王妃様と母が親友だったのが判明しました
えっ、ええええ!
私は頭の中がパニックになっていた。
な、何でここにアナおばさんがいるの?
アナおばさんはジムさんとかヨハンさんみたいな母の下僕ではなくて、母の数少ない友人だ。
ジムさんとかヨハンさんが下僕というのはどうかと思うが、何しろアンハームの領主様、確か男爵だったか子爵だったかも母に呼ばれたら即座にすっ飛んできてへいこらしていたから、まあ、一緒のくくりよ。
何でもアンハームの街に母がいるだけで魔物の出現回数は激減。これは私も貢献していると思う。それに隣国との争いも一切無くなった。一度争いが起こりそうになったときに母が顔を出したら、敵の将軍が母を見た途端に一目散に逃げ出したとか……盗賊や山賊は全て壊滅、ヤクザ者もアンハームを通るときはビクビク震えながら通るとかで治安はとても良くなったのだとか。
その母の唯一といつても良い友人がアナおばさんで、たまに我が家に遊びに来ていた。
その時にとても美味しいケーキを持って来てくれて、私は小さい頃はケーキのおばちゃんと呼んでいた。
そのアナおばちゃんが何故ここにいるの?
「もう、どうしたの? アナちゃん。今日はあなたが来るって言うから、料理長に言っていつものケーキを一杯食ってもらったのよ。さあ、見てご覧なさい」
アナおばさんが机の上を指してくれた。
「うわー、本当だ!」
私の視線は一瞬机の上に並べられた今まで食べたことのあるケーキ達が山のように置かれていて目が点になっていた。
「いや、違う!」
私は私に食べてと叫んでいるケーキ達から、無理矢理アナおばさんに向けて視線を戻した。
「アナおばさん! どういうことなんですか? 何故、あなたがここにいるんですか?」
私は尋ねていた。
「えっ、お母様に私の来る前に私の本名きいてきたんじゃないの? ディアナって言う名前を」
驚いた表情でアナおばさんが私を見てくれたけれど、
「何も聞いてませんよ」
私はむっとした。ディアナって王妃様と同じ名前だ……
「やっぱり、そうなんだ。稲には娘を学園に入れるなら、今度は私が面倒を見るからねってあれほどちゃんと言い聞かせていたのに! なのに、あなたが学園にいるって知ったのは最近だし、全然私を訪ねてこないからどうしたのかなと思っていたのよ」
「稲?」
「えっ、いや、稲じゃなくてイネよ。クリスティーネのィネね」
「ああ、母のことですね」
クリスティーネをイネって呼ぶのも珍しいと思いながら私は頷いた。
「って言うか。なんで王妃様と母が親しくしているんですか? 2人は犬猿の仲で婚約者だった母から陛下を王妃様が奪ったって聞きましたけど」
「まあ、公にはそうなっているわよね。でも、私達はとあることが判明してから親友になったのよ。それに、そもそもあなたのお母様自体が陛下をあんな軟弱な男はいらないっていうから私がもらったのよ」
「えっ、そうなんですか?」
私は頭の中が全てにはついていけなかったんだけど、取りあえず母と王妃様が親友だったというのが判った。それと友好的に婚約者の譲渡が行われたらしい。
「でも、じゃあ、何故、王妃様と母が仲が悪いなんて噂になったんですか?」
大きな疑問を聞いていた。
「それは周りの目があるからカミングアウト出来なかったのよ!」
「カミングアウト?」
今世でもカミングアウトなんて使うのか?
「えっ、まあ、あれよ。イネにも沢山の取り巻き令嬢がいたじゃない。公爵令嬢という手前、平民の私と仲良くしているのを知られる訳にはいかなかったみたいだわ。それにイネはもし陛下との婚約がなくなったら女公爵として家を継がなければいけなくなるから、それは今まで努力してきた弟に悪いって言っていたのよ。イネはああ見えてとても弟思いなのよ」
「えっ?」
私は王妃様の言葉を聞きながら、あの母と弟思いというのが結びつかなかった。絶対に公爵様の反応から見て家でも公爵様を顎で使っていたに違いない。そんな母が弟を思うか? 絶対に自分の都合だ! 面倒な公爵なんかやりたくなかったに違いない。だって母は今でもアンハームで本当に好き勝手やっているのだ。領主様を顎で使い、帝国からの使者を燃やして、好きなときに魔物退治をする。あの母に公爵なんて絶対に無理だと思う。
「だから、私達、周りには本当の事は言えなかったのよ。その結果今でもあんな噂になっているのよ。実際にイネは配下の令嬢達には私には一切手を出すなって命じてくれていたけれど、全てを止める事は出来なかったし。ちょくちょくあったのよね。そのたびにイネは注意してくれたけれど。あの断罪劇も私とイネの間では予定通りだったし、イネも弟に公爵位を継がせられてとても満足していたわ。そのあとレオポンと遊び回っていたし」
「レオポンって誰ですか? 初めて聞いたんですけど……」
私が聞くと、
「あっ、ゴメン。これは言ってはいけない奴だった」
「ちょっと王妃様!」
私が驚いてその先を聞き出そうとしたが、
「アミちゃん。私を王妃様って呼ぶなんてなんて他人行儀なの? 今まで通りアナおばちゃんって呼びなさい」
「えっ、しかし」
「良いじゃない。ここにはリーゼロッテしかいないし」
リーゼロッテさんの前が一番やばいんです! と私は言いたかった。さっきから私に対して色々と言いたいことが山のようにある感じだったし……
「妃殿下。さすがに臣下の娘にアナおば様呼びはまずいかと」
「何言っているのよ。イネは私の親友よ。その娘なんだからそれで良いわよ。それにこの子の父親は」
アナおばちゃんが私の父親の話をしようとしてくれた時だ。
「殿下、ここは駄目です」
「ええい、良いから開けろ」
リックの大きな声が廊下からした。
「アナちゃん。今話したことは息子には内緒よ」
王妃様が言ったときだ。
ダーーーーン!
「アミ、大丈夫か?」
大きな音ともに扉を蹴破ってリックが飛び込んで来たのだった。
ここまで読んで頂いて有り難うございます。
母と王妃様が親友だったと判って唖然とするアミでした。
そこに息子が飛び込んできてこれからどうなるのか?
続きをお楽しみに!








