第一王子と対決して力が入らずに吹っ飛ばされました
そして、ついに剣術対戦でファイナルの決勝を迎えた。
「五年A組ディートリヒ・ノルトハイム殿下」
審判のガイスラー先生が呼び出した。
流石の先生も王子を呼ぶ時は君付けじゃなくて殿下呼びするんだと私は変なところで感心した。
両手を上げてディートリヒが会場に登場した。
「キャー、殿下!」
「ディートリヒ様!」
「素敵です。殿下!」
「平民女なんて倒してください!」
大声援が起こった。さすが王子だ。
私はあの偉そうな態度が嫌いだけど……
「一年C組アマーリア・フルフォードさん」
次に私が呼ばれた。
さすがに王子の前では皆も特におばさま方は国王陛下の臨席の前では私を応援しないだろうと私は思っていた。
「「「「ウォーーーー!」」」」
でも、それは間違いだったみたい。
王子の倍以上の大声援が巻き起こったのだ。
「アミ、頑張れ!」
「頑張るのよ、アミ!」
「優勝がかかっているのよ!」
「何としても勝って!」
クラスメート達の声は聞こえた。
まだまともなことを言っていた。
さすがに王子を気にしてか王子を倒せとかそういう事は叫んでいなかった。
クラスメート達は!
「アミちゃん!」
「頑張れ!」
「側妃の息子なんて何でもないわ!」
「一気に叩き潰すのよ!」
「側妃の息子ごときに負けちゃ駄目よ!」
お貴族様のおばさま方はさすがに王子という言葉は使っていなかったが、側妃とか呼び捨てにしていて良かったんだろうか?
遠くで頭を抱えているお貴族様の旦那様達が見えた。
「おい、お前達、もう少し控えめにだな」
「あなたは黙っていて」
あれはカミラ婦人だろうか? 旦那とおぼしき人が止めようとしてそれを無視して
「王子なんて叩き潰して良いわよ!」
ついに王子を叩き潰せと言い出したんだけど……
旦那様達はいきり立った奥様方には勝てないみたいだった。
頭を抱えているだけだった。
「ちょっと貴方たち、王子殿下に対して不敬ではないですか?」
「裏切り者のアグネスは黙っていなさい!」
「本当よ!」
「あなた、クリスティーネ様のお情けで生きていられるのよ。裏切り物のあなたを全員で天誅を下そうとしたのを『止めなさい。アグネスなんて下っ端に天誅を下しても仕方が無いわ』クリスティーネ様が止められなかったら、あなたは今頃そこに立っていられなかったのよ」
「本当よ。クリステイーネ様のお嬢様の前に跪いてお礼を言うべきよ」
侯爵夫人らしき人が反論したけれど、集中砲火で反撃されていた。
あの人がお母様を裏切ったらしい。
まあ、その息子をさっき倒したからお母様の仇を討てたんだろうか?
「な、何ですって! 貴方たち、侯爵夫人の私にそのようなことを言って、ただで済むと思っているの?」
「何言っているのよ。まだ、侯爵様の嫡男の嫁に過ぎないじゃない!」
「そうよ。あなたは元々高々子爵令嬢でしょう!」
「言葉には気をつけなさい!」
「……」
元子爵令嬢は悔しそうに歯がみしていた。
元子爵令嬢では相手にならないらしい。
「ちょっと貴方たち、第一王子殿下の前で不敬ではないの?」
そこに声をかけたのはあれは側妃だと思う。
この目の前の王子によく似ているし……
傲岸なところがそっくりだ。
「ふんっ、側妃風情が黙りなさい!」
でも、公爵夫人も黙っていなかった。
「な、何ですって!」
きっとして側妃が睨み返したけれど、公爵夫人は平然としていた。
「黙るのはあなたでしょう。側妃様は第一王子殿下の母上なのよ!」
横から元子爵令嬢が援護射撃をしたけれど、
「それがどうしたのよ。それを言うなら、私はヨーク公爵の嫁です。クリステイーネ様からはヨーク公爵家の事を頼むと託されているのよ」
「それがどうしたの? 私は陛下の第一王子殿下を生んだ妃よ。私の方が上よ!」
「はああああ? 王妃様ならいざ知らず、側室風情がデカい顔をしないで!」
「何ですって!」
「そもそも、クリスティーネ様がいらっしゃった時はあなたもクリスティーネ様にへいこらしていたじゃない!」
「おい、アリーナ、さすがにまずいぞ」
「エミールも落ち着け」
それぞれ旦那様らしい人が押えようとしていた。
「あなたはほっておいてください」
「陛下は黙っていてください!」
しかし、二人は止めようとした旦那様を一瞬睨み付けていた。
これには2人の旦那様もタジタジだ。
側妃様の旦那様って国王陛下?
ということはお母様が振られた元婚約者。
なんかお父様とはまた全然違う。見目は良いかもしれないけれど、お母様の好みとは違うような……
そして、その横にいる人が王妃様だろうか?
お母様が陰惨な虐めをしたっていう?
何かそこが理解できないんだけど、お母様なら一発張るか……全治一ヶ月くらいとか、あまりにも切れたら燃やすとか……普通は生きていられないと思うんだけど……
それとも母と対抗できるだけの魔術の凄い人だったんだろうか?
そう、チラリと思ったときだ。
「アミちゃん、頑張って!」
その王妃様の口から私を応援する言葉が飛んで来たんだけど……
ええええ!
王妃様から応援されたんだけど……何で?
確か母と王妃様は恋敵で絶対に私に対しても良い印象を持っていないはずなのに?
それにこの呼ばれ方はどこかで聞いたことがあるんだけど……あれ、なんか変?
呼ばれた瞬間に私の体に変調が来た。
なんか、体に力が入らない。
「今のうちだ。早くしなさい」
慌てる学園長の声が遠くに聞こえた。
「ふん、平民娘。さすがに俺様を前にして怖じけずいたか」
第一王子がふんぞり返って威張ってくれるんだけど、私はそれどころではなかった。
体の力が抜ける。
立っているのに精一杯だった。
「用意、始め」
でも、ガイスラー先生は気付かなかったみたいで、そのまま始めの合図をしてくれた。
私は構えようとしたが、何故か力が入らない。
やばい!
私が焦りだしたときだ。
「喰らえ! 平民娘!」
ディートリヒが打ち込んできた。
私はそれを剣で受けることも出来ずに、ディートリヒの打ち込みをまともに食らって、吹っ飛ばされていた。
絶体絶命の危機、アミはどうなる?
続きは今夜です








