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公爵の独り言 姉の娘を見つけました

 パリン!

 俺はその娘の姿を見た瞬間、手に持っていたグラスを地面に落として割ってしまった。


「きゃっ」

 貴賓席で観覧していたどこかの貴族令嬢が四散したグラスを見て驚いて悲鳴を上げていたが、俺はそれどころではなかった。


「あ、姉上!」

 学園の剣術大会の決勝に出てきた娘を見て俺はこれでもかというほど目を見開いていた。


 そう、そこには国内を永久追放されたはずの我が姉、クリスティーネがいたのだ。


 いや、いや、そんなわけはないだろう。我が姉は十数年前に陛下によって国内から永久追放されたはずだ。

 それに、よく考えれば姉はこんなに若いわけはないではないか。もう30は越えているはずだ。


 本当にどうかしている。


 私はこの国の最大の領地を持つヨーク公爵の当主バルナバスだ。

 我が公爵家はノルトハイム王国建国時からある名門だ。

 王家には何人も嫁いでいるし王家から王女も何人も降嫁している我が国一番の名門だ。その公爵家が少しおかしくなったのは王太子の婚約だった我が姉が、王太子から断罪婚約破棄されてからだ。

 我が姉は自分の婚約者の王太子と平民の女が親しくなるのが許せなくて現王妃となった平民娘を学園で人に言えないような凄惨な虐めをしていたのだ。最後は完全に切れた王太子によって婚約破棄、断罪されて国外追放された。

 それから我が家は凋落の一途だ。


 俺自身は婚約者がいるにもかかわらず、平民の女と親しくなった王太子も王太子だと思うのだが、きつい性格の姉の虐めは本当に凄惨だったそうだ。


 俺も何度か姉に止めるように形だけは忠告した。

 しかし、気の強い姉は俺の忠告など全く聞く耳も持たずに、更にエスカレートして最後は激怒した王太子によって断罪され、国外追放にされた。王太子としては処刑したかったそうだが、それは現王妃が泣いて減刑を願ってくれたそうだ。


 だから王妃側につけと王太子だったアーデルベルトは誘ってきたが、我が家の父としては元々裏切ったアーデルベルトに思うことがあって、以来我が家は王家と距離を開けて中立派となっている。

 王太子だったアーデルハイトとその平民での王妃との間にも中々子供が出来なかったので、ハウゼン侯爵家から側妃をとって、その側妃との間に第一王子が出来て、いつの間にかハウゼン家の方が我が公爵家よりも力をもつような感じになっていた。


 平民出身の王妃の生んだ第二王子を国王は押したいようだが、バックにまともな貴族もいずに、第二王子派は微々たる力しか持っていなかった。


 そんな中、我が家の嫡男が入ったところの魔術学園で平民出の娘に決闘でコテンパンにやられたと聞いて俺は怒り狂った。

 まだ学園が始まって一ヶ月も経っていないのに、いきなり貴族でもない平民の女と決闘等するなど言語道断だ。それで無くても姉の件があるので平民とは距離をあけるように厳命していたのにだ。俺からしたらあり得なかった。


 俺は週末に帰ってきた息子を散々叱責した。

 なのに、今度は学園のメインイベントの魔術大会の学年の決勝の魔術競技を見に来てみれば既に息子は平民に負けて敗退した後だとわれた。


 この魔術の名門の我が公爵家が決勝に残れないと言うことは今までの歴史の中でも殆ど無かったことだ。

 それも平民に立て続けに負けるなどあり得なかった。


「これはこれはヨーク公爵様。最近はご子息は調子を崩されているようですな」

そこにそのハウゼン侯爵が現れて嫌みを言ってくれた。

このくそ爺、言うに事欠いて我が家を馬鹿にしてくれるとは……

俺は歯を噛みしめていた。

本当に姉が断罪されてからは我が公爵家は良いことがなかった。


 俺は平民に二度までも負けたフランツを叱責しつつも、その一人が決勝に残っているとの情報を得て貴賓席から見てみた。


 その結果、今度は俺がグラスを落として割ることになってしまった。


 あの小娘が姉な訳はない。しかし、どう見ても姉にそっくりだった。

 ただ瞳が金色に輝いていたのが唯一違うところではあったが、金の瞳と言えば俺が知っているのはただ一人だ。

 いや、それはあり得ないだろう!

 まあ、確かに姉とその男は同じ魔術部で一緒にいることも多かったが……


「セバスチャン。お前は姉の行方を知っているか?」

 私は我が家の執事に尋ねていた。

「お館様。お館様には姉君はいらっしゃらないはずで」

 セバスチャンが堂々と返事しくれたが、今はそのような建前を聞きたいわけではなかった。


「父が勘当したからとか言うのはどうでも良い。クリスティーネ姉上の行方だ」

「まあ、確かに外聞が悪いので前公爵様は勘当したことにされておりますが、現実はまだ公爵家に籍がございます」

「そのようなこと効きたいのではなくて……なんだと! 姉上の籍はまだ公爵家にあるのか?」

 俺には初耳だった。公爵家の当主が知らなくてどうするのだ!

「はい。王家との手前もあり勘当したことになっておりますが、当時前公爵様は姉君をとてもかわいがっておられましたから……」

「何故俺に知らせん!」

「何故と言われましても私に尋ねられませんでしたから」

 しれっとセバスチャンは答えてくれた。

「お前な!」


「まあ、旦那様は知られない方が王家との今後の関係でも良いであろうというのが前公爵様のご判断でした」

 俺は言いたいことが山のようにあった。それを飲み込んで一番聞きたいことを聞いたのだ。

「あの娘は姉上の子供か?」

「さあ、違うのではないかとしか答えられませんが」

「もう建前は良い。事実だけが知りたい」

「しかし、王家から突っ込まれたときに旦那様もお困りになられましょう?」

 セバスチャンの答えが事実だと告げていた。


「しかし、どうやってあの娘は学園に入学出来たのだ? どう見ても姉の子だろう。姉にそっくりではないか! 学園としても入学させるのに躊躇したのではないのか?」

「何でも、ヨーゼフ様のたっての推薦だそうで」

「あの魔術師か」

 俺は苦虫をかみつぶしたような顔をしたと思う。

 ヨーゼフには息子の家庭教師をお願いしたのに断られたのだ。

 あのボケナス魔術師、息子の件は断ったというのに姉の娘は推薦しただと……

 どういうつもりなのだ!

 

「学園長は反対したそうですが、何も知らない他の先生方は魔力量を見て賛成に回られたのだとか」

「姉の血を継いでいたらそらあ魔力量も多かろう」

 俺は苦々しく呟いていた。


 そんな俺の前で姉の娘は一撃でハウゼン侯爵の弟の息子を下してくれた。

何故、姉の娘が剣術をしているのか判らないが、

「ハウゼン家の弟御のご家族も調子を落としていらっしゃるようで」

俺がそう言った途端のハウゼン侯爵の爺の悔しそうな顔を見て俺は溜飲を下げたのだ。

我が姉の娘に感謝したくなったくらいだ。

余程我が公爵家の敵では無いといってやりたかったが、流石にそこは黙っていたが……

ここまで読んで頂いて有難うございました

アミの一撃は健在です。

次々に明かされる真実、続きをお楽しみ下さい


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私のお話、ここまで読んで頂いて本当にありがとうございます。

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王子にまとわりつく聖女、
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