おばさま達に母が国内にいるとバラしてしまいました
「少し、まて! 今のが剣術の勝ちなのか?」
侯爵がいきなりものいいをしてきた。
「はああああ! まあ、侯爵様ともあろうお方が、自分の孫が負けたからって、文句をお付けになるんですの?」
早速、公爵夫人が噛みついてくれた。
お貴族様の応援団がいるって、こういう時に便利だ。
「いや、そうではないが、あれは魔術ではないのか?」
「何を言われるのやら、あれはソニックブレード、クリスティーネ様の得意技でしたわ」
「そうですわ。ダンジョン探険授業の時に私はクリスティーネ様にそれで助けていただきましたから」
「さすがアミ様はクリスティーネ様のお子様ですわ」
叔母様方、いや、お姉さま方と言った方が良いかもしれない方々が、私を庇ってくれた。
「いや、そこではない。孫が打ち込んだ時に弾かれたではないか! 剣を弾いたのは障壁ではないのか?」
「そうよ!あれは絶対に魔術よ! あれは剣術ではないわ」
横でアグネス夫人まで言い出してくれた。
だから強化魔術勝負は嫌だったんだよね。
こう言うことを言われるから……
私はうんざりしたんだけど……
こうなると反則と指摘される可能性もある。
まあ、私の作戦は魔術の世界第一人者のヨーゼフ先生が決めたことだから失格にはならないと思うけれど、ケチはつけられるような気がする。
「障壁反応は一切ありませんでした。あれはアマーリアさんの強化魔術で反則ではありません」
でも、ガイスラー先生が即座に否定してくれた。
「そうなのか?」
「間違いありません」
他の先生方も即座に否定してくれた。
私はほっとした。
「ほら見なさい。本当に負けを即座に認めないなんて、侯爵家の方は本当に往生際が悪いですわ」
『アミちゃんの勝ち!』
人文字が浮かび上がる。
『負けは負けと素直に認めろ!』
次の公爵夫人の合図で人文字が変わる。
「うぬぬぬぬ!」
侯爵は悔しそうに顔をしかめた。
「あのう、応援ありがとうございます」
私は皆さんの前に言って一応頭をさげた。
「まあ、アマーリアさん、礼など不要ですわ。私達はあなたのお母様にとても世話になったのです。そんなに世話になったのに、あなたを応援しないのは裏切り者で恩知らずのアグネスくらいですわ」
公爵夫人が更に侯爵夫人に喧嘩を売っているですけど……
私は聞かなかったことにした。
これ以上敵を作りたくないし……
「お母様はお元気ですか?」
「はい、アンハームで元気にしています」
「まあ、それは本当ですの?」
「なんと国内にいらっしゃるなんて!」
「信じられませんわ!」
おばさま達は感激してくれた。
でも、私が答えた瞬間、会場がざわりとした。
「おいっ、ちょっと待て、クリスティーナ、いや、クリスティーナ様は国外追放されたのでは無いのか」
おばさま達に睨まれてその貴族の男は慌てて言い直していたけど……そうだった。ゲーム上はそういう設定だった。
「国内にいていいのか?」
「陛下はご存じなのか?」
皆、騒ぎ出したのだ。
そう言えばそうだった。
私は母から母が国内にいるのは秘密にしろなんて言われたことも無かったから、考えもしなかったんだけど、皆の言う通りなら、母がアンハームにいることは黙っていた方が良かったのかもしれない。
でも、ヨーゼフ先生はわざわざ私の小さい時にアンハームに教えに来てくれたし、母がアンハームにいるのは皆知っているものだと思っていた。ただし、ゲーム通りお母様が国外追放されたのならば黙っていた方が良かったかもしれない……私は少し青くなった。
「アマーリアさん。試合が終わったのでもう退場してください」
ガイスラー先生に注意されて私は慌てて会場を出ようとした。
まあ、あれだけ派手にあのアンハームの地で生活しているのだ。母がアンハームにいる事なんて知る人は知っているだろう。私はそう思うことにした。
退場するときに3年生の席にいるリックが目に入ったので、私は思わず手を振っていた。
リックはそれを見てニコッと笑って、手を振り返してくれた。
「えっ、嘘」
「何であの子が知り合いなの?」
「あり得なくない?」
私はその時、リックの周りがざわついたのを知らなかったし、その時には
「やったなアミ!」
「凄いじゃない!」
「アミ最高!」
私はクラスの手荒い歓迎を受けていたのだ。
その後、私は準決勝の前にお手洗いに行こうとした。
「ちょっと、アミ、一人で行くのは危険よ」
「私達がついていくわ」
エーレン達がついてきてくれた。まあ、私は別に護衛は必要ないんだけど、それでも心配してくれる友達がいるって良いものだ。
「アミ、あと二つよ。頑張ってね」
「うん、まあ、頑張ってみるわ」
ビアンカに私は頷いた。
「なんとかなりそう?」
「うーん、やってみないと判らないわ」
私はエッダの声には首を降った。
「最後はおそらく、第一王子だと思うから気をつけてね。さっきあなたが倒した侯爵様の娘が産んだのが第一王子だから、絶対になりふり構わずにリベンジを狙ってくると思うわ」
エーレンが注意してくれたけれど、
「まあ、なるしかならないわよ」
私は肩をすくめた。
私としては王子だろうが剣士だろうが負けるつもりはなかったけれど……
でも何があるか判らないのが試合だった。
「まあ、アミちゃんじゃない!」
トイレから出たところで私はピンク髪の知り合いに呼び止められた。 ・
「アナおばさん! 何故ここにいるの?」
「それは私が聞きたいわよ。あなたのお母様は絶対に魔術学園には行かさないって行っていたから、まさかアミちゃんがここに来ているなんて思ってもいなかったわ。お母様がよく許してくれたわね」
「えへへへ、秘密です」
私は許してもらっていないとは言えなかったから誤魔化した。
このアナおばさんはお母様の友達でたまに1週間くらい泊まりがけで来るのだ。いつも母が連れてくるんだけど、その時は母が大体おばさんの愚痴を聞いてあげていた記憶があった。
「あまりお時間がございません」
侍女らしい人がアナおばさんを急かした。
「判ったわ。じゃあ、アミちゃん。またね」
おばさんが手を振って去って行こうとした。
「良かったら一度は私の所に遊びに来なさいよ」
「判かりました。そうさせてもらいます」
去り際におばさんが私を誘ってくれた。私は頷いたが去って行くおばさんを見送りつつ、そう言えばおばさんがどこの誰かを聞いていなかったことを思い出した。遊びに行こうにも住所も何も判らない。まあ、おばさんはいつもこうしたおっちょこちょいの所があって、そこが母と合ったのかもしれないけれど
……今度会ったら聞いてみよう。ここにいるという事は学園に子供でもいるんだろう。また会うこともあるだろう。
「アミ、今の方はどなたなの?」
私にエッダが聞いてきた。
「うーん、お母様の知り合いなの。アナおばさんよ。たまにうちに遊びに来るのよね」
「うーん、どこかで見た記憶があるのよね」
ビアンカが考え込んでいた。ビアンカが知っているということはアナおばさんは有名人らしい。ビアンカが思い出したら誰か教えてもらおう。
「まさかね。それはあり得ないわ」
エーレンも横で何かブツブツ言っているけれど、何を言っているんだろう?
「では魔術大会剣術部門準決勝を始めます」
ガイスラー先生の声がグランドから響いた。
「やばい、いかなくちゃ」
私は驚いているエーレン達を置いて慌てて会場に向かったのだ。
ここまで読んで頂いて有り難うございます。
アナおばさんとは果たして誰なのか?
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続きは明日です。








