう言ってにこやかに微笑んで先生は去って行った。



「アミは出来たの?」

 斜め前のビアンカが聞いてきた。

「まあ、赤点はなかったと思うけれど」

 出来たとは思ったけれど、私は逆立ちして校庭を一周してやると豪語したゲルトほど自信はなかった。

 どこかでとんでもない間違いをしているかもしれないし……


「アミは大丈夫だって。あれだけリック様と一緒に愛のお勉強をしていたんだから」

 エッダがまた訳の判らない事を言いだしてくれた。


「アミ、何だよ! その愛のお勉強って言うのは?」

 ゲルトが突っかかってきてくれたんだけど、

「は? 何って、私は必死に勉強していたわよ。エッダは恋愛脳だから、皆とちょっと違うのよ」

 私が呆れて言うと

「うーん、全然、愛を感じないアミも問題だと思うけれど」

 エーレンが何か言い出してくれたけれど

「まあ、アミがそう言うなら良いけどな」

 単細胞なゲルトはあっさりと引いてくれた。


 その時だ。

「フランツ様! どちらに参られますの?」

 廊下で大きな声がした。これはカサンドラ?


「いや、俺はちょっと……」

「ちょっとってそちらは一年C組の教室ですわよ。何しにそちらに行かれますの?」

「いや、俺は母に言われてアミの所に」

「ふ、フランツ様! アミって平民女をアミって呼ばれますの?」

 2人の大声が教室内にまで響いているんだけど。


 がらり!


 やらなくても良いのに、アーベルが廊下の窓を開けてくれたんだけど……


 まさに教室の目の前でフランツとその婚約者のカサンドラが痴話げんかをしていた。


「あっ、アミ! 準備は出来たか?」

 喧嘩の一方の当事者のフランツが私を見て声をかけてきたんだけど……

 ちょっと待って! 

 何で婚約者の前で私を誘ってくるの? 

 カサンドラが私を射殺しそうな視線で睨み付けてくるんだけど……私はお母様の二の舞はごめんだ! いや、この場合はフランツの婚約者はカサンドラで私はアナおばちゃんの役どころなの?


「まあ、今度は公爵令息様を巡っての三角関係?」

 エッダが目を光らせているんだけど、全部恋愛に結びつけるのは止めて! 私とフランツは単なる従姉弟なだけだから!


「準備って何の話?」

 訳が判らずに私は取りあえず聞いてみた。


「今日試験が終わったら、母が公爵家で待っているって教えておいただろう?」

「えっ、聞いていないとけれど」

 私はフランツが何を言っているか判らなかった。


「いや、お前にやったノートの一番最後に書いておいただろうが」

 フランツが言ってくれたんだけど……ノートって何もなかったわよ。私は引き出しからフランツがくれた今日の試験範囲の地理のノートを出した。フランツはそのノートをひったくるように取ると最後のページを開けてくれた。


 そこには確かに『テストの最終日が終わったらヨーク公爵邸にて母が待っているぞ』と書かれていた。


「フランツ、こんなの見るわけないでしょ」

 私はフランツに怒って言った。


「あっ、婚約者でもないのに愛称呼びした!」

 横に煩いカサンドラまでいて煩いことこの上ないんだけど……


「まあ、お前も暇なんだから良いだろう」

「はああああ! 私はこれからクラスメートと打ち上げがあるから無理よ」

「な、何だと、お前公爵夫人のうちの母の誘いを断るのか?」

 フランツが怒りだしてくれたけれど、


「フランツ様、公爵夫人には申し訳ないですけれど、クラスの友人の方の方が先約ですので、そちらを優先させていただきますとお伝え下さい」

 私はそう答えるしかなかった。


「お前、俺の母の申し出を断るのか?」

「そんなこと言ったって私のお母様からは一度結んだ約束は必ず守れって言われているし」

 フランツがむっとしてくれたけど、昔、私の母は魔物討伐で約束した報酬を払わなかったお貴族様の館を燃やしてくれたのだ。その時に絶対に約束は守らないと駄目よと母に言われた。母自身はよく私との約束を破ってくれたけれど……身内の約束は良いのよとか言う訳の判らない理由を宣っていたが…… 


「さあ、フランツ様、失礼な平民などほっておいて、さっさと館に参りましょう」

「いや、しかし」

「大丈夫ですわ。公爵夫人には私も一緒に謝ってあげますから」

 一転して上機嫌になったカサンドラに引きずられてフランツは去って行った。


「良かったの? アミ、公爵夫人の誘いを断って」

 エーレン達が心配して聞いてくれたが、

「だってフランツがあんな風にノートの最後に書いておくのが悪いのよ!」

 私はむっとして文句を言った。あんなの絶対に誰も読まないわよ!



 私達はその後街にくりだして、定食屋を借り切って盛大に試験のお疲れ様会を開いたのだ。


「それでは、皆、試験終わっだぞ! 乾杯!」

「「「乾杯!」」」

 アーベルの合図で皆で乾杯した。

 杯を皆でおのおのカチンと鳴らす。

 そうねこれよこれ! この乾杯がしたかったのよね。

 私は感無量だった。


「あれ、これってアルコールは入っていないんだ」

 カクテルか何かかなと思ったんだけど、本当のオレンジジュースだった。


「当たり前だろ、アミ!」

「俺たちは未成年だからな」

 ゲルトやアーベル達に言われてしまったんだけど。


 変だ。


 前世で読んだ学園小説では文化祭の打ち上げの時に皆お酒を飲んでいたのに!

 エーレンに聞いたら「最近はコンプライアンスが厳しくて未成年の飲酒の場面なんて出てこないわよ」と呆れられてしまったんだけど……


 私達はやっと試験が終わって、飲めや(ジュースだったけど)食えや叫べやで大はしゃぎした。

 絶対に店員達は呆れていたと思う。

 私も死にもの狂いで勉強したからその反動でとてもハイになっていた。


 だから最後の締めであんなことを言ったのだと思う。

 最後の締めを指名された私は握りこぶしを握って、


「二学期もお貴族様、特に打倒第一王子目指して頑張るわよ!」

「「「おおおお!」」」

 皆でシュプレヒコールを叫んだのだ!


 こんな第一王子を貶める言葉は学外では言うべきでは無かったのよ。

ここまで読んでいただいてありがとうございます。

試験が終わって思わず口が軽くなったアミでした。

しかし、口は災いの元。

この後アミに災難が降りかかります。

続きをお楽しみに!


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私のお話、ここまで読んで頂いて本当にありがとうございます。

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でも、ケームの中身をほとんど覚えていない!
公爵令嬢で第一王子の婚約者であるフランはゲームの中で聖女を虐めて、サマーパーティーで王子から婚約破棄されるらしい。
しかし、フランはそもそも前世は病弱で、学校にはほとんど通えていなかったので、女たらしの王子の事は諦めて青春を思いっきりエンジョイすることにしたのだった。
しかし、その途端に態度を180度変えて迫ってくる第一王子をうざいと思うフラン。
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ハッピーエンド目指して書いていくので読んで頂けると幸いです。


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