女達に囲まれて幼なじみが第二王子だと言われて信じられませんでした
その日夕方に帰ってきた私はエーレン達にあっと言う間に囲まれてしまった。
そのまま、ビアンカの部屋に連れ込まれて根掘り葉掘り聞かれた。
「どうだったの、アミ?」
「何か進展あった?」
「キスでもした?」
三人に一斉に聞かれて私は驚いた。
「何を言っているのよ。私は忙しい中で勉強を教えてくれたリックにお礼をするために、一日付き合っただけよ。それ以上でもそれ以下でもないわよ」
私が三人に宣言すると
「そんなこと話して、二人でイチャイチャしていたんじゃないの?」
エッダが更に絡んでくるが、
「そんなわけないでしょ」
私は即座に否定した。
「でも、手くらい繋いだんでしょ?」
「いや、まあ、迷子になったら困るって言われて市場では繋いだけれど」
「ほらっ、やっぱり繋いでいるじゃない」
「でも、市場って何しに行ったの? あんな所に高級料亭なんてあったっけ?」
エッダが聞いてきたから
「そんなところに行くわけないでしょ! 市場で串カツとか買って食べ歩きしていたのよ」
「ええええ! あなた、あの服で食べ歩きしたの? あの高級感あふれる服で?」
「アミ、信じられない。あの服なら、お貴族様のレストランでもギリギリで入れたのに! 何してるのよ」
エッダとビアンカが呆れてくれたけれど、そんなのいけるわけないじゃない!
「あのね、お貴族様の行くレストランなんて行ったら私が破産するでしょ」
「リック様に奢ってもらったんじゃないの?」
「何言っているのよ。私がお礼を言うから私が出すに決まっているでしょ!」
「もったいない」
「そうよ。せっかく、リック様があなたを誘ってくれたのに! 高級レストランくらい言って奢ってもらったら良かったのに」
「私の高価な服を貸した意味がないじゃない」
三人が呆れてくれたけれど、私の財布のためにもリックの選択は正しかったのだ。
三人に散々馬鹿にされた後でそれで終われば良いのにまた根掘り葉掘り聞かれた。
「えっ、昼食は街の食堂で食べたの?」
「うん、塔の後にリックがたまによる食堂に連れて行ってくれたのよ」
「うそ、私もレストランとかでは良く食べるけれど、あんな見目麗しいお貴族様なんてめったにいないわよ」
私の言葉にビアンカが驚いていたけれど、
「あなたの行くのは上級文官様とかが行く料亭でしょ。そんなところにはお貴族様はあまりいないわよ」
「そんなことないわよ。この前はどこぞの伯爵様を見たわよ」
エーレンの言葉にビアンカが反論したが、
「娼婦か妾を連れていたんじゃないの?」
「そう言えば若いきれいな女性を連れていたわ」
「でしょう。お貴族様が食べるのはもっと上の超高級レストランよ。ホテルノルトハイムの最上階のレストランとかね」
「そらまあそうかもしれないけれど、リック様が連れて行ってくれたのはおしゃれでちょっと高級そうな私がよく行くようなレストランだったんでしょ?」
「えっ、違うわよ。町中にある誰でも入れる食堂だって」
「えっ、冒険者とかが入ってくる?」
「そうよ。旅商人とかもいたかな」
「嘘、あなたその格好で入ったの?」
ビアンカが驚いて私を見た。
「当然でしょ」
「じゃあ、あなたの衣装浮いていたでしょ」
「そうかな。まあ、なんか男の人達にチラチラ見られていたかもしれないけれど」
「まあ、あなたは存在するだけで目立つからなんともいえないわよね」
訳知り顔でエーレンが言ってくれたが、
「ちょっと、エーレン、どういう意味よ!」
「そういう意味よ」
「ちょっと意味わからないんですけど」
「まあ、アミはどこでも目立つけどね」
「ねえ」
皆して納得しているんだけど……私は前世は病弱ボッチ人生していたし、今世でも目立たずシャイな性格なのに!
そう言い張ったら皆で無視されたんだけど……何で?
「おはよう」
私がよく朝、挨拶をしてエーレン等と教室に入っていくと、
「アミ、昨日リック様とデートしたって本当か?」
血相変えたゲルトが飛んできたんだけど……
「デートなんてしてないわよ」
私がきっぱりと否定すると
「アーベル、貴様嘘をついたな」
今度はゲルトがアーベルに食ってかかっていた。
「嘘なもんか。市場で二人でいるアミとリック様を俺は見たぞ」
「えっ、アーベル、昨日市場にいたの?」
私は驚いて、アーベルを見た。
「ああ、ちょっとお袋に買い物を頼まれて行ったら、アミとリック様が手を繋いで仲良く歩いていた」
アーベルがとんでも発言をしてくれたんだけど、
「いや、デートなんかじゃないわよ。リックに勉強教えてもらったお礼に一日付き合っただけで」
「付き合っただと!」
関係ないところでゲルトが食いついてきたし……
「いや、だから、お礼に色々ごちそうしただけで」
「しかし、それで手を繋ぐか」
「それは迷子になると困るって言われて」
「お貴族様が好きでもない相手の手は繋がないと思うぞ」
「そんな!」
アーベルの言葉にゲルトはショックを受けているんだけど……
「いやいや、リックとは子供の頃から手は繋いでいるし、全然普通よ」
私は言い張った。
「そうかな。じゃあ、アミは俺がその場にいたら手を繋いでくれるのか?」
「ええええ! アーベル、アミのことが好きだったの?」
ショックを受けたような顔でエッダがアーベルを見ていた。
「いや、例えばだよ」
少し赤くなってアーベルが言い訳しているんだけど、
「別に、その場になって離ればなれになったらまずいと思ったらそうするけれど、アーベルはダンジョンでは自分の身は自分で守れるでしょう」
「それはそうだけど、リック様も守れると思うぞ」
「今はそうかもしれないけれど、昔は本当に弱くて手を離したらゴブリンに襲われているし、目を離せなかったのよね」
「えっ?」
私の言葉にアーベル等は驚いた顔をしていた。
「さすがアミは昔から化け物だな」
「何か言った?」
「いえ、なんでもない!」
余計な事を言ってくれたライナーを睨んだら、慌てて視線を逸らしてくれた。
「まあ、アミはまだその気は全然ないんじゃない?」
「そうみたいだな」
エーレンの言葉に男どもが納得しているんだけど、何に納得しているんだろ?
そのお昼休みだ。
私が一人で食堂を出たときだ。
「ザビーネ様、あの女ですわ」
私はいきなり歩いてきた集団の一人の貴族令嬢らしい女に指さされた。
「何ですって!」
ザビーネと呼ばれた女が私を見ると同時に、私に向かってずかずか歩いてきたのだ。
私はあっという間に女達の集団に囲まれてしまった。
「あなたですの? ヘンドリック様の周りをうろついているという不届きな平民は?」
「ヘンドリック様?」
私はきょとんとした。
「それってどなたですか?」
「まあ、あなたしらばっくれるの? 第二王子殿下のヘンドリック様よ」
ザビーネは赤い髪を振り乱して叫んでくれた。
ああ、そうだった。エーレンとの勉強でそんな名前が出て来た。確かお母様の恋敵の王妃様が産んだ子供が第二王子殿下だった。私はできる限り王族とは関わらないように自分ではしているので、その名前を忘れていた。
というか、母の恋敵の生んだ王子の周りなんてうろうろする訳ないでしょう。
「絶対にあり得ません」
私ははっきりと否定したのだ。
「ちょっとあなた、この女で合っているの?」
「間違ってませんわ。私昨日白い塔の前でこの女とヘンドリック様がいるのを見ました」
「私も食堂の前でこの女とヘンドリック様が仲良く話しているのを見ました」
私は女達が何を言っているのかよく判らなかった。
女達が何か勘違いをしているんだ。
私は確信した。
「あのう、私が昨日一緒にいたのはリックですけれど」
私が勘違いしている女達に説明すると、
「リックって、何をおっしゃっていらっしゃいますの? 私ははっきりとヘンドリック様とこの女が仲良く手を繋いで歩いているのを見ました」
「そんな訳ないわよ。リックとは私は幼なじみで、リックはお母様の知り合いの息子なんだから」
私はあり得ないと否定した。
そうだ。あのお母様が恋敵の息子を預かったりするのはあり得ないんだから!
ここまで読んで頂いて有り難うございます。
果たして事実はどうなのか?
続きをお楽しみに!








