転生仲間にお菓子に釣られて秘密を全てバラしてしまいました
その日は1人で久々に必死に勉強した。
駄目だ。大分忘れている。
このままではまずい、私は焦りだした。
ここんところいろんな事があってあまり勉強できていなかった。
テストまで残り一週間くらいしかない。
「よし、やるぞ!」
私がねじりはちまきをして、やる気になった時だ。
トントン
とノックの音がしたのだ。
誰よ?
私の勉強の邪魔をするのは?
むっとしつつ、扉を開けるとそこにはエーレンが立っていた。
「何なの? エーレン、今から勉強しようとしていたのに!」
私が不機嫌そうに言うと、
「えっ、おやつの差し入れ持ってきたんだけどいらないんだ?」
エーレンは焼き菓子の入った大きな袋を私の目の前に突き出して、それを引っ込めようとしてくれた。
「いや、いらないなんて一言も言っていないじゃない!」
私はそのお菓子の袋ごとエーレンを部屋に招き入れたのだ。
「うわあ、美味しそう」
エーレンは街で評判で並んでも中々買えないと噂のお店の焼き菓子を持ってきてくれたのだ。
さすが商会の娘は伝があるのねと感心しつつ、早速頂くことにした。
「頂きます」
私はエーレンから一つもらうと、パクッと口に含んだ。
「美味しい!」
私はとても幸せな気持ちになった。
「で、実際はどうだったの?」
そんな私にエーレンが聞いてきた。
「さっき、皆に説明したじゃない」
幸せな気持ちで二つ目に手を伸ばしつつ私は答えていた。
「皆に言えなかったこともあるでしょ。それを教えなさいよ」
その次に手を伸ばそうとした私の手から袋を奪ってエーレンが聞いてきた。
「えっ、何の話?」
紙袋を物欲しそうに見ながら、取りあえず私は判らない振りをした。
アナおばちゃんには秘密にしろって言われたから言うわけにはいかないし……
「誤魔化さないで。王妃様に呼ばれて何か判ったんでしょ!」
「えっ、ううん、何も判らなかったわよ」
私はエーレンを見ないようにして首を振った。
「あなた、嘘つくときは目が泳ぐからすぐに判るのよ」
「えっ、そうなの?」
エーレンの一言に私は目を見開いた。
「ほら、引っかかった」
「嵌めたわね」
むっとしてエーレンを睨むと、
「私とあなたは転生仲間じゃない。あなたの今後の事もあるから判ったことはちゃんと報告しなさい。でないとあなたにアドヴァイスも出来ないわよ。それに教えてくれないとお菓子もこれ以上はあげないわ」
エーレンはそう言ってお菓子の袋を私の目の前に持ってきて引っ込めてくれるんだけど……
なんと、卑怯な……
エーレンにそう言われて、私はアナおばちゃんとの約束を再度思い出していた。
でも、エーレンは私の参謀だ。ちゃんと話しておかないといざと言う時に助けてくれないかもしれない。それにエーレンとアナおばちゃんは接点がない。私がバラしてもアナおばちゃんにはバレないだろう。ごめん、アナおばちゃん!
私は心の中でアナおばちゃんに謝ると、腹をくくった。
私は決してお菓子に釣られた訳ではないのよ!
「エーレン、他の人には絶対に内緒よ」
「当たり前でしょ」
私の念押しにエーレンが頷いてくれた。
「で、あなたのお父様は陛下だったの?」
いきなりエーレンが父のことを聞いてくれたんだけど……やっぱりそっちかよ。こいつはどうしても私の父をあの頼りなさそうにアリーナおばさまに叱られていた陛下にしたいみたいだ。
「そんなわけないでしょ!」
私は当然否定した。
「じゃあ、何故、あなたのお母様がリック様を受け入れたのよ?」
「アナおばちゃんとお母様は学園時代からの友人だったそうよ」
「えっ? と言うかアナおばちゃんて誰よ?」
「王妃様よ」
「はい? 陛下を取り合った王妃様とあなたのお母様が実は友人だったの?」
いつもは沈着冷静なエーレンが素っ頓狂な声を上げてくれた。
「というか、王妃様の事をアナおばちゃんって言うなんて、あなたどれだけ王妃様と親しくなったのよ?」
エーレンの突っ込みに、私は母がよくアナおばちゃんを家に連れてきていたことやアナおばちゃんから聞いた昔のことをエーレンに説明した。
「それって、本当なの?」
未だに信じられないって顔でエーレンは私を見るんだけど……
「だって私、アナおばちゃんとは家で何度もあっているもの。私が知っている限り母のお友達と言えるのはアナおばちゃんだけよ」
私が太鼓判を押すと、
「そうだったの? なら何故あなたのお母様と王妃様が犬猿の仲だとかいう噂になっているの?」
「まあお母様がアナおばちゃんを躍起になって排斥しようとしていたその取り巻きのおば様方にその事を言いづらかったとか、お母様自身が陛下のことをなんとも思っていなかったとか、普通に婚約破棄されてもその後公爵家を継ぎたくなかったとか諸々の理由があるみたい。お母様には断罪されて国外追放されたてその後好き勝手出来た方が余程都合が良かったみたいよ」
私はアナおばちゃんに聞いた理由を述べた。
「そうだったんだ。あなたのお母様と王妃様が実は友達だったなんて本当にゲームみたいな話ね。でもそんな設定ゲームでは裏設定でもなかったわよ。ゲームでは本当にあなたのお母様は王妃様を嫌いきっていたから」
「うーん。そうなんだ」
エーレンに言われても私はそう頷くしか出来なかった。ここはゲームの世界とは少し違うのかもしれない。
「じゃあ、結局あなたのお父様は誰だったの?」
エーレンがまた最初の話題に戻してくれた。
「うーん、それは判らないわ。ここまで来たらやっぱり実の父はお父様だったかもしれないわ」
私は頭を振りながらそう思った。
「まあ、そうかもしれないね。あなたのお父様って平民だったっけ?」
「詳しくは判らないんだけど、その親はおそらく貴族よ。男爵か子爵だったはずってアリーナおばさまが馬車の中で教えてくれたわ」
お父様は元々私の母の付き人で、一族の中の年齢の近い者から一番魔力の大きい者が選ばれたそうだ。
「身分差の婚姻だと思うけれど、ゲオルクも思いが叶って良かったと思うわ」
と私から父のことを聞いたアリーナおばさまは話してくれた。
学園時代からお母様には必ずゲオルクがついていてゲオルクがお母様を好きなのは見ていてよく判ったとのことだった。
そういう事を聞くと自分の実の父はお父様であっているような気がしたのだ。
結局、その日もエーレンと話していたので、ほとんど勉強できなかった。
ここまで読んで頂いて有り難うございます。
食べ物に弱いアミでした。
ここまで表立った活動が全て裏目に出た第一王子派はどうするか?
続きをお楽しみに!








