私を貶めてくれた伯爵令嬢達に公爵令息の威を借りて頭を下げさせました
私はお貴族様の令嬢方が何を言っているか良くわからなかった。
リックが第二王子であるわけ無いじゃない!
だって、リックはお母様の昔からの知り合いの息子なのよ!
あのお母様が、恋敵の息子の面倒をみるなんて、絶対にあり得ないわ!
「リックって、ヘンドリック様の愛称ではないですか?」
でもそんな中で一人の令嬢が言い出した。
「あ、愛称?」
まあ、名前がヘンドリックだから、その一部を取ってリックって言うのはありかもしれないけれど、諸般の事情を考えると、絶対にあり得なかった。
「まあ、この平民の娘、ヘンドリック様の事をその愛称で呼ぶなんて、あり得ないわ!」
「本当にどこまで図々しいの?」
「信じられないわ」
貴族の娘達が色々と言ってくれるけど、それは絶対に無いって!
「ヘンドリック様は中々女性とも親しくなられないのに、ヘンドリック様の気を引くためにあなたは何をしたの? 平民娘だから娼婦のまねごとでもしてヘンドリック様の気を引いたのかしら?」
「まあ、不潔ですわよ、ザビーネ様」
「だって、そうでもしないとあのヘンドリック様がこんな小娘にたぶらかさられるはずはありませんもの」
「そうですわね」
「本当に不潔!」
女達が何か言ってくれた。
私は自分で言うのも何だが、うぶだと思う。前世も病弱ボッチだったし……
でも、さすがにこいつらの言うことは理解できた。
ヘンドリックが誰か知らないが、リックには私はそんな不潔なことは一切していない。
こいつら私を娼婦とまで貶してくれたんだけど、私は母からもきつく言われているからそんな不純異性行為はしていない。母は潔癖でそんな事をしたと母に誤解されても私が下手したら張り倒される。
ここははっきりと否定する必要があった。
というか、私は完全にぷっつん切れていた。
「ザビーネ・ブラウンラーゲ伯爵令嬢でしたっけ?」
私は一応名前を確認してあげた。
「そうですけれど、私は平民風情に名前を呼ばす事を許可した覚えはありませんわ」
「本当に失礼な平民女ね」
「信じられませんわ」
取り巻き達が追従してくれたんだけど。
「ピーチクパーチク煩いわね!」
私もいい加減に堪忍袋の緒が切れた。
「何ですって!」
「あなた、ザビーネ様はブラウンラーゲ伯爵家の令嬢でいらっしゃるのよ」
「平民風情が何を偉そうに!」
お貴族様たちが指摘してくれるんだけど、私も貴族家に籍があるんですけど……
「あのう、貴方たち、この前の魔術大会で私の出た剣術競技を見ていなかったの?」
「ふんっ、その剣術競技で勝ったからって何なのよ!」
「そうよ。ここで剣でも振り回すの?」
「まあ、野蛮なのね」
一斉に避難してくれたんだけど、
「本当にギャーギヤー煩いわね。別にここで貴方たち全員に雷撃浴びせても良いわよ」
いい加減に相手するのが疲れたので、私が手をバチバチさせるとさすがの女達もぎょっとした。
「ちょっと、ここでやるつもりなの? やればあなたは停学は確実よ」
さすがに青くなってザビーネが言い出した。
「学園長とかが煩いからやらないわよ。それより剣術競技で、私を応援して頂いたアリーナ様に言われたんだけど」
「アリーナ様って?」
「ヨーク公爵夫人ですわ」
ザビーネの質問に取り巻きの一人が教えていた。
「何を言われたの? どのみち、あなたの母のクリスティーネは公爵家を勘当されたからそれに対して叱責でもされたんじゃないの」
「そうよね。平民風情が公爵家にドロを塗ったとか怒られたんでしょう」
ザビーネと取り巻きが主張した。
「何を見ていたんだか。アリーナ様によると公爵家は我が母を勘当はしていないそうよ。だからお母様も籍は公爵家にあるの。というか、今あなたはお母様のことを呼び捨てにしたけれど、それをあのお母様命のアリーナ様が聞いたらただで済ませるかしら。そうか、伯爵家は公爵家よりも上なのよね」
私は嫌みを言ってやった。
「いや、それは……でも、そんなの嘘よ。お父様はあなたの母が平民になっているとはっきりとそうおっしゃったわよ」
必死にザビーネが抵抗してきた。
「ふうん。じゃあ、証人を呼びましょうか? フランツ様!」
私は大声で食堂から出て来たフランツを呼んだのだ。
フランツは一瞬ぎょっとしたが、仕方なさそうにこちらに歩いてきた。
「何だ、アミ? お前が俺に様付けで呼ぶなんて碌な事じゃない気がするぞ」
「何をおっしゃっていらっしゃるのですか? 私がフランツ様を呼び捨てしたことなどないではないですか」
私がしらっと言うと、
「嘘つけ。俺に対して敬語を使った事もないだろう。気持ちが悪いから止めろ」
心底嫌そうにフランツが言った。
「だって私平民だし」
「何を言っている。もともと平民の時からお前は態度がデカかっただろうが! それに今は父も母もお前の事をちゃんと面倒みろって煩いんだよ。特に母はクリスティーナ叔母上、命だからな。俺としてはお前が静かにしてくれることだけを祈っているよ」
フランツが勝手に大半の事を説明してくれた。
女達はそれを聞いて固まっていた。
「ということなんだけど、貴方たち、まだ何かあるの?」
私は青くなっているザビーネ達に振ってやった。
「ん? 何だこいつらとトラブルか? ザビーネ・ブラウンラーゲ伯爵令嬢だったか。アマーリアは公爵家の人間だ。特に母が煩い。アマーリアに何か文句があるのならば公爵家の俺が聞くが?」
「いえ、私は何もございません」
ザビーネは蒼白になっていた。
「えっ、でも、母のことを呼び捨てにして公爵家から勘当された平民風情って言っていたわよ」
「それは本当か?」
ぎょっとしてフランツはザビーネを睨んだ。
「この前の剣術対戦でも見せたと思うが、叔母はこの国の貴族の中にも100人くらいの親衛隊を抱えている。ブラウンラーゲ伯爵はその全員に喧嘩を売るという事で良いのか」
フランツはぎょっとした顔でザビーネを見た。
「いえ、そのようなことは……申し訳ありません。私が悪うございました」
地面に頭がつきそうなほどザビーネは頭を下げていた。
「俺じゃなくて、謝るのはアマーリアに対してするべきだろう」
「えっ、この子にですか」
ザビーネは一瞬嫌そうにしたが、
「こいつはこう見えても公爵家の令嬢だ。母と父が認めている。爵位の継承権は俺の次がクリスティーネ伯母様でその次がこのアマーリアだ」
「も、申し訳ありません。アマーリア様」
「も、申し訳ありません。アマーリア様」
貴族の令嬢達は慌てて頭を下げてくれた。ザビーネはもう卒倒しそうだった。
うーん、なんか虐めているみたいな感じがして私は少し居心地が悪くなった。
お貴族様の令嬢は這々の体で逃げていった。そのあとブラウンラーゲ伯爵が青くなってフランツの家に頭を下げに来たとフランツが報告してくれた。
この様子を見ていた者達によって、私が公爵家のフランツを顎で使って伯爵令嬢達を平伏させていたという噂がまことしやかに流されたんだけど……
私はフランツを顎で使ったりはしていないわよ!
そう否定しても誰も認めてくれなかったんだけど……
ここまで読んで頂いて有り難うございました。
アミに顎で使われるフランツでした。
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でも、リックとヘンドリック殿下の関係は?
続きをお楽しみください。








