第一王子の卑怯な手をリック等が見破ってくれたので、怒りの張り手を王子にお見舞いしました
バシン!
痛い!
肩から腰にかけてディートリヒの模擬剣を受けた。
私の強化魔術は間に合わなかった。というか出来なかった。
凄まじい痛みが襲う。
この痛み、母に張られたときの痛みと同じだ。
第一王子のディートリヒの剣が私を張り倒していた。
「キャーーーー」
「アミ!」
「アミちゃん!」
皆の悲鳴が聞こえた。
ドシン!
私は背中から地面に叩きつけられる。
そのショックで剣が後ろに飛んでいった。
やばい。
剣を拾わないと。
まだ、何故か力が入らない。
私はふらふらと立ち上った。
「ほう、まだ立てるのか」
馬鹿にしたような王子の声が後ろからした。
「キャーーーー!」
「アミ、後ろ!」
「えっ」
私は皆の悲鳴を聞いて後ろを振り返ろうとしたが、その前に背中を衝撃が襲った。
後ろから斬りつけられたのだ。
私は地面に叩きつけられた。
顔面をもろに地面に打ち付けていた。
私の目の前を火花が飛ぶ。
「アミちゃん!」
「後ろから斬りつけるなんて卑怯よ」
「さすが側妃の息子だわ」
「というか、アミちゃんどうしたの?」
「そんな王子さっさとやっつけなさいよ」
応援団のおばさま達に言われて、その通りだと思うが、何故か力が入らなかった。
こんな事はおかしい。絶対に変だ!
剣を取ろうと手を伸ばす。幸い、剣の傍に叩きつけられていた。
剣をなんとか掴んだ。
そして、立上がろうとする。
「しつこい女だな。お前は」
そういう王子の声がして、
「ギャッ」
横腹に痛みが走る。
私は横腹を思いっきり蹴られていた。
そのまま私は吹っ飛んでいた。
地面に叩きつけられた拍子に剣が手から離れた。
からんころん
剣が転がった。
私は剣の側に行こうとして、
「グッ」
またディートリヒの蹴りが脇腹に入って呻いた。
「卑怯だぞ! 王子」
「アミ、立つんだ」
「そんな卑怯な王子をギタンギタンにしてやれ!」
「アミちゃん! 頑張って!」
皆の声援が聞こえるが、何故か私は力が入らなかった。
また、王子に蹴り飛ばされる。
「「キャーーーー」」
「アミ!」
「アミちゃん!」
皆の悲鳴が聞こえる。
「卑怯よ、王子!」
「最低よ!」
「正々堂々としなさいよ!」
おばさま達が叫んでくれるが、
「何を言っているのよ。あの子がさっさと負けを認めないからでしょ。息子になんて勝てる訳はないのに、粋がって平民の女風情が立ち向かおうとするからよ。身の程を知りなさい」
側妃の勝ち誇った声がする。
「平民女よ。さっさと負けを宣言しなさい」
「まだまだ、負けないわ」
私はそう言うと立ち上った。
「ほう、まだ立てたのか」
ディートリヒは笑ってくれた。
「では引導を渡してやるわ」
そう言うと大上段に構えてくれた。
強化魔術を使おうとしたけれど力が入らない。
「喰らえ」
ディートリヒは無防備な私に思いっきり剣で斬り込んでくれた。
「ギャッ」
私は吹っ飛ばされていた。
「ギャッ」
地面に背中から激突した。
そして、意識を失った。
私は子供の頃の夢を見ていた。
「リック、そこは危ないわよ」
ダンジョンでトラップにかかりそうになったリックを慌てて止めた。
「そっちも魔物がいるから駄目」
洞窟の奥に勝手に行こうとするリックを止めた。
「ちょっと、リック、本当にどうしようもないわね。私がやるわ」
ゴブリンに殴られて倒れたリックの前に立つと私はゴブリンを剣で叩き斬っていた。
でも、次の瞬間、
「アミ、危ない!」
「えっ」
リックの声がして、私は振り返った。
そこにディートリヒの剣が真上から振り下ろされていた。
「ギャッ!」
私は吹っ飛んでいた。
そして、気を失なおうとした時だ。
「アミ、立つんだ!」
リックの声が外から響いた。
「立て! アミ!」
再度リックの声がする。
そんなこと言っても、立てない!
はっとして私は目を開けた。
「立つんだアミ!」
「えっ、リック!」
私が目を覚ますと、リックがフェンスギリギリで叫んでいた。
「良かった気付いた」
リックがほっとしてくれた。
「アミ、呪術をかけられるなど言語道断じゃぞ」
その横からヨーゼフ先生の叱責が響いた。
「呪術?」
私がぽかんとしてヨーゼフ先生を見ると先生が黒づくめの男をふん縛っていた。
「ほんに、貴様はまだまだじゃな。こいつらに呪術を賭けられていたのじゃ」
ヨーゼフ先生の前にふん縛られた3人の男がいた。
なるほど、私はどうやら呪術をかけられて、強化魔術が使えなくなっていたらしい。
「ほおおおお、平民女はまだ立てたのか?」
こちらを見たディートリヒが笑ってくれた。
「降参したら許してやるぞ」
剣を構えてディートリヒが胸を反らして慈悲をかけてくれたみたいだ。
馬鹿馬鹿しい。私に呪術をかけて強化魔術を使えなくさせていた卑怯な男がよく言う。
私は完全に切れていた。
「ふんっ、あなたなの? 私に呪術をかけさせたのは?」
「何を言っているか、判らんが、これで最後にしてやるよ」
ディートリヒはきっと私を睨み付けてきた。
「ふんっ、強化魔術さえ使えれば問題ないわ」
「もう遅いわ! 喰らえ!」
渾身の力を振り絞ってディートリヒは、剣で私に斬りつけてきた。
でも、呪術がなければ私は無敵だ。
私は人差し指を強化するとその剣を人差し指で受けてやったのだ。
ガキン!
「えっ?」
ディートリヒは指一本で剣を受けられて唖然としたようだ。
「良くもやってくれたわね」
私はそう言うとディートリヒから強引に剣を取り上げた。
バキツ
そして、その剣を真っ二つにへし折ってやったのだ。
「はっ?」
ディートリヒは唖然とした表情で私を見た。
「そんな馬鹿な。あの剣は宝剣だぞ! 貴様王家に伝わる宝剣を真っ二つにするなどどういうつもりだ?」
なんかディートリヒが叫んでいるけれど、呪術を使って私を散々いたぶってくれたディートリヒを私は許すつもりはなかった。
「そんなの知らないわ。それよりも良くも卑怯な手で私と戦ってくれたわね」
「何を言っている。俺は知らんぞ」
ディートリヒは必死に首を振ってくれた。
こいつは本当に知らないのかもしれない。
とするとやったのは側妃か?
「歯を食いしばれ!」
私はディートリヒの胸ぐらを掴むと持ち上げた。
「おい、何をする貴様!」
ディートリヒは抵抗しようとしたが、強化魔術をかけた私に対抗できる訳はなかった。
「喰らえ!」
そして、思いっきり平手で張り倒したのだ。
本来はグーで殴り倒すつもりだったけれど、何も知らなかったのかもしれないと思って平手に変えてやった。
パシーン!
「ギャーーーー!」
皆がぎょっとする音を残してディートリヒは特設会場から飛んでいった。
そのまま、唖然と見ている側妃に向けて。
「ギャー!」
そして、物の見事にディートリヒは側妃に命中していた。
ここまで読んで頂いて有り難うございました。
卑怯な手を使った側妃に対してその息子をお見舞しました…………
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でも、剣術で張り手なんか使っても良いのか?
続きは明日です








