幼なじみに勉強を教えてくれるように頼みに行ったら愛称呼びは王妃様公認だと皆の前で宣言されました
翌日は久々に第一王子からもフランツからもアリーナおば様達からも学園長からも邪魔が入らずに、私は全授業に出れた。久しぶりに学園生の唯一の仕事といえる勉学に戻れたのよ。
私の前に立ちはだかっていた一年A組のお貴族様達は、アリーナおば様達が脅迫してくれたのが効いてか、誰一人私に突っかかってこようとする者はいなくなった。B組なんて更にだ。バッヘムなんて私を見た瞬間「出た!」と叫んで逃げていってくれたんだけど……私はお化けじやない!
それはそれで少し傷ついた。
「まあ、アミは存在自体が化け物じみているからね」
ビアンカに更にむかつくことを言われたんだけど……
まあ、変なのが絡んでこないのはテスト前には良い傾向だった。 そして、誰にも邪魔されなかったのは良かったんだけど……テスト勉強が結構やばくなっていることに改めて気付いてしまったのよ。
数学は少し判らなくなりかけていたし、地理と歴史も少し忘れ始めていた。
私は脳筋なのをこの時ほど悔しく思ったことはなかった。一つ覚えたら二度と忘れないという風な天才だったら良かったのに!
私がそう呟いたら
「無い物ねだりしても仕方がないわよ。今は時間がないんだから」
エーレンに言われてしまった。
「アマーリエさんはこんなのも判らないんですか?」
理科の嫌みの授業はリックが教えてくれた範囲を超えてしまったみたいで、何やっているかよく判らなかった。散々嫌みにここぞとばかりに虐められてしまった。アリーナおばさまにこのむかつく嫌みの弱みを今度会った時に絶対に聞き出してやる!
私は心に決めたのだ。
このままではやばい。もっと真面目にやらないと……
こうなればなりふり構っていられない。
リックが王子だと私に黙っていたことについて、私はまだわだかまりを持っていたが、そんなのとやかく言っていられないほど私は追い詰められたのよ。
私は完全に余裕がなくなったので三年A組にリックを探しに行った。
三年生の教室なんて初めてだ。
私はおっかなびっくりで行ったんだけど、1人じゃなくて良かった。教室の場所がよく判らないのでエーレンとビアンカについてきてもらったのだ。
「リック様が王子様だったなんて知らなかったわ」
ビアンカは完全にお上りさん気分でついてきてくれたんだけど……
「ビアンカ、下手なことは話さないでね。最近あなた少し余計な事を言いすぎよ」
エーレンに注意されていたけれど……
上級生達に何か言われるかなと気にしながら行ったんだけど、お貴族様達は私を見る度にぎょっとしてくれた。そして、できる限り私からは距離を取るように見えたんだけど……ここにもアリーナおばさまの脅しが効いているみたいだった。
三年A組の教室の前で中をざっと見てもリックは見えなかった。
「ああああ! 平民女! あなた何しにここに来たのよ。ヘンドリック様はいらっしゃらないわよ」
ザビーネは相変わらずで、そこは少しほっとした。
「えっ、アミ、どうしたんだ? こんなところに来て」
いないなら帰ろうかと逡巡していたときだ。後ろからリックに声をかけられた。
「あっ、良かった。あの、リックに用があって」
「平民女、ヘンドリック様を愛称呼びするなんて何て不敬なの!」
ザビーネが後から叫んでいるんだけど……
「ブラウンラーゲ伯爵令嬢。アマーリア嬢は俺の友人で、母からも俺を愛称呼びで呼ぶ許可を得ているんだ」
リックが言ってくれたんだけど、そんなこと言われたっけ? 元々私はリックの名前はリックとしか聞いていないし……
でも、リックの言葉に、教室内がざわめいたんだけど……
「そんな!」
「王妃様は平民を認められたの?」
「と言うか平民女の母親ってあの断罪されて有名なクリスティーネじゃないの?」
「その相手の娘なのに、王妃様が認められたって」
悲鳴に近い声まで聞こえてくるんだけど、何故か、ザビーネは涙目だし……
なんかリックの発言が変な風に取られているみたいなんだけど……
「リック、なんか皆様変なんだけど、今のリックの言葉をなんか勘違いしていない?」
私はリックにそう尋ねたら、
「いや、勘違いなんかじゃないさ。それよりもアミ、何か頼み事があるんだろう? ここじゃなんだから、外に行こう」
リックはそう言うと私を教室から離してくれた。
「そんな、私のリック様が!」
ザビーネ嬢の泣き声が聞こえた気がしたんだけど、気のせいだったんだろうか?
リックはそのまま階段を上って、屋上に連れ出してくれた。
「へええええ! 屋上って上がれるんだ!」
私は感激した。
そう言えば前世のドラマで女生徒が男子生徒に告白されていたのが屋上だった気がする。
何てことだ。
私って青春してるんだ。
私は1人喜んでいた。
まあ、一緒にいるのが幼なじみのリックと友人達だけだったけれど……
それに私はここから頼み事があったんだ。
「で、アミ、要件は何だい?」
リックの方から先に聞いてくれた。
嫌なや事はさっさとやってしまおう。
「リック、今はいろいろいと忙しいのは判るし、テスト前だから大変なのは判るけれど、お願い。私にもう一度勉強を教えて」
私は両手でリックを拝んでいた。
「えっ、何だ? 勉強の事か」
何かリックががっかりしているんだけど、何故に?
まあ私の後の2人は私と違って胸もあるし美人だし、私から紹介か何かしてもらえるとでも思ったんだろうか? あいにく私は他人のことに構っていられるほど余裕はないのよ。
まあでも、教えてくれる代償に2人に聞いてもいいけれど……
後でエーレン等にその事を話したら、
「ああああ、可哀想なヘンドリック様」
「アミ、あなた本当に鈍いわね」
2人に呆れられてしまったんだけど何でだろう?
「いや、今日は学園に帰ってこられたから、元々、アミの勉強を見ようとは思っていたから、今日も授業が終わったら迎えに行くよ。 母からもアミの勉強は見るように言われたから。その事で後で聞きたいこともあるしね」
とあっさり言われてしまった。最後の笑みが怖いんだけど……何のことだろう?
私は不吉な予感しかしなかったんだけど……
そんな私達を屋上の影から除いている奴らがいるなんて私はこれっぽっちも思っていなかった。
ここまで読んで頂いて有り難うございます。
アミ達の周りに現れる不審な影。
次回は二人だけの勉強会です
お楽しみに








