王妃様は実は母の知り合いでした
私は礼儀作法のロッテン・マイエルン先生の伯母様にあたるリーゼロッテ・マイエルン侍女長に馬車に乗せられて屠殺場に連れて行かれる牛の気分だった。
エーレンが言うには我が母は学園時代は相当酷い虐めを王妃様にしていたらしい。
真冬に冷水をぶっかけるのは当たり前、ゴミ箱を王妃様の上からぶちまけたり、ジュースを王妃様の制服にこぼしたり、果ては破落戸を雇って王妃様を襲おうとしたとか……
まあ、あの母ならやりかねなかった。
その上私がリックに怪我させたのは事実だし、やっぱり母の事も含めて私は怒られるんだろうか?
でも、そんな、恋敵の母のところに何故自分の息子を寄越したんだろう?
そこがよく判らなかった。
まあ、王宮では王妃様と側妃の対立も凄いものがあったという話だから、お母様も王妃様も側妃様が嫌いでその関係で仕方なしに預かったとか……いや、それはあの母にとってはあり得ない。
やっぱり実は私は陛下の子供で……いや、それはないだろう。あの母が自分を振った男の子を孕むとかあり得ない。無理矢理襲われてもあの母だったらその男を燃やしていると思う。
そうか、子供の生まれない王妃様の代わりに頼まれて陛下の子供を身ごもったとか……うーん、それも同じ理由で却下だ。
王妃様が実は腹黒で、単細胞な母が国外追放なのに、国内にいることが判明して黙って黙認する代わりに息子を預かってくれと頼んだとか。
うーん、母はリックに対して私に任せっきりだったし、それが一番しっくりくるかな。
私は王妃様に何を言われるかとリックを何故預かったかについて悶々と悩んでいるうちに王宮に着いたのだ。
「うわー、大きい!」
私は王宮を間近に見て驚いた。というか感動した。
私の家なんてこの王宮に比べれば本当にちっぽけなものだった。
高い壁が聳え立っていて王宮をすっぽりと覆っているんだけど、その壁の端が見えないのよ。絶対に端から端は一キロ以上はある。
そして、その壁の上から王宮の建物が見えていたが、いくつあるか数え切れなかった。
とてつもない大きさだというのが見た瞬間判ったくらいだ。
「アマーリアさん。口が開いていますよ」
私はリーゼロッテ侍女長に注意された。
「すみません」
慌てて口をつぐむ。
「本当にこうしてみるとあなたはクリステイーネにそっくりね」
「侍女長は母を知っておられるんですか?」
私は侍女長の言葉に条件反射で聞いていた。
「それはよく知っていますよ。あの子の礼儀作法の先生は私でしたから」
さらりと侍女長が答えてくれた。
「母と王妃様はそんなに仲が悪かったのですか?」
私は思わず聞いていた。
「さあ、そこはどうだか。まあ、気になるのならばそれは王妃様に直接あなたが尋ねれば良いのではなくて?」
「そんな滅相もない」
私は大きく首を振った。
そんなの怖くて聞ける訳はないじゃない!
「やっぱり王妃様は怒っておられますよね?」
「さあ、それも直接おたずねなさいな」
リーゼロッテ侍女長に冷たく言われてしまった。
私がしょんぼりすると、
「よくは判らないけれど、王妃様は今日はとても朝からご機嫌が良かったわよ」
侍女長はそう言う余計な情報をくれたんだけど、恋敵の娘を甚振るのが楽しみで私を待ち構えているのかもしれない。私は怖気が走った。
まあ、こうなったらなるようにしかならない。いざとなったら転移で逃げだそう。確か、ヨーゼフ先生のところに行く魔方陣を書いた紙がまだあったはずだ。
王宮は中に入ってからも広かった。
王妃様の部屋に行くのに着いてから1キロくらい歩かされたのよ。
まあ私にとっては大した距離ではなかったけれど、侍女長は少し息を切らしていたような気がしたんたけど、気のせいだろうか?
途中の所々にいる女官達が私を見てこそこそしていた。
クリステーネの娘が怒られに来たとかどんな顔で来たんだろうとか噂されているんだろうことは私にも判った。
何かもう最悪だった。
そんな私達はやっと王妃様の部屋に案内された。
部屋は明るいベージュ色で統一されていた。
おそらく高価な家具が置かれているとは思うけれど、私にはよく判らなかった。
中には沢山の騎士や侍女がいるのは理解できた。
その真ん中にある丸テーブルにピンク色の髪をした王妃様が座っていた。
この前は遠くてよく判らなかったけれど、近くで見るととても可愛らしい方のようだった。
母とは正反対だと思った。
でも、その姿にどこか既視感があるようなきがしたんだけど、何でだろう?
「はい、では打ち合わせ通りに、侍女長以外は皆は外して」
「しかし、妃殿下、危険です」
「この小娘にヘンドリック殿下が傷つけられたのですぞ。何をいきなりし出すか判ったものではありません」
傍の騎士と侍女が王妃様に反論したが、
「いいから、全員席を外しなさい」
王妃様は再度命令した。
「判りました。何かございましたらすぐにお呼びください」
一同が渋々退室した。
私はその間下を向いていた。怒り狂っているかもしれない王妃様の顔を正面から見る勇気なんてなかったのよ。
「お久しぶりね、アミちゃん。もっともこの前の魔術大会であったかしら?」
そう言われて顔を上げて王妃様の顔をまじまじと見て私は相手が誰か理解した。
「ええええ! アナおば様?」
私が素っ頓狂な声を上げたのだ。
目の前には魔術大会でもであった母の友人のアナおばさんがニコニコして立っていたのだった。
ここまで読んで頂いて有り難うございます。
王妃様は実は母の友人でした。
次回は解き明かされる真実です。
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