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側妃視点 平民女を不敬罪で罪に問おうとしたら王妃が会って言い聞かせると言ってくれたので、平民娘に殴られることを期待しました

「何ですって、また、ディートリヒがあの平民女に襲われて、重傷を負ったですって!」

 私はその報告を聞いて激怒したのだ。


 あの平民女はこの王国の第一王子のディートリヒを何回怪我を負わせたら気が済むのだ。

 いや、そういう問題ではない。

 本来第一王子を怪我させれば不敬で下手したら処刑だ。

 それを再びやるなど許されることではなかった。


「エミーリア、聞いたか? また、ディートリヒ殿下が平民女に襲われて怪我を負われたとか」

「そうなのです。お父様。もう今回という今回は許せませんわ」

「本当だな。一度は事故で済ませられてもさすがに二度目は許されるものではない。何しろ殿下は将来この王国を背負って立たれるのだからな」

 私の言葉に父の侯爵も頷いてくれた。


「幸いな事に今回、平民女に怪我をさせられたのはディートリヒ殿下だけではなくて、ヘンドリック殿下も怪我を負わされたのだ。今から陛下のところに行ってあのクリスティーネの娘を処罰して頂けるようにお願いしようではないか!」

 私は父の言葉に頷いた。


 あの平民女の後ろにはヨーク公爵家もある。ついでにヨーク公爵家にも責任を取らせれば良いだろう。アリーナの悔しがる表情が今から想像できて私は高笑いしたくなった。



 私達が向かった陛下の執務室には、めったに顔を出さない王妃のディアナまでいた。まあ、丁度これは好都合だ。ディアナからも文句を言ってもらえば良いだろう。


「これはハウゼン侯爵と側妃、いかがいたした?」

 アーデルベルトが尋ねてきた。


「いかがいたしたではございませんぞ、陛下! また、あの平民女が学園で暴れたとのことではありませんか。第二王子殿下のヘンドリック様も怪我を負われたそうで大丈夫でございますか?」

 父は最初は第二王子の怪我の具合を聞いていた。


「いや、またヘンドリックの怪我は大したことはない。心配をかけたな。しかし、どうした風の吹き回しだ、侯爵? そちがヘンドリックの心配をしてくれるときが来るとは思わなかったぞ」

 アーデルベルトは目を見開いて父を見てくれた。


「何をおっしゃるのですか、陛下? 殿下のお体を心配するのは臣下として当然の事ではございませんか」

 父はアーデルベルトの嫌みに動揺のそぶりも見せずに言葉を続けた。

「そうか、まあ、今回はそちの第一王子も怪我をさせられたそうじゃからな」

 アーデルベルトは嫌みを言ってきたが、そこに父は重ねた。


「さようでございます。第一王子殿下も第二王子殿下も怪我をさせられのですぞ。今回は学園もクリスティーネの娘にそれ相応の罰を与えるのでしょうな」

 父ははっきりとアーデルベルトに言ってくれた。


「さあ、それはどうかの?」

 しかし、アーデルベルトはあっさりとそれをながしてくれた。


「陛下。さすがに今回は第一王子殿下並びに第二王子殿下もそのクリスティーネの娘に怪我を負わされたのです。学園としてもしかるべき対応をしてもらわねば我々臣下としても納得出来ませぬ」

 父は食いさがってくれた。


「その事だがな。ヨーク公爵夫人らが抗議してきたのだ」

「ヨーク公爵夫人がですか?」

 父は不思議そうな顔をした。確かヨーク公爵夫人のアリーナはクリスティーネの娘をとても買っていた。その娘のあまりの柄の悪さに愛想が尽きたのだろうか?

 いや、それはあり得ないだろう。


「さようじゃ。我が第一王子とその側近共が大挙してアマーリアを囲んで虐めるとは何事だと。王宮はどのような教育をしているのだと偉い剣幕だったぞ」

 アーデルベルトの言葉に私はむっとした。


「虐めるなどそのようなことはしておりません」

 父が言い訳しようとしたが、

「公爵夫人が言うにはディートリッヒは何度も公爵家の令嬢のアマーリアに『平民女』と今その方が言った通りの言葉を使ったそうだ。それが公爵夫人にはヨーク公爵家に対する侮辱以外の何物でもないと怒り心頭であったわ」

「しかし、陛下、その平民女は」

「公爵。アマーリアは一応公爵家の令嬢だ。それ以上その言葉を使うな」

 父にアーデルベルトが注意してきた。


「しかし、陛下、我々はクリスティーネがヨーク公爵家から勘当されて平民に落とされたと聞いておりますが……」

「あくまでもそれは王家に対するポーズで実際は勘当はしていないそうだ。ヨーク公爵夫人としては義姉のクリスティーネとその娘アマーリアを侮辱する行為はヨーク公爵家に喧嘩を売る行為だと偉い剣幕でまくし立てておったわ」

 アーデルベルトはうんざりした口調で話してくれた。


「しかし、陛下。そのアマーリアですか? はディートリヒ殿下に怪我させたのですぞ。口で言うのと手を出すのは全くの別物でしょう?」

「その点についても最初に手を出そうとしたのはディートリヒだと公爵夫人は言うのだ。アマーリアは単に振り払っただけだと。それに激怒したベルンハルト・アウル侯爵令息がアマーリアに手を出そうとしてそれを弾き飛ばしたらディートリヒとヘンドリックに当たっただけだと公爵夫人は言い切ってくれたわ」

「な、しかし、ディートリヒ殿下は腕を折る折る重傷を負われたのですぞ」

「一歩間違えればアマーリアが負っていたと、女に暴力を振るうとはどういう教育をしているのだと公爵夫人はこれまた凄い剣幕での。抑えるのが本当に対だったぞ」

 アーデルベルトは首を振っていた。


「しかし、相手はあのクリステイーネの血を引いておるのです。そんじょそこらの暴力を振るわれてもびくともいたしますまい」

「それと紳士が淑女に暴力を振るうのは別物だ。そうであろう侯爵」 

「しかし、陛下」

「侯爵。言いたいことは判る。このまま王家としても見逃す訳にも行くまい。実はこの王妃が一度そのアマーリアと話してみると申しておやるのだ」

「王妃様がでございますか?」

 父も私も驚いた。

 おっとりした、空気を読めない王妃が何を話すというのか?


「しかし、危険ではありませんか。そんな凶暴な娘と王妃様が会われるなんて」

「さようでございます。母の仇とか言われて襲われたらいかがなさるのです」

 私達は2人で一応諫めた。


 しかし、王妃は頑なだった。

「王妃は心が広くての。昔のことは水に流すので、クリステイーネとも仲良くしたいと申すのだ」

 アーデルベルトが目を細めていってくれるのだが、私に対してそんな視線で見たこともないくせにと私は少しむかついた。


 それにそもそもあの平民女が母の恋敵のディアナと会ってただで済ますとは到底思えなかった。

 この小憎らしい王妃も一発アマーリアに頬を張られたら、良いのよ!

 そうすれば今度こそこの平民娘を罪に問えるし、そうなったらなったでとてもいい気味だった。

 今回は私はそれを期待することにしたのだ。


ついにアミに対して王妃の召還です。

どうなるアミ?

続きをお楽しみください。

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私のお話、ここまで読んで頂いて本当にありがとうございます。

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